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宮城◆白石蔵王/国の登録有形文化財・豪商の屋敷を楽しむ【遠刈田温泉・ペンション奮闘記】

この記事の投稿者: 白石蔵王駐在/渡辺 和夫

2018年5月21日

蔵王町の隣は、仙台伊達藩の出城があった白石市。その東隣が、町中を阿武隈川がゆったりと流れる丸森町です。那須高原から北上し、太平洋にそそぐ阿武隈川の水量でかつては大いに栄えた水運の町で、いまは農、工、商、それに観光面でもあまり目立たない静かな町です。

ビルなどほとんどない町の中心部に残された古い豪商の屋敷が、いまはこの町のシンボルになっていて観光拠点として渋い人気を集めています。江戸後期から営業していた豪商「齋藤屋」は、昭和25年に七代目で廃業、その広い屋敷と家財一式を町に寄贈。受けた丸森町は代々の当主の名前「理助」から、ここを郷士館「齋理屋敷(さいりやしき)」と名付け公開しています。


※写真はイメージ

国の登録有形文化財として認定された蔵12棟の中には、嘉永元年建築でいまだレストランとして営業中のものもあり、大切に収納されてきた多くのお宝や庭園とともに四季おりおりの風情を楽しませてくれています。江戸、明治、大正、昭和と流れた時代に使われてきた斎藤家七代の家具、農機具、衣装、食器、書画、玩具など、豪商の生活雑器を蔵のひとつひとつをまわりながら見て歩く1時間はとても充実しています。

蔵王に移住して以来、ペンションのお客様を案内してたびたび訪れますが、手入れの行き届く館内や展示に共感を覚えるのは私だけではないようです。若い移住者を歓迎する丸森町の姿勢に水を少しさした東日本大震災は残念でしたが、もう影響はほとんどないようです。(白石蔵王駐在 渡辺 和夫)

丸森町観光案内所「蔵の郷土館齋理屋敷」
http://marumori.jp/spot/sairiyashiki/

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☆渡辺さんが経営する宮城蔵王・遠刈田温泉郷ペンションそらまめのホームページ
http://www.soramame-p.com/
「ペンションそらまめ」で検索できます。

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栃木◆那須/毎年恒例!ヒヤリと安堵の手作り味噌作り【高久の里山日記リターンズ】

この記事の投稿者: ふるさと情報館・那須店/高久 タケ子

2018年5月14日


3月24日 味噌作り一日目 参加者31名

年に一度の味噌作りイベント本番の朝がやって来ました。今日と明日の2日間は大釜に火を焚き付け、皆さんが集まるまでに味噌豆を煮ておくという責任のある仕事が任されています。

早朝4時ちょっと過ぎ、懐中電灯の明かりを頼りに大釜のあるテントの方に向って歩き出すと、シャリ!シャリ!と霜を踏み締める音がして、枯草や薪の上に霜が降りてキラキラ光っています。大釜のそばに行くと、昨日準備の時に、誰かがすぐ焚き付けられるようにと焚き付けや薪等をセットして置いてくれていたので、とっても楽でした。お陰様で刻々と変わっていく朝の空を眺めながら今日一日の無事を祈る余裕もありました。

その後順調に燃え続けた大釜から、7時頃になると、予定どおりふきこぼれが始まったので、後は焦げ付かないように火加減するだけです。集合時間近くになると、ボチボチと集まってくる参加者に「一度に作ることができないので、順番に始めて下さ~い!」と日野屋さん(※毎年手作り味噌の指導をお願いしているお味噌屋さん)の声が掛かり、いよいよ味噌作り開始です。


大釜から熱熱の味噌豆が入った大きなザルが運ばれてくると、次にその味噌豆を潰すのですが、今は電動なのでとっても楽で捗ります。潰した味噌豆の中に麹と塩を混ぜ合わせ、煮汁を入れて良く練り合わせ桶に詰めます。

