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岩手◆遠野/住み継ぎと文化の継承【みちのく岩手・新遠野物語】

この記事の投稿者: みちのく岩手事務所/ 佐々木 泰文・佐々木 敬文 

2022年10月4日

▲次世代に残したい遠野の風景

当地方に移住されて長年楽しまれた方々が、高齢化に伴い自動車の免許更新のたびに返納を考える事があるとのお話を聞きます。

それと同時に、田舎暮らしも十分楽しんだので、老後の生活の準備としてご親族の近くや、利便性の良い街に引っ越そうかとのお考えから、最近は住み継ぎの物件として、売出を依頼されることが多くあります。

また、田舎暮らし物件をお探しの方々にとっても、生活用環境が整って直ぐに移住できる物件は好都合なようで、短期間で購入者が見つかることが多いです。

ご自分たちが楽しまれた日々、時間は何物にも代えられない貴重な宝物だと思います。

そして、その思いは次代の方々に引き継がれて有形無形の自然環境生活の文化づくりに繋がっていくものと思われます。

これから当事務所もスタッフ共々、生活文化づくりに貢献できているとの気概を持って取り組んで行きたいと思っています。(みちのく岩手事務所 佐々木 泰文)

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岩手◆遠野市/森フェス2022 in 遠野 ~ こんな山しかない所に ~【みちのく岩手・新遠野物語】

この記事の投稿者: みちのく岩手事務所/ 佐々木 泰文・佐々木 敬文 

2022年9月16日

▲会場入り口。受付で検温をすませ、森の中へ。

~ こんな山しかない所に ~

岩手県内、とりわけ山に囲まれた盆地の遠野市でふるさと情報館の仕事をしていると、多くの方からこのような言葉をいただきます。

そのニュアンスはそれぞれに異なり、近隣に転入者が越してきた方からは「こんな何もない田舎へようこそ。でもどうして?」という疑問であったり、新規に申し込みをいただく売り主様は「こんな田舎の古い家を買う人なんかいるのかな?」という不安からの言葉であったりします。

確かに岩手県の森林面積は約118万haといわれ、北海道に次いで2位の面積を有しているそうです。また、県の総土地面積に対する割合においては、なんと77%を森林が占めており、そういったデータからも〝山しかない?という表現は決して大げさでないという事が分かります。

2022年7月30、31日、そんな岩手県遠野市のとある山の中であるイベントが開催されました。

「森フェス2022in遠野」と題されたこのイベントは、森でかたり 森でうたい 森であそぼう!というコンセプトそのまま、ほとんど手つかずの山林の中に様々なコンテンツのブースが並びました。

気温が体温に迫ろうかという真夏日の中、青々と伸びる森の木々が強い日差しから守ってくれて、会場の丸太の椅子に腰を掛けると心地よい風が流れます。

▲森ヨガの様子。見上げる空と木々のコントラストも素晴らしい。

▲ 木を加工した“ 入場証”。

メインステージでは語りや音楽ライブ、太鼓や人形劇の公演などが行われ、特に森ヨガは自然の空気との相乗効果で参加者にとってとても充実した時間になったようでした。

▲左手のメインステージの屋根も木製の手作り。体験コーナーなどのテントも並ぶ。

各ブースでは焼き鳥やパン、コーヒーなどの販売、木工、炭づくりや山仕事の体験コーナーなどがあり、ツリークライミングの会場ではたくさんの子供たちが木登りを楽しんでいました。

2日間にわたる森フェスは大盛況のうちに幕を閉じました。イベントを主催した「NPO 法人遠野エコネット」は平成16年に遠野市民の有志で発足、以後平成22年にNPO 法人化し、森(自然界)とヒトとの関係を取り戻し、後世につなぐ活動をしています。マンスリーサポーターの応援も随時募集中です!

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※NPO法人遠野エコネット https://tono-econet.org/
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「山しかない」岩手県ですが、同時に環境を活かして「山でしかできない」ライフスタイルを描けるのも緑豊かな東北の魅力の一つだと、改めて感じさせてもらえる良い機会になりました。(みちのく岩手事務所 佐々木敬文)

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岩手◆盛岡市/もりおか町家物語館 ~ 蔵が作り出す街並み ~ 【みちのく岩手・新遠野物語】

この記事の投稿者: みちのく岩手事務所/ 佐々木 泰文・佐々木 敬文 

2022年8月31日

皆さんは〝蔵のある家”と聞くとどういうイメージを持たれるでしょうか?

