情報館設立三五年。その体験をもとに田舎暮らしへのアドバイス 田舎暮らし四 よ 方も 山や ま 話ば なし12 土地購入までの実際
登記簿は、不動産の履歴書であり戸籍簿である不動産の所在地や所有者、抵当権が設定されているかどうかは登記簿で確認する。不動産の登記簿には、土地
登記簿と建物登記簿があり、一筆の土地または一戸の建物ごとに記載される台帳である。不動産の履歴書であり戸籍簿といえる。
さて、土地登記簿に表示される「地目」とは、土地の現況および利用状況による区分で、不動産登記法では、土地の主たる用途により
宅地、山林、田、畑、原野、塩田、鉱泉地、池沼、牧場、墓地、境内地、運河用地、水道用地、用水路、ため池、堤、井溝、保安林、公業用
道路、公園、雑種地の二十一種類に区分される。
登記簿上の地目と土地の現実の利用状況が一致していない場合も多い。たとえば、分譲別荘地に家が建っているにもかかわらず、
地目が山林となっている場合などである。特にその必要性もないため、宅地への地目変更がなされていないのである。この場合、地目は山林でも、
現況は宅地ということになる。
かつてこんな例があった。地目はため池であるが、現況は池が埋められて平坦な眺めのいい土地。売りに出され、井戸を掘ることになり、重機で十数メートルの深さに掘り進んだところ、泥炭状況になり、重機がアリ地獄に引き込まれるように埋まってしまった。地目がため池や池沼のような場合には、
現況が平坦であっても、地質調査が必要となろう。「公簿売買」と「実測売買」土地を売買するとき、土地面積が登記簿に記載された
面積による場合を「公簿売買」といい、実測による面積の場合を「実測売買」という。一筆(一つの地番)の土地の売買の場合には「公簿売買」が多く、
広い土地の一部を購入する場合は「実測売買」となる。公簿売買では、登記簿記載面積と公図により取引きされ、改めて実測図面作成のための測量を
行なうことをしないことが多い。都会では売買に伴い実測図面も添付するのが一般的だが、田舎では実測図面なしの取引きが意外と多いのである。
それは、田舎の場合には土地単価に比して測量費用がかかる(一筆の土地の測量費は面積によって異なるが、おおむね二十万〜四十万円)こと。
また、都会では土地面積が狭く、建蔽率や容積率、住宅建築の際の隣地境界との距離の制限のため、正確な図面が必要とされるのに
対して、田舎では、正確な図面がなくともさほど問題にならないからである。ただし、田舎でも百五十坪以内程度の小面積の場合は、
実測図面を作成しておいたほうがなにかと都合がいいことが多い。その場合の測量費用を売り主、買い主どちらで負担するかは、契約時の話合い
となる。
傾斜地の土地面積は?田舎では、傾斜や起伏のある自然地形のままの素地の土地を購入することも多い。また平坦地でもその一部が傾斜地ということがある。
土地が傾斜地の場合に、「その面積は、土地の表面積か水平に見たときの面積か、どちらですか?」との質問をよく受ける。
正解は、「土地の面積は、水平投影面積による」ということになっている(下図)。したがって、「購入する土地をメジャーで測ったら、実測
図面に記載されている長さと二メートルも違っていた」ということもあり、また見かけは平坦でも、広い土地では傾斜や起伏のあることがあり、
それにより土地の表面を測っても、図面とは長さが違うことはしばしばなのである。近年の測量技術の進歩は目覚ましい。

測量機器のデジタル化とコンピュータ化が進み、トランシット(測量光学機械)で目標地点のプリズム(反射鏡)に光波を当てると、自動的に距離、角度、
水平距離を計算する。そして、図面もその数値からコンピュータで作成する。
それまでは、水準器でレベルを出し、メジャーで測っていたのだから、伊能忠敬の、竿や縄を物差しとする方法と基本的には同じであった。
このトランシットで光波距離を測るシステムが一般に普及したのは今から二、三十年くらい前で、それ以前の図面には多少の誤差があ
るのはやむをえないのである。
(本部 佐藤彰啓)
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