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山梨◆八ヶ岳/若葉の候、5月の八ヶ岳事務所【八ヶ岳南麓・たかねの里だより】

この記事の投稿者: 八ヶ岳事務所スタッフ

2023年5月12日

▲5月の田植えの様子。残雪の南アルプスを望む。(北杜市高根町)

5月、北杜市でも最高気温が20℃を超える日が頻繁になります。

季節を把握するのに便利な二十四節季では5月5日頃が「立夏」となります。夏が立つと書くように、夏の気配が感じられ、陽気も増してくる時期です。

一方で5月の中くらいまでは最低気温が5度を下回る日もあり、朝と昼の気温差に体がついていかないことも。ゴールデンウィークの期間中に暖房が必要となることもあり、ストーブはまだまだ片付けられません。

外に目を向けると風景は刻一刻と変化を遂げていきます。

5月上旬頃から田んぼに水が張られはじめ、2週間ほどの水張の期間を終えると、田植えとなります。田植えは家族総出でする事が多く、結果、人が集まりやすい土日が田植えのタイミングとなります。

私自身はお米を買うだけの立場ですが、毎年変わらぬ田んぼの営みが、日々の生活越しにたんたんと進んでいく様は不思議と安心感を与えてくれます。

▲新緑の季節。みずみずしい若葉の足元には小さな花々。

5月は新緑の時期でもあります。冬の間、葉を落とし、陽射しを透過していた樹木の枝を青々とみずみずしい若葉がおおっていきます。青空の下、陽射しを受けた葉は様々な表情を見せ、さわやかな夏の訪れを予感させてくれます。家の周辺のお散歩から、ちょっと足を延ばして山の懐や低山にと、そろそろ自然の中に出かけていく時期ですね。

八ヶ岳、南アルプスは残雪が残る為、夏登山にはまだ早く、気軽に行くには飯盛山や日向山、もう少し登りがいを求めると茅ケ岳がお勧めでしょうか。

▲山肌に彩を与える藤の花。(北杜市須玉町)

この時期、山々で目を引くのが藤の花です。藤の花というと藤棚で咲いているというイメージがあったのですが、北杜市では野山の木々に藤のツタが絡まって成長し、春になると紫色の花々が山肌に彩りを与えます。

ただ、ツタが成長しているということは、山の手入れがされていないという側面があり、藤が絡まった木を絞めつけて、倒木に至ることも。

沖縄ではガジュマルという木が「締め殺しの木」という異名があるのですが、藤にも似た性質があるようです。そういった話を聞くと、単純に綺麗だなと喜んでいられないとも思うのですが、遠方に見える山肌に咲く藤の花はやっぱり美しい。

北杜市の5月、日常の風景です。(八ヶ岳事務所 大久保武文)

山梨◆八ヶ岳/陽春の候、4月の八ヶ岳事務所【八ヶ岳南麓・たかねの里だより】

この記事の投稿者: 八ヶ岳事務所スタッフ

2023年4月12日

▲山高神代桜。推定樹齢は1800年とも言われる。(北杜市武川町)

春が少し遅れてやってくる北杜市ですが、4月を迎える頃には、さすがに春になったなという安堵感に包まれます。

3月の後半あたりから最高気温が20℃近くになる日もあり、最低気温もマイナスからプラスへと転じます。着ている服も一枚少なくなり、体が軽くなります。日が長くなったのも嬉しいですね。

1月にはすぐに暗くなっていたものが、4月では19時を過ぎても明るさを感じます。街明かりが少ないせいか、都会以上に日没が気持ちに影響しているようです。日中の活動時間が増えると気持ちも前向きになる、4月はそんな季節ですね。

春の訪れと桜の開花は同意義といっていいほど、日本の春には桜が欠かせません。

近隣では韮崎市の和二塚の桜を皮切りに、次は武川町の山高神代桜と3月下旬ごろから標高の低い場所から順々と桜が開花を始めます。冬の寒さの中から開花を待ち望み、春の暖かな空の下、ワイワイと桜の花びらの下に集まるこの慣習というか文化は本当に良いものです。

