田舎暮らし四方山話【情報館設立三五年。その体験をもとに田舎暮らしへのアドバイス】
第10回:土地購入までの実際 ~契約にあたっての留意事項~
◆遠隔地なるがゆえに不安も大きい
都会であれ田舎であれ、土地を購入するのは、売り主、買い主双方の契約によるということに変わりはない。
ただ、都会の人が田舎の土地を購入するのは、遠隔地なるがゆえに不安も大きい。遠隔地であれば、自分で調べようにも思うに任せず、心配しだすときりがない。
▲土地の売買に関すること。
昔は「原野商法」などと言われ、土地そのものや法律的に不適合のある物件を購入して被害にあった消費者も多かったが、昭和四十年代以降、不動産取引の法整備が進み、現在ではこうした事故も極めて少なくなっている。
最近よく耳にするのは、田舎で「地主に直接交渉してやる」と言われて依頼したのがブローカーで、内金を支払ったのに実行されなかったというような例である。また、たとえ地主やその仲介者が善意であっても、田舎特有の複雑な土地利用規制について無知な場合も多く、そこから起こる事故もある。土地は購入したものの、家を建てられないということもある。
やはり、宅地建物取引業の免許を持ち、専任の宅地建物取引士の在籍している業者を媒介して物件を購入するのが安全である。
宅建業者は、法的に決められた事項について説明を行なわなかったために消費者に損害を与えた場合には、応分の賠償を課せられている。それを担保するために、宅建取引業の免許を受ける際に1000万円の保証金を法務局に供託するか、業者に代わって損害を補償する(社)全国宅地建物業保証協会に加盟が義務づけられている。
したがって、宅建取引業者の責任で事故が起こった場合には、消費者は協会に訴え出れば、業者に代わって損害を補償してくれることになっている。その後、協会は業者から支払った金額を取り立てるということになる。業者が悪質な場合には、宅建取引業免許の取消しという処分もありうるので、こうした消費者保護の法的システムが整っているのである。
◆契約手順はこうなる
見学した物件が気に入って購入したいと思ったら、購入の意思を売り主側に伝えることになる。契約から物件引渡しまでの手順は下の図のとおりである。

◆契約前に「重要事項の説明」を受ける
物件見学の際に、飲用水や電気、ガス、汚水処理がどうなっているかの説明を受けるが、それと同時に登記簿や公図、住宅建築の法律的制限も調べる必要がある。これらは、役場の担当部署や最寄りの法務局に出かけて調査することになるが、専門知識のない購入者が自ら行なおうとするとそれなりに大変であり、自分で行なう必要はない。
宅地建物取引業法では、契約前に、宅建業者にそれらを調査し、「重要事項説明書」として文書にして説明することを義務づけているからである。
「重要事項の説明」は、契約が成立するまでの間に「宅地建物取引士」の資格を持つものが行なうとされている。契約成立の直前でもいいことになっており、契約日に行なわれることも多い。しかし、物件については、早い時期によく知っておいたほうがいいので、「契約書」と「重要事項説明書」の案文等を業者から早めに受領することをおすすめしたい。
自分で調査する場合、登記簿謄本や公図は、法務局で取得する。登記所という言葉はよく耳にするが、日本国中どこを探しても「登記所」という看板を掲げた役所はない。登記所は、不動産登記法に出てくる名称で、正式な呼び名は「〇〇地方法務局〇〇出張所」。登記所はすべての市町村にあるわけではないので、管轄登記所を事前に調べておく。
法令に基づく利用上の制限や、飲用水、排水設備などについては、市町村役場の担当の部署、電気については最寄りの電力会社営業所で調べる。(本部 佐藤彰啓)
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