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東京◆本部/地方移住を取り巻く環境の変化について~グリーンツーリズムから少子化対策へ~【静岡生まれ山梨県人・所長ふるさと随想録】

この記事の投稿者: 代表取締役・中村健二

2023年4月3日

▲『月刊ふるさとネットワーク』創刊号(1991年~2012年)の保存版。

わたしがふるさと情報館に入社したのは1995年のことだった。いまから28年ほど前になる。

その年の1月には阪神淡路大震災があり、入社の一週間前には地下鉄サリン事件が起こった。バブル崩壊後の景気後退は誰の目にも明らかで社会情勢も混沌としていた矢先のことだった。

そんな中、地方不動産を専門に取り扱うこの会社は常に時代の要請に応じてきたように思う。

会員向けの情報誌の毎月発刊と不動産実務、各地の団体と提携しながら都市と農村を結ぶ当社の基本的な姿勢は、インターネット全盛時代の今日、膨大な販売チャネルが拡散している中でも継続されているのだ。

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当時のエピソードを一つ。

ある百貨店が陶芸家の作品の展示販売をしている会場に我々も乗り込んでブースを出店した時のこと。

情報誌の購読会員を募ったものの、陶芸作品に興味ある方々であっても陶芸に適した田舎の場所探しをする人はいなく、結果的には一人の会員も得ることができなかった。

田舎探しは自分探し。人から勧められてやるべきものではなかったのだ。

▲「民話の里」岩手県遠野市に数多く残る見事な古民家。

そののち旺盛なエネルギーを持つ会員の方々によってわれわれの提唱するグリーンツーリズムが評価され、毎日新聞社本社の「グリーンツーリズム大賞」に選ばれ表彰された。

それは「ラーバニストのみなさんの勝利でもあった。

▲中山道の古き街道文化を感じる長野県佐久市の日本家屋。

その前後に当社が中心となって全国に広がりつつあった利用されない古い日本家屋を現代に蘇らそうという、民家再生の全国組織(NPO日本民家再生リサイクル協会・現 認定NPO日本民家再生協会)が生まれその理事長には日本文化の伝統を継承する観世流の能役者が選出された。

この反響はすさまじく、社内の電話は数日間止むことがなかったほどだった。

「実家」の問題がマスコミによってクローズアップされ出すとNHKの取材班が山梨県北杜市の物件を取材に来るなどその対応に忙しい思いもしたし、「空家等対策特別措置法」が成立されるやいなや(2014年、平成26年11月)、空き家活用法の事例紹介で大学の市民講座や宅建協会の地方支部などで登壇したこともあった。

自治体の「空き家バンク」ではその立ち上げとともに地方移住やいわゆる二地域居住の実務、東京のふるさと回帰支援センター等で行われている相談会や協議会等の要請を受け、いま現在もリアルやリモートで参加させていただいている。

▲文化放送第7スタ。「大人ファンクラブ」毎週土曜日6:25~。(中村の放送回は毎月第4週目)

わたしの八ヶ岳事務所が所属している山梨県の官民協同組織「やまなし二地域居住推進協議会」(通称「甲斐適生活応援隊」)でも県内の自治体に応募して活躍する多くの地域おこし協力隊のメンバーたちとも知り合うことができた。

バブル崩壊→震災→実家のあり様→民家再生→空き家バンク→移住定住→二地域居住と、地方不動産を扱う我々の日常とそれを取り巻くキーワードは常に変化してきた。そしてコロナを経験した都市住民の地方志向はリモートワークとメディアの多様化等により今後さらに加速化していくことだろう。

さらには「少子化対策」としての田舎暮らしがこれからの新たな潮流として拍車をかける勢いだ。

そして昨年末の政府発表では、東京集中是正へ支援拡充との方針から、2023年度の地方移住支援金として次のことが挙げられている。
1、地方での起業に300万円
2、地方での就職に100万円
3、子供一人当たり100万円を追加
ただし、現在東京23区居住者か東京圏から23区への通勤者限定で、移住後5年間は居住するという条件がつけられている。

