天明鋳物(てんみょういもの)をご存じでしょうか?
戦国時代に松永久秀が平蜘蛛(ひらぐも)の茶釜を抱えて爆死した茶釜が正に天明鋳物です。この異常なほど愛された天明の茶釜とは一体なにものなのでしょうか?
栃木県佐野市は約千年前に鋳物の生産で栄えた街でした。天明はかつての宿場町だった佐野市の古い地名です。
現在でも「天明町」という地名が残っています。天明の茶釜は「西の芦屋、東の天明」と並び讃えられたほどです。
平安時代に佐野を治めていた豪族の藤原秀郷が武器製造のために5人の鋳物職人を招いたことが天明鋳物の起源とされています。
しかし、その技術を受け継いでいるのが現在4軒しかありません。そのうち1軒は後継者がいないそうです。
多くの伝統工芸が後継者不足と言われていますが天明鋳物もその1つなのです。
安土桃山時代に千利休や織田信長、豊臣秀吉、徳川家康などの多くの武将に愛された天明鋳物の技術を途切れることなく後世にも受け継がれてほしいと切に願います。(本部 井上美穂)
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