その時に味噌玉を思いきり桶に叩き付ける人がいますが、日野屋さんの話では、重石を載せるのでそうしなくても大丈夫だそうです。自分の味噌は自分で作るのですが、皆さんそれぞれにお手伝いをして、和気あいあいと味噌作りをしていました。

1年たって味噌が食べられるようになると、嬉しくって30㎏入った桶から大盤振る舞いで知り合いにあげて気が付いたら自分の食べる分が無くなってスーパーから買って食べた、という人が数人いました。貰った人達も一度食べると次も催促されるのだとか。嬉しいことですね。

3月25日 味噌作り二日目 参加者29名

寝過ごしては大変!と、うたた寝程度の睡眠で、今朝も4時に起きて大釜に向う。昨夕大雨が降りテントまでの道はグチョグチョで、テントの中にある大釜の焚き口や薪が濡れたり湿ったりと想定外の事が起こっていた。

色々な焚き付けを探して火を付けてもその時だけですぐ消えてしまう。頻り色々試しながら考えていると、同級生のいっちゃんの言葉が閃いた。イベントの度「割箸捨てないで取っておいて~。これ焚き付けにすごく良いんだよ~」と言っていたのを思い出し、それを持って来て直接火を付けると、初めはポヤポヤと頼りない炎が、あっという間に釜口に詰めておいた色々なものに燃え移り、バンザーイ!と叫びたい心境でした。昨日より1時間遅れで始まった味噌豆煮ですが、30分遅れぐらいでふきこぼれが始まったので「ふぅ~やれやれ~」と安堵の胸をなでおろしました。


昨年1歳8ヶ月で参加した男の子が、今年は2歳8ヶ月になりちょっと男っぽく?なって再び参加しました。坊主頭にエプロン姿で忠実に動く姿は、パパのコピーそのものです。お母さんの側でちょこまかとお手伝いをしているので、熱熱お煮しめを差し入れするとおいしそうに食べていました。


昼食の準備が整い、それぞれ席に着き「いただきま~す!」と食べ始まって少したった時、男の子が突然大声で泣き叫び出しました。焼魚の小骨が喉に刺さったとかで、何としても泣き止まないので病院に行くことになり、パパが迎えに来ました。男の子の名前が呼ばれると、「ウワ~ッ!」とご機嫌な声を張り上げ、大きく広げたパパの腕の中に駆け込みました。男の子を抱き上げると、「喉が痛かったんだよ」という男の子の話をやさしく聞いているパパの姿に、シルバー世代の私達は「CMかドラマのひとコマを見ているようだね~」としばし見入ってしまいました。


病院の診断は、いつの間にか小骨は取れてしまったらしく、大丈夫だとのことで安心しました。泣きじゃくっているうち取れたかな?

今年も無事終わりました。1年後の味噌がおいしくできることを祈っています。お疲れ様でした。
(那須店 高久 タケ子)

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宮城◆白石蔵王/緊急提言!ペンションを受け皿に【遠刈田温泉・ペンション奮闘記】

この記事の投稿者: 白石蔵王駐在/渡辺 和夫

2018年4月21日

政府は12 年後の2030年には昨年比2倍強の年間6千万人の訪日観光客を見込んでいると発表しました。年間8百万人台で長く伸び悩んでいた訪日客が加速度をつけて多くなっているのは最近どこでも実感できます。浅草の雷門に行ってみると、平日なのに世界中からきた観光客の人波のすさまじさにおどろいてしまい、この2倍の人をどう捌くのかと考えてしまいます。

農水省は旗をふって農家民宿の推進、拡大をうたい、この6月には法改正で一般民家への民泊もかなり緩和させるようです。訪日客受け入れには単純にいうと、いまの2倍のベッドが必要なわけですが、客を泊める部屋や家族でもてなすことのできる農家が簡単に増えるわけもあり得ません。ちなみに観光と農業の町を称する蔵王町に農家民宿は一軒もなく、その姿勢も見えません。

先日、農泊推進のセミナーが仙台でありましたので、『日本には50年ほどの歴史をもつペンションという民宿が全国にあり、高齢化で休業状態の店が多いから、この業態を観光庁の力で再編成、設備や経営をリノベーションして若い起業家に任せたら訪日客のすばらしい受け皿になる』と提案してきました。

