サッカー日本代表のユニフォームに描かれている、三本足の烏、ご存知ですよね。「八咫烏(やたがらす)」といいます。
神武天皇が熊野山中で道に迷われた時、大和の国に入る道先案内をつとめたと言われています。「熊野本宮大社」、「熊野速玉大社」、「熊野那智大社」の3つの神社を総称して「熊野三山」と言い、日本全国に約3千社ある「熊野神社」の総本社だそうです。
今回の出張では「新宮駅」で時間が余ったので、駅から歩いて行ける「熊野速玉大社(くまのはやたまたいしゃ)」に参拝し、南北朝に天皇や上皇などから寄進された国宝の古神宝なども拝観してきました。
社殿に漂う総本社にふさわしい荘厳で清々しい空気に、思わず背筋が伸びます。ついでに商売繁盛も祈願してきました。
写真のご神木「梛(なぎ)」は、樹齢千年を数え、道中安全と世界平和を祈念しているとのことです。熊野方面には、仕事のご縁があってすでに何度か訪問していますが、最近特に目立つようになったのが外国からのお客様です。このところ中国からの「爆買いツアー」や「定番の観光地」も一段落したようで、より本格的なディープ日本を求めるようになったのでしょうか。
それにしても大阪からも名古屋からもどこから来ても長旅になるのに、これほどの旅行者を集めるとは、世界遺産の力はすごいと改めて教えられます。とにかく、地図を手にしたバックパッカーが今日もあちこちに見られる光景は、新しい風が吹いてきているようです。
ところで「八咫烏」と言えば、熊野詣の際には昔から、八咫烏を絵文字化した「熊野牛王宝印」という神札を受けるのが慣習となっており、あらゆる災いを防ぎ、病を平癒する護符とされ、これは「誓約書」や「起請文」にも使われていたそうです。
落語の「三枚起請」は、遊女が、年季があけたらあなたと結婚します、という起請文を3人の男に渡したために起こる騒動の話ですが、この起請文こそ「熊野牛王宝印」の裏に書かれたものだそうです。
起請文の約束を破ると熊野の烏が3羽死ぬんだぞ、と言われた遊女が「私はね、世界中の烏を殺したいんだよ」と応じた後に、高杉晋作の都都逸「三千世界の烏を殺し 主と朝寝がしてみたい」が繋がって、落語のサゲとなります。烏が描かれている起請文だから意味が通るわけですね。
この都都逸が流行った頃は、烏を殺すと地獄に落ちる、という意識が一般に浸透していたから宴席でやってもウケたのでしょう。今ではピンときませんが。 このあたり、私も落語の筋は知っていたのですが、「起請文」と「八咫烏」の関係は、今回初めて知りました。(本部・和歌山県担当 山中準一)
紀勢本線「新宮駅」から「熊野速玉大社」まで ~今回歩いたルート~
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