自治体によっては中古物件を購入する場合に購入補助金として100万円程も出る(金額はそれぞれ違います)。

▲甲府盆地の東側に位置する山梨県山梨市。文化財級の古民家が残り、それらを大切にする工務店や設計事務所など熱意も高い。

楽しみながら古家をリノベする方々も増えてきておりその過程を自ら情報発信している。動画サイトでも閲覧回数は軒並みうなぎ登り。そうした大きな社会の変化やうねりの様なものを肌で感じられるのが、実はこの仕事の醍醐味でもある。

我々はこれからも多くのラーバニストに支えられながら事業を続けていきます。そして3年ぶりに6月から各地で「現地見学会」を開きたいと考えていますので、みなさまどうぞリアルでご参加ください。(代表取締役 中村健二)

 

山梨◆韮崎/日本列島のへそと温ぬるめの旭温泉【いくぞ甲州!所長ふるさと随想録】

この記事の投稿者: 代表取締役・中村健二

2021年6月21日

▲「韮崎大村美術館」より茅ヶ岳方面を見る。

1980年代に刊行された漫画本で、究極のメニュー作りを通じて料理と人々の営みを描き話題となった『美味しんぼ』。その第1話に主人公たちが韮崎市のペンションを訪ねる回があった。

元同僚が新聞社を脱サラし開業したのだった。その母親も一緒に暮らすのだが、フレンチを中心に出すメニューでは息子夫婦の力になりたいと思っていても、このおばあちゃんには出番はない。

主人公たちは「こんな山の中にまで来てフレンチはないだろう?」と指摘する。そこでおばあちゃんの自慢の「ほうとう」が登場。自家製の麺と出汁と野菜で山岡たちの舌を唸らす。確かそんな話だった。

今となればそのペンションがどこなのか見当はつくけれども、そこは「富士五湖」でも「清里」でもなく、「韮崎市穂坂町」というのがなんとも良い。茅ヶ岳(かやがだけ(標高1704m)の麓の町なのだ。

『日本百名山』の生みの親である深田久弥(ふかたきゅうや)が茅ヶ岳登山の途中に急逝されてから半世紀が過ぎた本年。この4月17日に東京エレクトロン韮崎文化ホールにて、氏を偲んで深田森太郎さん(久弥のご長男)の特別公演と登山家の花谷泰広さんたちの記念シンポジウムが開かれた。荒天にもかかわらず百数十人が参加した会となった。

遠く生まれ故郷の石川県加賀市からも数名のご来賓があり満場の拍手を浴びていた。そんな茅ヶ岳は韮崎市の西部、釜無川左岸にある「韮崎大村美術館」2階の喫茶室から見るのがなんとも言えず良い。河岸段丘のその先に明るい地層が見え、頭頂にはほとんど雲のかからない茅ヶ岳。日照時間日本一だといわれるゆえんだ。

▲久弥を偲んで行われた会の当日のパンフレット。

「大村美術館」とは2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞した大村智(おおむらさとし)先生のコレクションを展示した美術館だ。展示品の中では片岡球子の作品がわたしは良いと思う。ここは茅ヶ岳と対峙するように屹立した甘利山の麓の旧街道筋にあたる。

近在には「武田八幡宮」や「ワニ塚の桜」など名所旧跡も多いが、面白いのは甘利小学校北東の桃畑の一角にある「日本列島のへそ」。韮崎市の「へそ」は日本列島の東西南北の経度と緯度が交差している場所であるというのがそのいわれだ。南アルプスユネスコエコパークにも選定されている。

▲「日本列島のへそ」碑。

重心が偏らずバランスしているというのだ。言われてみればここに立つとそんな気が、しないこともない。さらにここから南西方向に1kmほどのところにあるのが人工的な手を施していない源泉100% 掛け流しといわれ、市内外から訪れる方が絶えない「韮崎旭温泉」(入浴料は600円)。