豪邸?お金持ち?お城?など・・・歴史のある名家を思い浮かべるかもしれませんが、田舎で古民家の取り扱いをしていると〝蔵のある家”によく出会います。

蔵の中には金銀財宝はなく、当時は米などの農産物の貯蔵用に建てられたものが物置として使われていた場合がほとんどです。みちのく岩手事務所がある岩手県遠野市は、江戸時代に遠野南部氏1万2000石の城下町として栄えていました。遠野駅や市役所周辺の市街地は、その歴史の趣を残した街並み作りがされています。

▲鍋倉城址から見下ろす遠野市街地。

事務所のすぐ裏手にあたる「蔵の道ひろば」は、リフォームされた土蔵などの趣がある建物の中に芝生が敷かれた公園となっており、イベント会場や観光の休憩スポットとなっています。かつて南部氏が治めた盛岡藩の中心にも、古い建物を活かした街並みづくりによって観光スポットになっている場所があります。それが今回ご紹介する盛岡市鉈屋町(なたやちょう)の「もりおか町家物語館」です。

▲蔵の道ひろば。左手の建物は綺麗な公衆トイレ。

この施設は、盛岡地区で最も歴史のある蔵元の一つで2006年まで酒造りが行われていた「岩手川」の鉈屋町工場の酒蔵を改修し、2014年に「もりおか町家物語館」として開館されました。母屋・文庫蔵・浜藤の酒蔵・大正蔵の4棟の建物の他、下屋の通路や屋外の広場を含めた6つのエリアで構成されています。

▲もりおか町家物語館。

文庫蔵だった建物は展示スペースになっており、原敬元内閣総理大臣をはじめとした岩手の偉人や歴史の資料が常時並べられている他、2階は絵本などがあるキッズコーナーになっており、お子様連れでも楽しめる空間になっています。

続きの母屋へ入ると、高い吹き抜けの見事な和室が目に入ります。畳の上も見学OK、上り口の下駄箱に上靴を入れてお邪魔します。昔懐かしの引き出しのたくさんついた階段を登ると、2階の和室にはこれまた懐かしい家電製品や食事のサンプルの置いてある部屋も、まるでタイムスリップしたかのような〝映える” 写真が撮れる事間違いなしです。

▲見事な造りの母屋。階段は急だが登りたくなる。

▲選べるアイテムで、撮影会や寸劇が始まる事間違いなし。

続いて「大正蔵」を見てみましょう。大正時代に建てられたこの建物は、大きな貯蔵樽を置くのに合わせて作られたため1階の天井が高く、開放的な造りになっています。そのおかげもあり1階部分の「時空(とき )の商店街」はまるで昔の商店街がそのままアーケード街になったような空間になっています。

▲時空の商店街。軽食や民芸品販売、酒造りの歴史の展示も楽しめる。

2階は展示スペースっとなっており、企画展が開催されている時には合わせて見学が可能です。最後に紹介する建物は浜藤の酒蔵。江戸時代に建てられたこの建物は、現在は酒蔵の歴史をつづったパネルなどが展示される浜藤(はまとう)ギャラリーとして開放され、舞台機能を持った浜藤(はまとう)ホールは音楽や演劇のイベント会場として貸し出されています。

土蔵を改修した建物の中で聴く音楽は格別で、演奏や歌声がダイレクトに心に響いてくるようです。先に紹介した遠野の蔵の道ひろばでも土蔵をリノベーションした飲食店での音楽ライブを何度も聞かせていただいており、土壁と音楽の相性の良さを改めて感じました。

▲浜藤ホール。この日は音楽のライブが開催されていた。

みちのく岩手事務所が取り扱った物件にも、土蔵をお洒落なくつろぎ空間に改装し、音楽を楽しんでおられた方もいました。 「蔵つき物件?」「何に使うの?」「要らないよ」と思うような物件でも、引き継ぐ買い手さん次第では価値のある素敵な場所に変身するかもしれませんね。(みちのく岩手事務所 佐々木敬文)