消防署、保健所などからの営業許可もすでに持ち、宿としての仕様も農家民宿の比ではありません。イギリスのB&Bに匹敵する宿泊文化を日本につくりだす機会をこの爆発する訪日観光客がもたらしてくれるはずです。 一世を風靡した日本のペンション群の再生は、いまならまだ充分間に合います。(白石蔵王駐在 渡辺 和夫)

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宮城◆白石蔵王/蔵王山の咳払い~火山活動【蔵王ツーリズム・遠刈田からの手紙】

この記事の投稿者: 白石蔵王駐在/渡辺 和夫

2018年3月24日

2月早々、4年前の発令を繰り返すように蔵王山の火山活動が再発とニュースが流されました。火山列島の日本では、いつもどこかの活火山の咳払いが高感度のセンサーで捉えられて噴火警戒レベルを示されて緊急通報されます。

ほとほと困るのは、観光ヘの悪影響です。想定火口に近い市町村の一部だけに伝えられ、住民に万一を用心してもらえれば充分の、ごくごくの初期情報が瞬時に全国放送されることです。

御嶽山、箱根、草津と鳴動が続いたあとの放映でしたので、蔵王もやはり怖いという風評が発信されてしまいました。厳冬期で、山頂の想定火口の周囲1200mに近づくのはベテランのスキーヤーぐらいなのに、10㎞も離れた温泉街や多くの別荘地まで警戒され、観光客の敬遠を呼んでいます。

噴石はむろん、噴煙も見えず、感じる振動も全くありません。山頂に沢山埋められた感知計がかすかな微動を感じたという根拠ですから、何度空撮しても、いまは雪に埋もれて静かに眠る「お釜」が写るだけです。

大火事は一過性で済む事故ですが、噴火予測の風評は発令以後に何年も残って地域経済を苦しめます。安心、安全のための情報が住民を泣かすことがないように報道の仕方、表現には普段から工夫を考えたいものです。刺激の強かった草津本白根山噴火の報道はその点、上手で、噴火情報を逆手に使った宣伝になっていたのには感心しました。(白石蔵王駐在 渡辺 和夫)

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栃木◆那須/餅つき&そば打ち~ごちそう尽くしの年末【高久の里山日記リターンズ】

この記事の投稿者: ふるさと情報館・那須店/高久 タケ子

2018年3月13日

12月30日 お正月用餅搗き大会 25名参加
気になるお天気は、時々風花が舞うちょっと肌寒い日で、「餅搗きが終わるまで、このまま持ってくれ~!」と願うはらはら天気です。朝8時頃になると、ぼちぼち集まって来た人達は慣れた手順であっという間に準備完了。開始予定の9時ごろには「さぁ~そろそろ始めるよ~」と声が掛かり、三人の搗き手が気合いを入れて餅搗き開始です。

しかし一年振りなのでお隣さんの杵とぶつかりっこしたり、臼の縁をたたいたりとなかなか調子が出ない・・・。そんな空気の中、「餅搗き歌やったらどうかな?」という誰かのリクエストに、我が夫が歌い出したが、途中で「あとは分からないっ!」と止めてしまい、止む無く私が歌うことになり「カラスめが~木からボッこちて~よまいごと~♪」と歌い出すと、なんと!余計にテンポが合わなくなり、笑ってごまかしました。

何とか1回目の餅が搗きあがり、「御供え餅」をつくり、今日頑張ってくれている皆さんにプレゼントすることにしました。「餅丸めるの初めてなんだけど~」と不安がっていた人も終わる頃にはとっても上手になりました。

