山梨◆八ヶ岳/春陽の候、4月の八ヶ岳事務所【八ヶ岳南麓・たかねの里だより】
春になった。もう春だ、もう少しで春か。
冬のあいだ私は空気を体の内に閉じ込めていたのだと気づく。モモヒキを脱ぎ、セーターを脱ぎ、首元をゆるめる。風が素肌に触れ、そこに空気の流れがあることを思い出しました。気持ち良い。風に触れることで、体が軽くなり、心までも開かれていくように感じます。
▲北杜市武川町。
冬の間は、自然という外界との間に壁を作っていたのだと思います。
寒さの厳しい北杜市での冬の暮らしは、今振り返ると水族館で過ごしているかのようだ。
ガラス越しに、美しいものや珍しいものを眺める。確かに見えてはいる。だけど、ガラスの向こうとこちらでは、全くの別の空間です。流れる空気も違ったものとなります。
▲北杜市高根町。
水槽のガラスを乗り越えて、アイゼン、ピッケルを携え、冬の自然に飛び込むなんて考えもしなかった。眺めていたことに後悔はありません。ただ。自分が「眺める側」に立っていたことに気づいてなかったのです。
では、春になるとはどういうことでしょうか。桜が咲けば春なのか。北杜市は標高差によって、桜の開花時期が異なり、低地から高地まで、およそ一月のずれがあります。でも今は、桜が咲いていようがいまいが、北杜市全体が春だと感じられるのです。風が肌に当たるのを感じられるからでしょうか。
空気が外界の自然と繋がっている。もうここは水族館ではないのだ。ピッケルやアイゼンといった特殊な装備、知識もいらない。春になれば、自ら自然の中へ入ることが出来るのだ。
▲北杜市高根町。
自然との距離がグッと縮まったように感じます。自然との距離が消えていくのが春なのではと思うのです。体が軽く感じる、空気が美味しい。
今年もまずは桜の花見から自然の中へと分け入って行こうではと考える。北杜市の春は、自分を解き放つ季節なのではないでしょうか。(八ヶ岳事務所 大久保武文)
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