北海道◆道北地方/消えゆく朝礼台 【公共交通政策コラム】

本部・地域担当より

今回はいつにも増してかなり鉄分の濃い話。

皆さんにとって「駅」とはまず何を連想するでしょうか。

改札口、行き交う人々、駅ナカ施設、様々な行先など、人によって色んなイメージがあると思います。

弊社の取り扱う田舎物件の最寄り駅は無人駅が珍しくなく、中には1時間に何本という次元ではなく、1日数本しか「汽車」が停まらないような駅も。

そして北海道にはマニアからは「朝礼台」と呼ばれる短い簡素な板張りホームしかない、都会の人を唖然とさせるような外観をした無人駅が存在します。

▲こういった地元請願の仮乗降場を出自とする駅は、住民による奉仕活動によってホームが出来たと言われています。

そのうち士別市のJR 宗谷本線瑞穂駅は2027年3月のダイヤ改正で廃止が予定されており、また一つ貴重な朝礼台が姿を消すことになります。

こういった無人駅「朝礼台」の歴史は1950年代まで遡ります。終戦後、深刻な食糧難の抜本的改善が政府の至上命題だったため、

北海道の山奥も食糧増産面で戦後開拓地の一つとして内地からの入植が相次ぎ、これまで駅のない区間でも僅かな通勤通学客のニーズに応える形で、

当時の国鉄旭川鉄道管理局の路線を中心に多くの仮乗降場と呼ばれる非正規のインスタント・ステーションが設けられました。

▲1両分すらはみ出でしまう半人前のホーム有効長だった南美深駅。(2021年廃止)

それから年月が経ち、北海道を始めとした地方農村部では若年層の都市部への人口流出や、炭鉱・製造業や農林水産業の斜陽化、

モータリゼーションの進展といった複合的な要因で、地方ローカル線は利用者減に歯止めが効かず、

1983〜1990年の8年間で特定地方交通線と呼ばれる赤字路線の廃止・バス転換が全国一斉に行われました。

そしてJR 北海道では2016年の北海道新幹線開業を契機とし、無人駅の削減が行われた結果、朝礼台の数はこの10年間でみるみる減少し、

ついに2027年3月ダイヤ改正前でも、道内では宗谷本線に4駅(糠南・天塩川温泉・(宗)日進・瑞穂*)を残すのみの今や絶滅危惧種に。

誰もいない牧草地帯や山間部の駅にぷらっと途中下車…なんて、実現出来なくなる時代がじわじわと押し寄せている昨今です。*廃止予定

▲国鉄時代は何故か「みづほ」表記だった瑞穂駅。

ところで牛山隆信氏の著書『秘境駅へ行こう!』(2001年)を発端とした駅鉄というジャンルが新たに脚光を浴びて四半世紀。

糠南駅や小幌駅といった観光名所になりうる秘境駅は、鉄道会社ではなく自治体が支援する上下分離方式が着目され、

鉄道は点と点を結ぶ単なる移動手段ではなく乗車することそのものを商品とした観光列車が増え、年々その風向きは変わりつつあります。

▲牧草地帯の陸の孤島に佇むヨド物置がチャームポイントの糠南駅。毎年クリスマスイベントが当駅で行われることもあり、まだしばらくは存命しそうな様子。

そして人々の安住の地が都会ではなくあえて人里離れた場所そのものに価値を見出いだされた結果、昨今の「ポツンと一軒家」物件ブームに繋がったと仮定すると、

それこそ朝礼台が置かれるような全国各地の秘境は、モノによって、ヒトによっては、徳川埋蔵金伝説のような宝の山になり得る可能性を秘めているものと思います。

(本部 髙橋瑞希)

 

 

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ふるさと情報館・本部スタッフ
ふるさと情報館・本部スタッフ
東京四ツ谷に勤務する各営業スタッフが各地に訪れた際に見聞きしたことを記録・発信していきます。

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