7月号の入稿のため、本部での製作業務が開始しました。
東京に移動する前の日、山梨県立文学館で開催されている
「太宰治展 生誕100年 (開館20周年記念)」に行ってきました。
芥川龍之介に憧れ、文士を志した太宰治が、どうしても手にしたかったというのに
落選してしまった「芥川賞」。その悔しさが胸にこたえる直筆の展示もありました。
当時、心身が蝕まれるほどに悩んだ太宰治でしたが、師の井伏鱒二の
はからいで、山梨県にやって来ます。そこから数々の作品が生まれてきました。
そう考えると、落選しなければ、「富岳百景」は書かれず、
「富士には月見草がよく似合う」という名フレーズも
この世には現れなかったかもしれません。
期せずして、東京までの高速バスの中で村上春樹の「1Q84」を読了しました。
壊滅的といわれてきたこのところの出版不況の中で、
まるで乾いた大地にぐんぐん染み込む恵みの雨のごとく
飛ぶように売れているという新刊書です。
村上春樹もまた、芥川賞をとってはいません。
(彼がそれをほしいのかどうかはわかりませんが)。
私には、いつの時代も、どこかの偉い人たちに選ばれる文学作品よりも、
読者に愛されてこそ「不朽の名作」になるのではないかという気がしてなりません。
山梨県立文学館で買ってきたオリジナルグッズのメモパッドを机においています。
(編集 ささき)