▲新府城跡からほど近い桃畑。奥に八ヶ岳の姿。(韮崎市中田町)

桜の花と時を同じくして、桃の花も開花します。桃の花見というのは桜に比べれば、あまり馴染みが無いかもしれません。韮崎市中田町には出荷用の桃畑が一面に広がり、春になると桃の花見に多くの人が訪れます。

ちょうど目線ほどの高さに選定された木にピンク色の花が咲き、あたり一帯が華やかな雰囲気になり、自然と桃源郷という言葉が頭に浮かんできます。

武田氏最後の城となった新府城跡に隣接しており、駐車場はそちらを使うと良いでしょう。周囲より小高い、新府城の本丸跡地まで息を上げながら登ると、眼下にピンクに染まった桃畑、その遠方に八ヶ岳の峰々の景色。新府城跡は桜の名所でもあるので、一度に桜と桃の両方の花見を楽しむことが出来ます。

日頃のストレスを和らげに、春の花を楽しんでみてはいかがでしょうか。(八ヶ岳事務所 大久保武文)

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🌸山梨・桜桃観光コレクション🍑
①韮崎市の和二塚の桜(韮崎市観光協会ホームページより)
・所在地:407-0042 山梨県韮崎市神山町北宮地624
・アクセス:中央自動車道韮崎ICから約15分
バス停「武田八幡宮」を下車から徒歩5分

②新府城跡(韮崎市観光協会ホームページより)
・所在地:407-0262 韮崎市中田町中條4787
・アクセス:中央自動車道韮崎ICから約20分
JR中央線新府駅から徒歩約15分

北杜市には他にも4月開花の桜がたくさんあります。詳細は北杜市観光協会ホームページでご確認ください🌸

山梨◆八ヶ岳/軽暖の候、3月の八ヶ岳事務所【八ヶ岳南麓・たかねの里だより】

この記事の投稿者: 八ヶ岳事務所スタッフ

2023年3月11日

▲雲の上から頭を出す甲斐駒ヶ岳。(山梨県北杜市)

3月になりました。八ヶ岳南麓に位置する北杜市では3月の前半はまだまだ寒く、最低気温がマイナスの状況が続きます。

それでも2月に比べると寒さが僅かに緩んだように感じられます。3月の後半へ向けては、日中の気温が日々少しずつ上がり、春が近づいていることが肌でも感じられます。なんだか体が少し軽くなってきたという感覚でしょうか。

気温の上昇に伴い、山に靄がかかることが多くなってきます。冬の間はスッキリと見えていた富士山や南アルプスが少しピンボケしたような、せっかくいままで4Kの高画質で見えていたのに、解像度が荒くなってしまったような感じでしょうか。やはり山の景色は冬が一番だったなと、しみじみと過ぎ去った冬を振り返るタイミングです。

▲ふと足元を見ると小さなお花が。オオイヌノフグリ。(山梨県北杜市)

ふと足元を見ると小さな花々が地面の間から顔を出しています。春は足元からやってくるんですね。

北杜市から下道を1時間程南下すると気候はだいぶ変わってきます。北杜市で春の訪れが待てない場合は、甲府まで足を延ばすと良いでしょう。

▲県内から多くの人が訪れる梅園「不老園」。(山梨県甲府市)

3月の前半のこの時期、不老園において梅の花が見ごろを迎えます。不老園は、総面積約5万平方メートルの広大な山を切り崩し、谷を生かし、池をつくり、その周辺に30数種類、約2000本の観賞用の花梅木や赤松、桜、南天、つつじ、もみじ、牡丹等が植栽されている梅園のこと。

甲府盆地を一望できる高台に位置し、南に富士山、西に南アルプスの山並みを望むことが出来ます。空気が柔らかくなったこの時期、山梨県内の方を中心に多くの方が訪れます。

▲青空の下、梅の香りを楽しむ。奥に南アルプスの姿。(山梨県甲府市)

園内は高低差のある地形の中を、遊歩道が張り巡らせてあり、花を眺めながらウロウロするだけでかなりの運動になります。冬の間、運動不足だった方には良いリハビリとなるでしょう。