もりおか町家物語館 https://machiya.iwate-arts.jp/
電話番号:019-654-2911/FAX:019-654-2913
住 所:盛岡市鉈屋町10番8号
休業日:毎月第4火曜日(その日が祝日の場合は、その翌日)及び12月29日から1月3日
営業時間:午前9時から午後7時(最終入場 午後6時30分)
*浜藤ホール(浜藤の酒蔵)は利用時のみ午前9時から午後9時30分


 

岩手◆遠野市/遠野パドロン ~ 新しいビール農業の挑戦 ~ 【みちのく岩手・新遠野物語】

この記事の投稿者: みちのく岩手事務所/ 佐々木 泰文・佐々木 敬文 

2022年7月23日

▲遠野ホップ収穫祭で販売された遠野パドロンフリット。

日本有数のホップの産地・岩手県遠野市。毎年秋にはキリンビール株式会社から遠野産のホップを使用した「一番搾りとれたてホップ生ビール」が発売され、全国の食卓に彩を添えます。古くから原料のホップの産地として知られてきた遠野市の中で、近年ビールのおつまみにピッタリなある野菜の生産が行われています。それが今回紹介する「遠野パドロン」です。

▲遠野パドロン(500g)

パドロンとは・・・あまり耳に馴染みのないこのパドロンという野菜、見た目は細いピーマンのような印象ですが、シシトウガラシの一種で、原産地となるスペインにある地名(Padron)が由来になっているそうです。

で、どのように食すのか?どんな味なのか?ビールとどう合うのか?という話になってくるわけですが、私がパドロンの虜になるきっかけとなったフリットは作り方が多少難しいため、家庭で調理する場合はシンプルに素揚げにするのがおススメです。

生産者さんのレシピ通り170℃の油で30~45秒ほど転がしながらサッと揚げれば、最高のおつまみの完成です。味については表現が難しいのですが、ピーマンのような苦みはなく、皆さんご想像のトウガラシのようにビリビリと辛いわけでもなく、主張は強くないけれどもとにかくビールが飲みたくなる、ススム味です。しかし流石にシシトウの仲間、中には稀にピリッと辛い「当たり」もあるので、油断は禁物です。

▲吉田代表と共に奮闘する奥さんの美保子さん。収穫中です。

それにしても、そんなスペイン原産のパドロンがどうして遠野で生産、ブランド化されて広まってきたのか?という疑問が出てくるはずです。そこで今回は遠野パドロンの生産者、遠野市青笹町の農業法人BEER EXPERIENCE(ビアエクスペリエンス)株式会社さんに伺ってお話を聞いてきました。

現地についてまず一番に感じた事。「建物、デカッ!」施設は普段通る道から見える場所にあり、テレビのニュースやSNS でも見て知ってはいたつもりでしたが、実際に行ってその目で見るとやっぱり違います。ハウスの規模、温度や水の管理方法、全てが先進的で国内のそれとは思えないほど質実共に大規模な施設でした。

それでも収穫や袋詰めはやはりヒトの手仕事。会社では10数人の方が働いているそうです。その中で選別袋詰め作業をされていた方から話を伺ったところ、なんとお一人の方は、以前ふるさと情報館の仲介で遠野に移住して来られた方、もうお一人は本誌『月刊ふるさとネットワーク』のラーバニスト訪問に寄稿してくれたことがある方でした。なんという偶然?と驚くとともに、この仕事のやりがいを再認識した瞬間でもありました。

▲数年前に訪れた時は他野菜のビニールハウスだった。

BEEREXPERIENCEの歴史は2008年に代表を務める吉田敦史さんが奥様の美保子さんの実家である青笹町(あおざさちょう)でキュウリやトマトの栽培をしたところからスタート。2012年に露地栽培の小さな畑でパドロンの栽培を開始。2018年に会社を設立、ホップと遠野パドロンの栽培を本格化するため他野菜の栽培を終了。2019年からホップはドイツの栽培方法へのチャレンジを、遠野パドロンは現在のオランダ式の高規格栽培ハウスでの栽培を開始しています。