本日の予定4升(6㎏)10回も順調に進み、搗き納めはいつの間にか恒例になった女子衆の出番です。「ソ~レ!」「ガンバレ~!」「ヨイショ~!」の声援の中代わる代わる搗いていましたが、いきなり「違う~!」「逆~!」「ダメ~!」と叫び声が飛ぶので、「何事か?」と見上げると、振り上げた杵の先の向きが違い、すんでのところで気が付きセーフ。この餅は「ミズキリ」(臼の中で一口大にちぎり熱湯に入れる)にして「納豆、あんこ、大根おろし、ごま」等を絡めて昼食においしくいただきました。夜は慰労会兼忘年会をやったのですが、腕が疲れ切って箸が持てないという人もいたようです。

12月31日 晦日そば
今年最後のイベントになる年越しそば作りをやりました。我が家の畑で収穫したそばの実を「道の駅・東山道伊王野」の巨大石臼でそば粉を碾き、そのそば粉でめいめいに手打ちそばを作ります。1年に一度この日だけ皆さんと一緒にそば打ちをやる我が夫は、昨日(餅搗き)の疲れが残っているとかで、水回しの時辛そうでした。もしかしたら忘年会の疲れも手伝っているのかな~とも思いました。

ひととおりそば打ちが終わると、お昼には “ 今年の締めのラーメン ” を食べます。毎年手作りチャーシューを差し入れてくれる方がいて食べ放題です。ラーメンをお腹いっぱい食べ、片づけが終わると、今年のイベントはすべて終わり。「来年又、元気で会いましょうね~!」と挨拶の後、年越しに食べる手打ちそばを、それぞれ大切に抱きかかえて帰途につきます。皆さんにアドバイスを受け、息切れしながら作ってくれた年越しそばを我が家でもおいしくいただきました。

コンニャク作りの時に搾り始めたお醤油を搾りたて生醤油として「釜あげうどん」や「釜炊きごはんのお焦げ」にかけておいしく食べ、その後もずーっと搾り続け、12月中旬に最後の一滴まで搾り切りやっと終わりました。その後火入れをして澱を沈めてビンに詰めましたが、いつもよりちょっと少なかった・・・どうしてだろう~?と思い返すと、原因はかき混ぜの手抜き、、、らしい。

素人考えですが、手抜きをしたことで発酵が弱く、醤油の量が減ったのかなと思うと、手抜きの結果に納得しました。

この醤油を使ってくれた人が、「濃くておいしいね~」と褒めてくれたのですが、素直に喜べませんでした。「初心に返って頑張ろう!」と改めて心を決めました。(那須店 高久 タケ子)

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【毎年恒例・那須味噌づくり】
今年も募集します!まだ参加したことがない方、初めての方はお気軽に参加ください!
使用できるのは1年後ですが、毎日の朝のお味噌汁が劇的に変わりますよ!

日 時:3月24日(土)9~14時
        25日(日) 同上
※雨天決行
場 所:ふるさと情報館・那須店
参加費:大人3000円、子供1000円
     (昼食・飲み物、お土産代含む)
味噌代:白米15,000円。
      玄米16,000円。
       ※ポリ桶付きの場合は
       +1,280円。
締切り:3月10日
お申込:ふるさと情報館・本部
    TEL:03-3351-5601

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長野◆蓼科/普通のおじさん・おばさんになるのが大事です【信州蓼科・タイムカプセル】

この記事の投稿者: 信州蓼科エリア案内人/ 星野 登美夫

2018年2月23日


2017年発表の長寿ランキングは長野県は男子が2位、女子が1位となっています。寿命が延びるのは結構なことですが、元気でいられるかが問題、全国統計で65才を迎えた平均余命は男子は20年、女子は24年と言われており、これを長いと見るか、短いとみるか。見方はそれぞれ、平均余命までは自分のことが出来る元気さでいたいと思います。

新聞によると、65才~79才の男女で定年後に定職に就いてない人の割合は70%とのことでした。この中の無職の人は毎日どうしているのでしょうか?田舎ではシニア向けの仕事が沢山有りますので、その方達に田舎暮らしをして欲しいです。田舎に実際に移住された方は、家庭菜園や仕事に一生懸命、元気に暮らしている人がほとんどです。

happy senior

たとえば地域の自治会に入って役員をやり、また地元の公民館活動などに積極的に参加して、地元の人と親しい知人同士になっています。そんな方達に話を聞くと、都会に居た頃の話や、現役時代の話はなるべくしないで、普通のおじさんおばさんになるのが大事とのこと。都会で仕事が無く、また、人付き合いで悩んでいる方には思い切って田舎へ来て元気な暮らしをして欲しいです。(信州蓼科店 星野 登美夫)