春の訪れを探しに、体を動かしに、お出かけされてはいかがでしょうか。(八ヶ岳事務所 大久保武文)

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不老園(公式ホームページより)
・住所:〒400-0805 山梨県甲府市酒折3丁目4-3
・電話番号 事務所: 055-232-3550
      庭園:055-233-5893

・アクセス:JR中央本線「酒折駅」下車 徒歩7分
      中央道「一宮御坂IC」より車で15分
・駐車場無料

・開園時期:2月1日~3月下旬
・営業時間:9時~17時(入園受付は16時まで)
・入園料  大人(中学生以上):500円
      小学生:200円
      未就学児:無料
      障害者手帳をお持ちの方:無料(入園窓口でご提示下さい)

山梨◆八ヶ岳/新春の候、1月の八ヶ岳事務所【八ヶ岳南麓・たかねの里だより】

この記事の投稿者: 八ヶ岳事務所スタッフ

2023年1月4日

▲珍しく雪が積もった朝。南アルプスの山並みが美しい。(山梨県北杜市)

新年明けましておめでとうございます。

新しい年が迎えられるということは、なんとも嬉しいものです。気持ちが一新し、一つの区切りが自分の中に出来て、また1年のスタートを切ることが出来ます。

気持ちを盛り上げる上で、初日の出を拝みに行くのも良いですよね。

冬の早朝、寒さの厳しい八ヶ岳南麓で外出するには気合が必要です。ぬくぬくとしたお布団の誘惑から逃れることがなんと難しいことか。

初日の出の時間は山梨県では6時55分頃、一日で最も気温が下がる時間帯で、年によってはマイナス8℃くらいまで気温が下がることでしょう。標高が高くなればさらに気温が下がるので、普段の生活では無い寒さの中に出かけるということになります。

北杜市での初日の出のおススメスポットは山梨県立まきば公園です。家から車5分程で行けるというのが個人的な理由ですが、元日に訪れると県外からも多くの車が集まってきます。

標高1400mの八ヶ岳の真ん中に広がる牧場の草原で夏場はやぎやポニーなどの動物とふれあえる場所です。山の中でありながら空が広く感じられ、解放感があることから星空観測にも人気があるようです。

公園からの眺望は素晴らしく、東方向には富士山と秩父連山が広がり、その間あたりから現れる日の出を拝むことが出来ます。

▲極寒の中でみる日の出は美しくあたたかい。(山梨県北杜市)

複雑な山の地形のせいで、日の出の時間は正確ではありません。空は明るくなってくるものの、中々出てこない太陽を、寒さの中じりじりと待ち続けます。

ギリギリまで暖かい車の中で待っている人達もいますが、私はあえて寒い外で、外気を感じながら待つのです。頭の中を過るのは熱いお風呂に入りたいとか、あったかいお雑煮を食べたいとか、もう空が明るいから日の出を見たことにして良いんじゃないかと、家に帰ることばかり。

そんないつ終わるともない時間の中、山から太陽の眩しい光が漏れ出てきたときの嬉しさ。ただ日が昇るのを見に来ただけなのですが、ひと仕事を終えたような満足感が生まれます。

結果に至るまでの過程を味わうことで、より満足感を得られるのではと一人納得する自分でした。

コロナ禍になってからは分からないのですが、甲斐大泉駅の前にある温泉「パノラマの湯」では元日は朝6時から営業し、温泉の中から初日の出が拝めると人気でした。

露天風呂からは富士山も望めるので最高のロケーションとなります。無理せず心も体もリラックスしながら日の出を迎えるもの素敵な経験となりそうです。(八ヶ岳事務所 大久保武文)

山梨◆八ヶ岳/立冬の候、11月の八ヶ岳事務所【八ヶ岳南麓・たかねの里だより】

この記事の投稿者: 八ヶ岳事務所スタッフ

2022年11月8日

▲日を浴びて甲斐駒ヶ岳の輪郭が浮かびあがる。(山梨県北杜市)

