▲足止めを食らったときに思い出す、とある体験。(画像はイメージです。)
宮崎空港でのその瞬間、私は正面の大きなガラス壁の先にある機体を見つめ放心状態になった。
「現在、到着地の東京国際羽田空港の天候不良の為、JAL○○便は出発することが出来ません・・・。」というアナウンスが出発ロビーをどよめかせた。
線状降水帯が東京に発生したのだ。こればかりは怒っても仕方ない、〝運〞を受け入れるしかない。
そんな諦めの気持ちの後に、ふと過去の〝足止め〞体験が脳裏を過った。
東日本大震災時や大型台風直撃時の高速道路通止め、新幹線故障により延々と在来線で立って帰ってきたことなど。思い起こせば色々あったなぁと感慨にふける。
そんななかでも群を抜いて鮮明に記憶されているのが、九州地方のとある離島への出張時。
飛行機と電車を乗り継ぎ出港場に着くと海が荒れて船が出られない、という無情のお知らせが。仕方なくその日は港近くの異様に安い宿に泊まることに。
まぁ、これくらいのトラブルでしたら大人心で受け入れるとしよう。ただ、問題は船の欠航ではなくその宿にあった。その宿がとにかく気味悪い。
部屋の壁に掛かる大きな鏡、スナックにありそうな不釣り合いで邪魔でしかないソファ、埃だらけのテレビ、シミの多いカーペット、剝き出しの配管。極めつけは店番の女性の顔が異様に青白い。電気を消すと何かが現れそうで一晩中テレビを点けていました。
翌朝、寝不足で港に着くと一緒に行ったお客さんが朝の挨拶もそこそこに「金澤さん、今日も欠航だって。」その晩は意地で昨夜と同じ宿に泊まり、翌朝無事目的島へ出発できました。(本部・九州担当 金澤和宏)