宮城◆白石蔵王/田舎暮らし再び・・・時代背景による新たな潮流【遠刈田温泉・ペンション奮闘記】

この記事の投稿者: 白石蔵王駐在/渡辺 和夫

2018年2月20日

田舎で暮らす魅力が再び脚光を浴びています。何度も来たブームですが、これまでとは違うその背景は、

1)高齢化が進み、地方の町の好物件が各地で空き家化して増えていること。
2)AI社会の拡大で、従来型のサラリーマンでは、現職で働いていても先が見えなくなってきていること。
3)都会地はミニバブル化しているが、地方では不動産価格が低落、買いやすくなっていること。
4)借りる融資の金利が低いこと。
5)JRや道路など都会地との移動のアクセスの進化。
6)テレビやSNSなどで田舎の暮らしやすさが盛んに伝えられ、田舎への抵抗感がなくなってきていること。
7)地方の行政が移住相談窓口を積極的に打ち出していること。

などが移住での心機一転を押しています。

昨年末から近くの2つのペンションの仲介をお手伝いしていますが、見に来られる方々は定年はまだはるか先なのに都会暮らしを見切っておられることに驚きました。

「緑の少ない人工的な町の人混み」、「仕事や人付き合いの激しい軋轢」をもう切り上げて、「自然の中で生きていきたい」といわれます。マイペースでスローダウンしても暮らしいていけそうだと話されます。その後押しには、「自立の応援」、「起業の事例紹介」、「創業のヒントやアドバイス」などを本誌も誌面を割いてより多くするべきと思います。(白石蔵王駐在 渡辺 和夫)

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宮城◆白石蔵王/野に還る ~ 樹木葬 ~ 景観、生態系の保全再生【蔵王ツーリズム・遠刈田からの手紙】

この記事の投稿者: 白石蔵王駐在/渡辺 和夫

2018年1月31日

※写真はイメージで、本文と直接の関係はありません。

平泉の中尊寺に近い里山に、私ども夫婦が考えている「終の住処」、つまり、次の世に移り住むことになる居所、「樹木葬」の墓地があります。NHKのテレビで存在を知り、早々に申し込まれていた知人夫婦から教えられ、私どももすぐそばの区画に決めました。いまから10年前です。来世もずっとお隣さんというわけです。

現在、すでに1600人の方が眠られているここには、墓石はひとつもなく、木立にウッドチップの敷かれた歩道が縦横に交差しているだけの里山です。どこの墓地でも感じるあの陰鬱な空気がここにはまったくありません。

重苦しい墓石がなく「ありか」を示すのは20センチほどの、名の書かれた木札が土に挿してあるだけ。やがてはこれも朽ちて後は元の山野に同化します。

岩手県一関市の名刹・祥雲寺の住職が創設したこの葬法は、いま全国各地に亜流を産んでいますが、景観、生態系の保全再生を兼ねて樹木を墓石のかわりに使う発案を、ビジネスではなく学術的にすすめている本事業の確かさを、いつかは住人となる私は誇りに感じています。

【岩手県一関市・祥雲寺】

ここを紹介してくれたご夫婦のご主人が昨年先立たれて仏様となり、葬法の流れや仕組みを実例として教えていただく機会を得ました。卒塔婆はなし、線香も焚かず、生花のほかは、野生動物の餌付けを避けるため供物もなしの納骨ですが、簡潔で厳粛な野辺送りになったと伺いました。

信教・宗派は問わず、以後の年回忌もないので遺族の負担もほとんどありません。「平泉」や「名勝・厳美渓」に行かれる機会があれば、ぜひお立ち寄りを。

(白石蔵王駐在 渡辺 和夫)

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