北杜市は秋のさかりを迎えています。10月終わりから11月中頃にかけて山々が刻々とその表情を変えていきます。

北杜市では桜前線が標高の低いところから高いところへと駆け上がるように時期を変えて進みましたが、秋の紅葉の見ごろも標高に大きく左右され、山の上部から下部へと駆け降りるように進んでいきます。

▲青空の下、紅葉を見上げる。(山梨県北杜市)

地元に住んでいても、紅葉の見ごろをキャッチするのは中々難しいところ。見頃まであと少しかなと思っていて、次に訪れると葉っぱが落ちてしまっているということもしばしば。

紅葉の美しさは刹那的、だからこそ毎年惹かれるのでしょうか。本原稿の作成にあたり、昨年の写真を見返してみると、自然の表情にハッとさせられる、印象的な景色のものが結構ありました。

11月でも前半と後半では植物や木々の表情が大きく変わります。そしてその表情の変わるタイミングというのか、移り変わる瞬間、物事の移り行く過程が哀愁を、美しさを感じさせ、印象的な景色となるのではないでしょうか。

物事の移り変わるタイミング、昼と夜、黄昏時、現世と常世、生と死。季節が移り替わる秋のこの時期、少し感傷的に物事が見えてしまう。

▲夕暮れの空に八ヶ岳。田んぼに静けさが漂う。(山梨県北杜市)

天候も安定しやすいこの時期、ドライブついでに秋の景色を写真におさめてはいかがでしょうか。夕暮れ時の八ヶ岳の山並みは特におすすめです。(八ヶ岳事務所 大久保武文)

【八ヶ岳事務所エリアの物件】
八ヶ岳南麓エリア・・・北杜市高根町、北杜市長坂町、北杜市大泉町、北杜市小淵沢町
韮崎・茅ヶ岳エリア・・・北杜市須玉町、北杜市明野町、韮崎市、甲斐市
武川・白州エリア・・・北杜市白州町、北杜市武川町

山梨◆八ヶ岳/清秋の候、10月の八ヶ岳事務所【八ヶ岳南麓・たかねの里だより】

この記事の投稿者: 八ヶ岳事務所スタッフ

2022年10月10日

▲黄金色に輝く田んぼにトンボの姿。(山梨県北杜市)

10月初旬。北杜市では稲刈りの最盛期を迎えます。

黄金色の稲穂の間を、コンバインが駆けていく。5月に始まった田んぼの水はり、田植え、毎日の水の調整、週末毎の草刈り、傍から見ていても、稲を育てるという事は大変な作業ですね。

そして今年も田んぼの1サイクルが終わろうとしています。10月の中旬には八ヶ岳、南アルプスの山も冠雪となるでしょう。空気も澄んで、山を眺めるのに良い季節となります。

▲10月中旬。南アルプスがうっすらと雪化粧。(山梨県北杜市)

▲稲刈りの季節。コンバインが駆けていく。(山梨県北杜市)

皆さんご存じでしょうか、北杜市は知る人ぞ知る米どころなんです。

正直、私は移住するまで、北杜市の米というものを聞いたことがありませんでした。思い返せば「コシヒカリ」「あきたこまち」「ひとめぼれ」といった銘柄は気にしていても、どこの産地の米かを気にしていませんでした。

住み始めた当初も、田んぼがあるくらいの認識でした。ただ北杜市の食堂やドライブインで出てくる米(武川米が多かったでしょうか…)がとても甘くて、甘くて、ビックリしてしまいました。

その事を地元の方に話したところ、ご自分が褒められたように喜んでくれた記憶があります。こんな話も聞きました。「北杜市須玉町の米は、新潟魚沼産の米の在庫が少なくなると、魚沼産として市場に出されるのだと」。

これは都市伝説のようなもので、魚沼産に劣らず美味しいという話が誇張されたものだと思います。ただ、それくらい地元のお米への信頼というか、誇りがあるのだなと感じさせられたエピソードでした。

調べてみると、JA 梨北管内で栽培された「梨北米こしひかり」は、食味ランキングにおいて最高評価の「特A」を通算10回獲得しているそうです。そして平成20年には魚沼産こしひかりをおさえ、日本一美味しいお米にも選ばれたことも( ㈱米福HP より)。

