去年東北で、湧水利用の物件を仲介したことをお話しします。
物件はとても古い雪国特有の集落の、住宅同士が軒を重ねるように連なる奥にある、築後100年以上の古民家です。「自分の育った実家を取り壊すのは忍びない、大切に住んで頂ける方がいれば安くても構わないので売って欲しい」と依頼されて、売出し前に確実な売れる保証がないにも関わらず、ほとんどの家財、ゴミを片付け、座敷の根太と床板を張り替え、畳も換えていただきました。片付け、リフォームの費用は総額で軽く売り出し価格を超えてしまったそうですが、売主様の努力のおかげで良いご縁に繋がることができました。
その古民家は、飲料水が「井戸」とお聞きしていましたが、実際にポンプで引き込んでいる水源は「湧水」でした。建物裏の水路脇から水が湧き出しているのが見てとれました。聞くところでは、この集落はもともとこの湧水や井戸を利用していたところ、最近になってやっと公営水道を引き始めたようです。 公営水道引込みの見積もりを取るために業者さんにも見てもらいましたが、「十分な水量だし、この湧水の方が良いのでは?」という結論になりました。
地下水をくみ上げるのが「井戸」、たまたま水脈が地表に現れるのが「湧水」で、水質とは直接関係が無いのですが、「湧水」が敷地内にあるのは珍しく、ありがたいものです。(本部・山中 準一)