「長井市」は、かつて日本海と「米沢」を結ぶ最上川舟運の港町として栄えたところ。当地で三百年続いた呉服商「丸大扇屋」は、その中心地にある商家の面影を今に残しています。
今回は同じ「長井市」にある旧家の物件調査で訪問したのですが、草葺屋根の外観がこの扇屋さんの母屋とよく似ています。日本海側の気候に耐える構造でもあるのでしょう。建物は道路側の店、草葺の母屋、新座敷、みそ蔵、内蔵などと分かれており、嘉永から明治、大正期の建築が中心になっています。
▲「丸大扇屋」店の奥に草葺の母屋が見えますね。
大きな手漉きガラスの窓に思わず見入ってしまい、係の人の「1枚でも割れてしまえば代わりはありませんので」。との説明にもおもわず頷いていました。今は県指定文化財として保存されていますが、昭和40年代まで実際に商家として利用されていたとのことです。
同じ敷地内には彫刻家「長沼孝三」の生家でもあることから、彫塑館が併設されています。またこの近くには、明治11年築という旧西置賜郡役所「小桜館」もあり、往時の町の暮らしぶりを偲ぶことができます。(本部 山中準一)
▲旧西置賜郡役所の「小桜館」