毎年、この季節の物件調査は、雪に覆われた土地から福寿草の黄色い花が目に付き始め、春の訪れを実感します。福寿草の花を担当エリアでひとまわり見終わる頃から、気づくと緑色のフキノトウの芽吹きのサイクルにいつしか移り変わっています。
今の仕事に就く前は、フキノトウなど雑草の一種でしかなかったのが正直なところで、この山菜によって春の訪れや自然の息吹を感じ、マンション暮らしに馴れた自分にとって、その有り難みが一際大きいものになるとは思いませんでした。特に肥沃な里山物件には、あたり一面山菜で埋め尽くされているものが多く、地主さんが持て余しているように錯覚することもあります。
民法上では山菜は「天然果実」と解され、もちろん我々が勝手に収取することはできません。たまたま現地にいた地主さんが「お土産に持って帰りな」と声かけて下さることもあり、スーパーでは小さなパックで500円はするだろう「フキノトウ」をビニール袋いっぱい頂くこともあります。
自然によって生み出される副産物、衣食住と人の心を豊かにする付加価値が田舎の不動産にはあると思うのは考えすぎでしょうか。(本部 星野 努)