▲パドロン生産工場内部。開閉可能な屋根は高く、とにかく広い。

▲パドロンの実が次々と実る。

▲袋詰めは手作業。移住者の二方は忙しい中でも話を聞かせてくれた。

日本産ホップ生産、遠野パドロン生産、遠野ビアツーリズムの3つの事業を柱とした「ビール農業」を展開、「日本のビアカルチャーをもっとおもしろく」をモットーに日々奮闘中です。(会社紹介より抜粋)

今回紹介した遠野パドロン他商品のお求めやイベント出店情報、遠野ビアツーリズムへの参加申し込みはBEER EXPERIENCEホームページまで。ホップ生産によりビールの文化が根付いた遠野に一から新しい文化として加わった「遠野パドロン」。ビールを飲まれない方も是非一度お試しを。(みちのく岩手事務所 佐々木敬文)

BEER EXPERIENCEホームページ
https://www.beerexperience.jp/

岩手◆盛岡市/一岩・ICHIGAN J2いわてグルージャ盛岡【みちのく岩手・新遠野物語】

この記事の投稿者: みちのく岩手事務所/ 佐々木 泰文・佐々木 敬文 

2022年6月14日

今から20年前となる2002年の6月、日本は空前の盛り上がりの中にありました。オリンピックに並ぶ世界的な大イベント、サッカーのワールドカップが日本と韓国の共同という形で開催され、日本代表チームも本大会初勝利と初のベスト16進出を決めた歴史的な大会でした。

日本で男子のプロサッカーリーグであるJ リーグが開幕したのが1993年。わずか10のクラブチームから始まったリーグは、現在はJ1、J2、J3あわせて計58のチームが参加する大きなリーグとなり、全国の地域の発展を支える一つのコンテンツとなっています。

岩手にも社会人サッカーリーグを経て2014年よりJ3に参入し、昨年2位になった事で〝昇鶴”して今シーズンからJ2の舞台で奮闘しているチームがあります。それが「いわてグルージャ盛岡」です。

〝グルージャ”はスペイン語で〝鶴”という意味で、南部家の家紋の鶴に由来しており、方言の〝じゃじゃじゃ”や盛岡三大の一つである〝じゃじゃ麺”も取り入れているそうです。

2022年シーズンもクラブを率いるのは3年目となる秋田豊監督。ワールドカップ初出場となったフランス大会と2002年の日韓大会の日本代表メンバー23人に名を連ねた名DFです。J2挑戦の年となった今シーズン、グルージャは開幕戦となる3月5日のアウェイ戦に見事勝利、3月の5試合を2勝1敗2分けと上々のスタートを切ります。しかしホームで苦戦が続き、ゴールデンウイーク中の本拠地いわぎんスタジアムでの試合も落としてしまい、しばらくは残留をかけた戦いが続きそうです。

それでも、スタジアムには老若男女たくさんのサポーターが駆け付け、手拍子や太鼓でチームを応援します。以前のように声を出しての応援が出来るようになるのはまだ先かもしれませんが、その分ピッチ上の選手達の声がダイレクトに聞こえ、必死で走り回っている姿からはこちらが勇気をもらえます。

参加22チームと最もチーム数の多いJ2リーグは、年間で42試合というサッカーとしては過密なスケジュール。様々な面で苦しい戦いが続くと思いますが、それだけたくさんの人に岩手の事を知ってもらえるチャンスもあります。チームもサポーターも「一岩」となって最後まで戦い抜ける事を信じています。

岩手のチームとしてはプロバスケットボールB3リーグに所属する岩手ビッグブルズや、ラグビーのジャパンラグビーリーグワンに所属する釜石シーウエイブスRFC などもあります。シーウエイブスの本拠地釜石鵜住居(うのすまい)復興スタジアムは、2019年のラグビーワールドカップの会場にも選ばれ、残念ながら台風の影響で試合は実現しませんでしたが、各種イベントやサッカーの試合などにも使われて復興のシンボルとして地域に根付いてきています。

10年先、20年先はどんなスポーツが流行して地域を盛り上げているのか?それは20年前の日韓ワールドカップの時に、将来岩手にサッカーのプロクラブが出来る事なんて予想も出来なかったように、想像は難しいですが、声を出して笑顔で平和に競い合う場が残ってくれる事を願います。(みちのく岩手事務所 佐々木敬文)