地下1200メートルの断層破砕帯から日に570トン湧出するナトリウム塩素炭酸水素泉。やや温めでゆっくり浸かっていると湯上がりに体がぽかぽかしてくる。 さて県内の自治体による空き家バンクと実務面で提携する「山梨県宅建協会」が取りまとめた内容を見てみると、韮崎市の「空き家バンク」の取り組みは県内屈指といえるほどメニューが多い。

▲旭温泉外観。

バンク利用者が購入した物件の修繕費、仲介手数料、引越費用の補助、定住目的で住宅の取得をした人への助成金など幅広く移住のハードルを下げているのがよくわかる。また、物件の売主や所有者に対する奨励金が手厚いのも特徴といえる。

「空き家バンク」とは別だが、この3月にはいわゆる「農地付き空き家」における農地法第3条第2項の「別段の面積」を一アール(100㎡)以下へとすべく協会として市へ要望している。これは空き家対策とともに就農支援と移住定住促進を今後とも図っていこうとしていることだと言われる。

期待値の高い韮崎市である。「がんばれば自転車でも暮らせちゃうコンパクトシティ」と銘打って。(八ヶ岳事務所 中村健二)

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韮崎市移住・定住相談窓口
山梨県韮崎市若宮一丁目2番50号 韮崎市市民交流センター「ニコリ」1階
電話0551 -30 -4321(9:00~18:00、第3月曜休)オンライン移住相談もあり。
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山梨◆八ヶ岳/季夏のみぎり・8月のお知らせ【八ヶ岳南麓・たかねの里だより】

この記事の投稿者: 代表取締役・中村健二

2019年8月1日

8月の八ヶ岳南麓は例年ですと、立秋のころになれば暦どおり高原では、秋風が立ちススキがなびきはじめ、コスモスが道端に咲き出します。そして甲府盆地の先に富士山がくっきりとその姿を見せる日が多くなるという時期になるのですが、昨年は記録的な厳しい残暑が続きました。

標高867m の北杜市内・大泉町にあるアメダス観測所で、昨年の立秋(8/7)には最高気温29度(平年28・2度)、最低気温21度(同18・6度)でしたが、月末31日はなんと最高30・3度、最低20・8度を記録。北杜市内でも昨夜は寝苦しい夜だったと、口にすることが増えていました。

八ヶ岳事務所(標高約750m)においても、2階のエアコンはフル稼働、1階でも日中は稼働せざるを得ない状況でした。夜になっても気温が下がらない清里では「もはやリゾートではない!」とまでささやかれました。気候変動の影響かどうか、今年の8月は気温に注視です。元気にこの暑さを乗り切ってまいりましょう!

8月の現地見学は暑さ対策とともに草の生い茂る場所もありますので、ツバの深い帽子、厚手の長そで長ズボンを着用の上、夕立や雷雨にも注意して雨具もどうぞお忘れなきようお願いいたします。

◆北杜市の空き家バンクについて

八ヶ岳事務所も協力会として参加する「北杜市の空き家バンク」についてご案内いたします。

「空き家バンク」制度の目的は、市内の空き家等の有効活用を通して、地域活性化を図ることです。「空き家バンク」制度では、物件所有者から登録していただいた市内の賃貸・売却できる物件を、「空き家バンク」の趣旨を御理解いただいた上で、利用を希望する「移住希望者」に情報提供します。

「空き家バンク」制度は、貸別荘など夏季限定での使用などとは異なるため、利用を希望する方々にも御理解いただき、次のような制約があります。
 

  1. 行政区(自治組織)に加入し、地域行事に御参加いただくとともに、地域の方々とのコミュニケーションをとっていただく。
  2. 年間を通して市内に居住、または都市(居住地)との行き来をしていただく。

空き家バンクについての詳細は、北杜市役所・地域課までお問い合わせください。
(TEL 0551-42-1323)

▲所有者の方との面談は市役所職員に私たちも同行しながら価格面の相談を受けます。また、建物内だけでなく周辺の様子なども所有者からお伺いしながら物件の魅力を探っていきます。

