田舎暮らし四方山話~その8~【情報館設立35年。その体験をもとに田舎暮らしへのアドバイス】
第8回:土地選びのノウハウ ~景観より「住まう環境」を考えよう(前編)~
◆「海を一望する」のあこがれ派に
「海が見える場所に住みたい」とかたくなに考えている人も多い。
日本の海岸線は美しいのだが、急峻な崖地も多く、住宅が建てられる場所となると意外に少ない。そんなこともあって、海を望む住宅地は地価も高いところが多い。
たとえば、南房総では坪単価15万円以上するところもあるし、瀬戸内海を望む広島のある宅地は30万円以上もする。その海辺から、山あいに1キロも入れば地価は2万〜3万円というのだから、いかに「海一望願望」が強いかということである。
確かに庭先から海を眺めるのは気分のいいものである。が、暮らしが快適かどうかというと、必ずしもそうとは言いきれない。
大阪から宮崎の日南海岸を一望する高台分譲地に越した松本さんは、2年間暮らすうちに、とうとうそこから内陸部に引っ越す決意をすることになった。
夏の浜風は蒸し暑く、窓を閉めてクーラー漬けとなる。潮風が当たり自家用車や住宅の露出した鉄部分が腐食しはじめる。台風が来たときは、海水を浴びるほどである。
景観と暮らしやすさは相反することが多い。海岸から少し内陸部に入った海からの影響の少ない場所のほうが暮らすには条件がいいというのが、松本さんの結論であった。
▲「景観」よりは「住みやすさ」で土地選びを。
◆山の眺望というけれど・・・
山間地においては、山の眺望を重視する人が多い。確かに部屋の窓から居ながらにして山が眺められれば、それにこしたことはない。が、これも考えものという場合もある。
八ヶ岳南麓を求めたある人の場合であるが、八ヶ岳がすっきり見える小高い丘が気に入り家を建てたが、冬になると八ヶ岳から吹きおろす風に悩まされる日々という。この辺りの農家は、山や林を背後にする日だまりの場所に多い。
昔の人々は、景観より住みやすさで場所を決めた。集落のあり方を見ると、その地域の居住適地がわかる。土地選びは、地形的に農家があるような場所を選ぶことが無難である。
山岳美を求める人も多いが、そうした名山は「〇〇おろし」という、山からの強い風を伴うことが多い。その山が北側や西側にそびえる場合には、冬の風は特に強く、要注意といえよう。
部屋に居ながらにして山を眺められなくても、散歩に出れば済むことである。
実際に暮らしてみると、四方八方見渡せる丘のようなところより、平地の少し奥まったようなところのほうがいいということがわかる。
旅に出かけてホテルに泊まる場合には、部屋からの眺望は最も大きな要素の一つであるが、「旅の景観」と同じょうな感覚で田舎探しをしないことである。
◆寒冷地では南西斜面がいい
「北側に山を背負う高台で、南に畑が広がり、東西に点在する農村集落を望む場所」が、古来中国では理想の定住地とされた。
また山間地では東南の斜面がいいとされ、山あいの寺院はそんな場所に作られている場合が多いという。中国の「風水」(陰陽道で方角や場所を定める占い)でもそうした地がいいとされている。
そんな影響もあってか、こうした条件で「理想の土地」を頭に描いて田舎探しをする人も多いが、気候風土によって暮らしやすい条件が違うということを知っておくことも必要である。
「背後に山を背負う土地」も、それがベストかというと、モンスーン地帯にある日本は中国と違い、降雨量が多い。土砂崩れで災害にあうのは、決まってこうした地形の場所である。そうしたことは、充分考慮しておく必要がある。
「山あいでは、東南斜面がいい」ということも一概には言いきれない。東南斜面ということは、北西が山側ということになる。これは、朝日がよく当たり、午後の強い西日を避ける場所ということになる。
「西日を避ける」とはよくつかわれる言葉であるが、これはあくまでも温暖地でのこと。寒冷地では「西日が大切」なのである。朝日の当たる時間は多少遅くとも、夕日の暖かさをいっぱい建物の中に取り込んで夜を迎えるということが、冬においては何ものにも代えがたいのである。ということは、寒冷地においては「南西斜面がいい」ということになる。(本部 佐藤彰啓)
投稿者プロフィール
おすすめ記事を見る
-

田舎暮らし四方山話~その7~【情報館設立35年。その体験をもとに田舎暮らしへのアドバイス】
佐藤彰啓より -

田舎暮らし四方山話~その6~【情報館設立35年。その体験をもとに田舎暮らしへのアドバイス】
佐藤彰啓より -

田舎暮らし四方山話~その5~【情報館設立35年。その体験をもとに田舎暮らしへのアドバイス】
佐藤彰啓より -

田舎暮らし四方山話~その4~【情報館設立35年。その体験をもとに田舎暮らしへのアドバイス】
佐藤彰啓より -

田舎暮らし四方山話~その3~【情報館設立35年。その体験をもとに田舎暮らしへのアドバイス】
佐藤彰啓より -

田舎暮らし四方山話~その2~【情報館設立35年。その体験をもとに田舎暮らしへのアドバイス】
佐藤彰啓より