岩手◆花巻市/復活のマルカンビル大食堂 ~ 箸で食べるソフトクリーム ~【みちのく岩手・新遠野物語】 

この記事の投稿者: みちのく岩手事務所/ 佐々木 泰文・佐々木 敬文 

2022年5月24日

▲階段の踊り場には全国のファンから感謝の気持ちと閉店を惜しむ寄せ書きが貼られている。

デパート、百貨店――――。その定義はちゃんと存在するようですが、近年の大型ショッピングモール等の進出もあり、その区別をあえて意識する人は少なくなったのではないでしょうか?私が幼少の頃はちょっと大きなスーパーも〝デパート”だと思っていたものです。岩手県にもカワトク(川徳百貨店)と並び、古くから多くの人に愛されてきたデパートがありました。それがマルカン百貨店です。

▲花巻市中心部に建つマルカンビル。窓のある6階部分が大食堂となる。

――――ありました、と過去形にさせていただいたマルカンには、紹介する上で欠かせない物語があります。マルカン百貨店が現在の〝マルカンビル”で営業を始めたのは1973年。最盛期には屋上に遊園地、近隣にボウリング場やカラオケボックスなどの複合店舗も展開していましたが時代の流れと共に閉店。そして2016年6月、前年の耐震診断で不適合の診断を受けたビルも閉鎖が決定し、43年の歴史に幕を下ろしたのです。

マルカンが閉店する!!という衝撃の知らせは岩手県内で大きな話題になり、全国のニュースで等でも取り上げられました。その歴史のあるマルカンビルが存続・復活へ向かうきっかけになったのは、意外にも地元の高校生達による存続を求める署名活動だったそうです。そこへ若手経営者が賛同して存続プロジェクトが立ち上がり、動きは一気に広まりました。

▲マルカンビル大食堂。昭和のデパートの食堂の雰囲気そのままだ。

しかし、当然のように老朽化した建物を残すには多くの問題、とりわけ改修費の課題が大きな壁となりました。クラウドファンディングを行ったところ、なんと2億円を超える協力金が集まり、2017年の2月20日、閉店発表からわずか8か月で見事復活を果たしたのです。

なぜそこまで多くの閉店を惜しむ声、存続を願う声が集まったのか?その魅力の中心にあったのがビル6階の大食堂です。「可能な限りそのままの形で存続させる」その言葉通り、昭和を感じさせるレトロな雰囲気をそのままに〝マルカンビル大食堂”は復活したのです。

6階でエレベーターのドアが開くと、手前両側に食品サンプルの並ぶショーケースが目に飛び込みます。同時に正面にはレジに並ぶお客さんの列。休日の昼の時間帯にはこの行列が階段、5階から4階くらいまで続くため、エレベーターで6階まで行ったのに階段を下らなければならない事態になります。そのため階段の踊り場にもメニュー表が貼られており、待ち時間にもラーメンや洋食、寿司など全部で100種類以上のメニューの中から迷って選ぶ楽しみがあります。

▲マルカンビル大食堂からの展望。花巻市の市街地が見渡せる。

ようやくレジで食券を購入したら、560ある席から好きな場所を選んで座ります。人気の席はやはり見晴らしの良い窓際の席でしょうか。花巻の街を見渡せる他、天気の良い日は遠くに山地や透き通った空を望む事ができます。ホールで接客をしてくれるのはウエイトレスさん。そうです。〝古き良き昭和のウエイトレスさんの制服を着たウエイトレスさん”です。

その他食器や内装、もちろん料理の味をふくめて、1960年代から変わらない雰囲気をそのまま感じる事ができます。料理を待っている時間に周りを見ると、家族連れから若いカップル、老若男女問わず本当に幅広い層のお客さんが食事を楽しんでいます。その中で、数あるメニューの中から多くのお客さんが注文しているメニューがある事に気がつくはずです。

