昨年12月の初旬、山梨学院大学で「ローカル・ガバナンス学会第20回研究会」が開催されました。ローカル・ガバナンスとは、一言でいえば多様な人たちがかかわって地域を元気にする手法です。
テーマは「人口減少社会における空き家対策 - その有効活用と除却を考える」で、私もパネリストの一人として参加させいただきました。外川伸一法学部教授がコーディネーター、基調講演を北村喜宣上智大学法科大学院教授がされた研究会でした。
参加人数は過去最高ということで、自治体関係者、銀行員、一般と多岐に渡り3時間半という時間があっという間に過ぎました。
全国で820万戸とも言われる空き家がいま社会問題化しており、埼玉県所沢市の空き家条例の内容紹介、全国350に上る自治体の条例化の動きなどの興味ある内容となりました。
その中で、空き家率が全国第一位の山梨県(平成25年調査で22%)です。空き家の除却とともに注目されるのがその有効な活用方法なのですが、県内の自治体が行なう空き家バンクの事例では10数市町村が取り組んでおり、山梨市や富士川町、身延町では成果を上げています。
私 の報告は、一番初めに出会った空き家(山梨市三富村)の「特定空き家等」と言われるすぐにでも除却すべき物件の話から始めました。何せこの空き家は屋根か ら青空が見えている埃だらけの凄まじいものでした。それを中央本線塩山駅北口の甘草屋敷を再生させた工務店の代表らが「これは素晴らしい民家です」と真顔 で言い、峡東地区の栗材がふんだんに使われたこの空き家を褒め称えているのです。
私は彼らの真摯な様子に狐に包まれた心持ちでしたが、その空き家は1年後北杜市高根町にみごと移築再生されたのでした。そのご縁で私は家族とともに山梨県へ移住してきました。いまから16年前になります。
そうした経験から、除却すべき対象の前に活用を考えるべきものが空き家であると、個人的には考えています。山梨県内に残された空き家は優れた構造材に支えられ、突き上げ棟や兜屋根など、この地方の景観にも寄与してきました。
そうした空き家の有効利用者は県内ではなく、田舎暮らしを希望される都会の方々の知恵と勇気に委ねられきています。実家のたたみ方や処分ではなく、実家の譲り方、引き継ぎ方が地元の方々にも求められています。
そ れには、移住者に対する受け皿作りが急務であるとともに、魅力ある日本の田舎を、情報発信してゆくことがこれからますます重要になってくることでしょう。 われわれ、ふるさと情報館の社員一同、今年も皆様のふるさと探しに邁進して行く所存です。どうぞ皆様もこの一年お健やかに。
(八ヶ岳事務所 中村 健二)