食味ランキングとは(社)日本穀物検定協会が実施しているもので、専門家20名が毎年、お米の「外観・香り・味・粘り・硬さ・総合評価」で審査し、基準米とおおむね同等のものを「A’」、特に良好なものを「特A」、良好なものを「A」、やや劣るものを「B」、劣るものを「B’」として評価をするものだそうです。

こんなシビアな戦いが毎年行われていたのですね。私の方は、ここ3年程から顔見知りの農家さんからお米を買うようになりました。知っている人が作っているお米なので、なんでしょう安心感があるのは勿論、応援したくなる気持ちまで湧いてきます。

「梨北米こしひかり」のここ3年の結果は「A」の成績、「特A」からは遠ざかっているようですが、個人的には、それは何かの間違いなのでは?と言いたくなるくらい、北杜市のお米推しの今日この頃。北杜市においでの際は、是非、お土産にお米をお買い求めください。(八ヶ岳事務所 大久保武文)

【八ヶ岳事務所エリアの物件】
八ヶ岳南麓エリア・・・北杜市高根町、北杜市長坂町、北杜市大泉町、北杜市小淵沢町
韮崎・茅ヶ岳エリア・・・北杜市須玉町、北杜市明野町、韮崎市、甲斐市
武川・白州エリア・・・北杜市白州町、北杜市武川町

山梨◆八ヶ岳/立春の候、2月のお知らせ【八ヶ岳南麓・たかねの里だより】

この記事の投稿者: 八ヶ岳事務所スタッフ

2022年2月4日

▲枯草、落葉した木の先に雪化粧をした南アルプス。(北杜市高根町)

暦では2月4日は立春となります。正直、北杜市にいると「春の始まり」という感覚はまだありません。1月下旬から2月の中旬ぐらいまでが年間で最も気温が下がる時期となります。夜明けの時間帯が一番冷え込み、日によっては気温がマイナス15℃度に達する日もあるほどです。

毎年、我が家の給湯器の調子が悪くなるのもこの時期でしょうか。昨日までは普通にお湯が出ていたものが、ある朝、急に動かなくなる。早ければ日中に動くようになるのですが、機械にとっても八ヶ岳の寒さは厳しいということなのでしょう。他にも身近なとこではスマートフォンやカメラのバッテリーの消費が激しくなります。充電満タンのはずが、取材中にカメラのバッテリーがまたたく間に切れて驚いた事がありました。最初はバッテリーの経年劣化かと思いましたが、原因は「寒さ」でした。現在は、ズボンのポッケに入れて体温でバッテリーを温めておけば、通常どおり動いてくれています。同業者の方から教えてもらったのですが、私にとっては「生活の知恵」となりました。

ヨーロッパ、中国を中心に普及が進んでいる電気自動車においても、バッテリーの温度管理が大事なようです。外気が暑いときにはバッテリーを冷まし、寒いときにはバッテリーを温めることで、航続距離を随分と伸ばせるという話を聞きました。寒さの厳しい八ヶ岳の気候は、電気自動車には負担が大きいかもしれません。ただ、脱炭素の波は確実に、地域を問わず日本にも訪れることでしょう。八ヶ岳で最もポピュラーな暖房は「灯油ストーブ」ですが、暖房機器にも脱炭素の流れがくるのでしょうか。なんだか、当たり前に使いすぎているので、「石油ストーブ」が無くなるというのは現実感が湧かないところです。

一方で、薪ストーブが環境に優しい、カーボンニュートラルな暖房だと言うのは嬉しい話です。ただ、それも継続的に「森林」を育てていくことが大前提となります。昨年は「ウッドショック」(※)という言葉が聞かれましたが、現在、薪の調達も難しいという話をお聞きします。冬の暖房をどうするのか、北杜市に住む上で、今後は大きなトピックとなりそうです。