▲定番のナポリかつ 870円

▲名物ソフトクリーム 230円

マルカンビル大食堂名物の〝10段巻きソフトクリーム”です!高さ約25㎝、割り箸を使って食べるこのソフトクリームは、ウエイトレスさん達が運ぶトレイの上にたくさん乗せられ、各席へ次々と配られていきます。他にもボリュームたっぷり定番のナポリかつや辛口のあんかけが人気のマルカンラーメンなど、迷った時はコレというメニューもあります。

マルカンビルは現在6階の大食堂の他、駄菓子屋やカフェが入る1階と、2階と地下1階の一部のみ営業しており、マルカングループの経営店舗は別にありますが、若い有志が残し引き継いだマルカンビル大食堂、皆さんも是非一度足を運んでみてください。
(みちのく岩手事務所 佐々木敬文)

岩手◆遠野/SL銀河 ~ 賢治が描いた夢の世界へ 【みちのく岩手・新遠野物語】

この記事の投稿者: みちのく岩手事務所/ 佐々木 泰文・佐々木 敬文 

2022年4月8日

▲(2014年ナイトクルーズ時/めがね橋)まさに” 銀河のプラットホーム”。

2021年11月、岩手県民にとって少し残念なニュースが入ってきました。沿岸地域の復興と沿線地域の活性化を目指して活躍してきた鉄道「SL 銀河」が、2023年の5月ごろをもってその運行を終了すると発表されたのです。

SL 銀河の機関車は昭和15年に製造られたC58形蒸気機関車239号機。その後約30年の間、当時の宮古機関区を中心に岩手県内を走っていた車両で、一度引退して以降は2014年の4月にSL 銀河として復元運行されるまでは盛岡市にある交通公園に保存されていました。

運行終了まで残り1年あまりとなったSL 銀河ですが、つい先日2022年の運行予定が発表されました。SL 銀河が走るのは、作家・宮沢賢治の生誕の地として知られる花巻市と沿岸の鉄の街・釜石市とをつなぐJR 釜石線です。

釜石線は他の少子高齢化地域のローカル線の例にもれず利用者が年々減少し、本数は2時間に1本、駅もほとんどが無人駅、1両編成のワンマンカーも全く珍しくない〝ザ・田舎の路線”です。

▲2015年のクリスマスクルーズ。パノラマビュー(JR 東日本HP)

「銀河ドリームライン」の愛称名がつけられている釜石線は、その全ての駅にもエスペラント語の愛称がついており、みちのく岩手事務所のすぐ近くの遠野駅にはフォルクローロ(Folkloro =民話)、撮影の名所「めがね橋」近くの宮守駅にはガラクシーアカーヨ(Galaksia Kajo=銀河のプラットホーム)というお洒落な愛称が付けられています。

銀河を想像させる青が映える4両の客車には宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」に登場する星座や動物が描かれ、黒光りの機関車がそれらを力強く引っ張ります。その雄大な姿と自然とのコントラストは非常に美しく、運行の時期になると全国から多くのカメラマンが撮影に訪れます。

また、沿線の街や道の駅などでは、毎年運行に合わせた観光イベントやSLフォトコンテスト等が開催され、めがね橋を通過するこれぞ銀河鉄道!という写真はもちろん、菜の花畑や郷土芸能などのコラボレーション、中には田んぼのあぜ道を馬に乗ってSL と並んで疾走するものもあり、甲乙つけがたい素晴らしい作品ばかりです。

そして観光客や地域住民を楽しませる〝音”。機関車ならではの汽笛の音は、ホームから走り出す列車を見送る人々を興奮させ、地域に鳴り響く活躍を聞く住民に〝自分も頑張ろう!”と勇気を与えてくれる大切な存在なのです。

見て美しい、撮って嬉しい、聞いて盛り上がるSL 銀河ですが、もちろん車両の中も凄いんです。内装は宮沢賢治の生きた明治・大正時代を思わせる造りになっており、ギャラリーでは賢治の作品の世界観を存分に味わうことができます。1号車には列車としては世界初となる光学式プラネタリウムも搭載しており、日常とは違う賢治が描いた夢の世界が体験できます。