◆東京都・町田市で「甲斐適生活相談会」が開かれました

7月6日(土)、JR 町田駅に隣接した町田市文化交流センターにて行われた移住定住の相談会には東京の三多摩方面や首都圏から多くの方々にお越しいただき、住まいや仕事などの真剣な相談が多くありました。 今度は現地でお会いできますよう。(八ヶ岳事務所 中村健二)

八ヶ岳事務所は8月13日(火)から15日(木)までの3日間はお盆休みとなります。併設の田園暮らし体験館もご利用できません。よろしくお願いいたします。

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★☆★遠方からの物件見学の際は、「田園暮らし体験館」がお得です!


<田舎暮らし体験館とは>

ふるさと会員の皆さまに田園暮らしを体験していただくために建てられました。「リタイヤ後の田園暮らし」にふさわしい快適な住まいを求めて設計した「ラーバンシリーズ甲斐/大屋根の家」。夫婦二人の生活は1階で簡潔、2階は週末に訪れる子供や孫たちの「夢のある空間」。都市の農山村を結ぶあたらしい二世帯住宅の提案です。約180坪の敷地には、野外テーブルや菜園。テレビやラジオのない中、お料理もご自分で。夜は町営温泉でゆったりと、また満天の星空を眺むるのもよし。ご自由に「田園暮らし」をお楽しみください。

◆空き家大募集中! 八ヶ岳岳事務所には「一般社団法人空き家相談士協会」認定の空き家相談士が常駐しています。相続手続きや農地や山林、築100年以上の母屋の有効活用など空き家に関する相談を承っております。(要予約、相談無料。担当は中村

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山梨◆八ヶ岳/5月の八ヶ岳事務所よりお知らせします【八ヶ岳南麓・高根の里だより】

この記事の投稿者: 代表取締役・中村健二

2017年5月23日

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風薫る皐月の空に悠然と泳ぐこいのぼり。北杜市高根町長沢地区の「南きよさと 道の駅」のこいのぼりは「北杜二十四景」のひとつとしてすっかり定着した感があります。

 

地元では4月に入った頃には国道141号線と東の里山を結ぶ雄大な景観が八ヶ岳を背景に現れます。また、北杜市は昼間と夜の気温差が大きく、この時期はたとえば最低気温5度、最高気温20度という日もあったりします。そのおかげかどうか花々の色づきが深く日照時間が全国一といわれる明野町のハイジの村では色鮮やかなツツジ畑が見られます。

 

そして花散ったそのあと、カラマツ林はいっせいに新緑の時期を迎えます。生気溢れる木々を愛でるのもこの時期ならでは。注意することは鉛直方向に伸びる積乱雲が現れ大気が不安定となることもあり、現地見学等当地へお出かけの際には、雨具の用意が必要です。

 

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居ながらにして富士山を望む高級感のある田園住宅

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◆今月号の物件こぼれ話  物件詳細はこちら

高根町2780万円は八ヶ岳の岩盤強固な尾根沿いに建ち富士山をいながらに望める立地です。西側のアカマツ林を伐採したので明るい土地になりました。所有者は学生時代に弁論部に在籍していて某政治家の私設秘書まで務めた経歴の持ち主です。私はそんな話を事務所でよく聞かせていただきました。二地域居住でご利用になられていましたが、断熱性の高い住まいはもちろん定住にも向きます。周辺は移住者村とでも呼べる場所で南麓の暮らしを楽しんでおられる方々が増えています。移住者の自治会もあると聞きます。(八ヶ岳事務所・中村 健二)

 

物件詳細はこちら
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◆イベント報告
5月20日(土)に「韮崎市&北杜市合同相談会」が有楽町・交通会館8Fにて開催されました。
八ヶ岳事務所・安江も「北杜市空き家バンク」のお手伝いとして参加。真夏日となった東京ですが、会場の移住熱もアツい感じでした☆

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