寒い、寒いと書いてきた2月の北杜市ですが、後半にもなると所々で「春の訪れ」を感じることがあります。新緑の時期はまだ遠く、畑も草原も枯草でまっ茶色な状態ですが、足元をよく見ると、枯れ葉の間から小さな草花が咲いている様が見えるようになります。いつの間に葉を伸ばし、花を咲かせていたのだろうと不思議な気持ちになります。八ヶ岳おろしの冷たい風が吹き、時には雪がちらつき、朝は霜柱が立つ、そんな過酷な環境の中、地面の下で着実に新しい命を育んでいた事に、リスペクトの気持ちさえ湧いてきます。小さな春を探しに、寒空の下、お散歩するのも良いものですね。
(八ヶ岳事務所 大久保武文)

※ウッドショック:新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、建築用木材の供給が需要に追いつかないことに起因した木材価格の高騰の状況。1970年代に発生した「オイルショック」になぞらえてこのように呼ばれている。(経済産業省ホームページより)

▲2月の下旬。仏の座、オオイヌノフグリが咲き始める。(北杜市大泉町)

山梨◆八ヶ岳/深秋の候、11月のお知らせ【八ヶ岳スタッフ・たかねの里だより】

この記事の投稿者: 八ヶ岳事務所スタッフ

2021年11月1日

▲秋空の下、夕暮れで赤く染まる八ヶ岳。(北杜市高根町)

「秋」から「冬」へと移り変わる季節です。

朝晩の冷え込みが厳しくなり、紅葉の見ごろとなるのが10月中旬からで、11月の前半にはカラマツの葉が日を受けて黄金色に輝く様を見ることができます。標高差のため比較的長い間、紅葉が楽しめる八ヶ岳南麓ですが、11月の中旬にもなると標高の高いエリアでは葉が全て落ちてしまいます。紅葉狩りを楽しむには急がれた方がよろしいでしょう。

甲府地方気象台の2020年の観測によると、「初霜」が11月1日、「初氷」が少しおいて11月5日でした。「霜」は空気と接触している物体の温度が0度より低くなると、空気中の水蒸気が、物体の表面に「氷」として成長することで出来ます。

冬の晴れた朝などでは放射冷却で、地面付近の温度が気温よりも数度低くなるため、気温が0度にならなくても「霜」が降りることがあるそうです。「霜」が降りていると朝の気温が零下になったと思っていたのですが、そうとも限らないのですね。「初霜」と「初氷」に数日のタイムラグがあるのはそういう理由なのでしょう。

▲11月初旬。紅葉したカラマツの葉が輝く。(北杜市高根町)

甲府地方気象台ではその他に、「初雪」、「富士山の初冠雪」、「甲斐駒ヶ岳の初冠雪」の観測をしており、観測記録をホームページに記載をしています。「富士山の初冠雪」は平年では10月2日なのですが、今年は大幅に早まり9月7日に「初冠雪」というニュースが流れました。

ニュースを見て驚き、早速に八ヶ岳事務所近くの田んぼまで見に行くと、確かに富士山の頂上が白くなっています。まだ北杜市では残暑を感じる陽気で、稲は成長の途中、麓と山の上では随分と気候が違うなと思いました。

しかし、この「初冠雪」ですが後日談があり、記録としてその後に取り消されてしまいました。数日で融けたとはいえ、一度は雪が積もったのにどうしてでしょうか。

これは「初冠雪」の定義に当てはまらなくなってしまったからだそうです。その定義とは、◆富士山特別地域気象観測所の日平均気温の最高値が出現した日以降に、初めて冠雪を観測した日を「初冠雪」としています。というもの。

当初、8月4日に日平均気温の「最高値」が出現したものとし、9月7日に「初冠雪」を観測としていましたが、その後、9月20日に日平均気温の最高値が更新されてしまったそうです。その為、「最高値」が出現した日より前の冠雪は「初冠雪」の定義に当てはまらなくなり、「初冠雪」記録も抹消となったそうです。冠雪後の9月の後半にもなって、1年度で一番暑い日になるとは、気象の当事者も驚いたでしょう。

因みに9月20日の富士観測所の平均気温は10・3℃でした。とても年間の最高値とは思えない低い気温ですね。富士山の環境の厳しさを改めて感じました。(八ヶ岳事務所 大久保武文)

▲11月中旬。標高の高い場所では落葉が進む。(北杜市大泉町)