最後はやっぱり〝のってたのしい列車”なんですね。SL 銀河は来年5月で運行終了の予定となりましたが、理由は客車の方の老朽化で、JR 盛岡支社では新たな観光列車も検討中との事です。皆さんもそれまでにぜひSL 銀河のご利用を、また、今後も岩手の列車を応援よろしくお願いします!
(みちのく岩手事務所 佐々木敬文)

岩手◆遠野市/三陸沿岸道路が開通しています【みちのく岩手・新遠野物語】

この記事の投稿者: みちのく岩手事務所/ 佐々木 泰文・佐々木 敬文 

2022年3月14日

▲田野畑村(たのはたむら)の景勝地・北山崎(きたやまざき)。沿岸北部の海岸段丘を一望できる。

昨年2021年12月18日、ついにこの時が来ました。三陸沿岸道路の全線開通です。岩手県の久慈IC~譜代IC間の開通により、青森県八戸市から宮城県仙台市までの太平洋沿岸部を1本で貫く、総延長359㎞の三陸沿岸道路が完成したのです。

みちのく岩手事務所がある遠野市からも沿岸部への移動が大変便利になり、自身がこれまで岩手県内で一番移動に時間がかかると感じていた『あまちゃん』の舞台、沿岸北部の久慈市にも2時間半ほど、南も宮城県の気仙沼や石巻はもちろん、東北一の都市である仙台へも内陸の東北自動車道を利用するルートに代わる選択肢ができました。

※東北の自動車道地図(国交省管轄ページより)

岩手県の面積は15280㎡と北海道に次いで2番目の大きさ。車で岩手を訪れた、または通過した事がある方であればその広さや長さを体感した事があるでしょう。さらに沿岸部は隆起海岸が発達した北部にリアス式海岸で知られる南部と海岸線が非常に入り組んでおり、太平洋に面する海岸線をピーンと伸ばした距離は700㎞を超えるとの事。東京から直線距離で北は盛岡、西は広島まで到達する長さになります。

これまで沿岸部の主要道路だった国道45号線も、その地形に倣って曲がり道が多く、高低差もあるため海岸なのに峠越えのような道のりでした。一方、新たにできたその三陸沿岸道路は、大部分が海を見下ろす高い場所に架けられており、時間距離の面でも心の面でもだいぶゆとりをもって運転する事ができます。ただ、積雪はあまりない地域ではありますが天候による路面状況への注意が必要なのと、海からの強い横風に煽られる事もあるので安全運転を心がけましょう。

▲宮古市(みやこし)の浄土ヶ浜(じょうどがはま)。さっぱ船遊覧ではカモメやウミネコが同乗してくる事も。

▲釜石市の釜石大観音。釜石中央インターチェンジ。

私自身も昨年の暮れから2回ほど石巻市の物件調査で三陸沿岸道路を利用させていただきました。石巻市へは以前からも何度か足を運んでいるのですが、新しい道路ができるたびにその変化に驚かされます。市街地へは今では遠野市の自宅から140㎞足らず、三陸沿岸道の無料区間を使い2時間ちょっとで行く事ができます。

石巻には市街地を見渡す事ができるイチオシスポット、「日和山公園(ひよりやまこうえん)」があります。また、高台にあるこの公園からは、岩手県中心部を流れる北上川の河口が見下ろせ、その中州には仮面ライダーやサイボーグ007で知られる漫画家・石ノ森章太郎の石ノ森漫画館があるのも見てとる事ができます。

▲日和山公園。頂上には神社があり、海や市街地を見渡せる。

岩手県沿岸部には、八戸や仙台から三陸海岸道路を利用できるようになった他、盛岡と宮古、花巻と釜石をそれぞれつなぐ道路も全線開通したため、内陸を通る東北自動車道からのアクセスも非常に便利になりました。また、現段階ではそのほとんどが無料区間となっておりますので、岩手にお越しの際は是非ご利用ください。まだまだカーナビに出ない道路も多いですし、サービスエリアやトイレ、ガソリンスタンドもありませんので、事前に確認等をされることをお勧めします。

みちのく岩手事務所では今後もっと沿岸部の新規物件調査、案内を拡充させていけたらと考えております。どうぞよろしくお願いします。(みちのく岩手事務所 佐々木敬文)

▲北上川の河口。中央の白い変わった形の建物が石ノ森漫画館。