▲青空のした雪をかぶった南アルプス。(山梨県北杜市)
2月4日が暦の上では春が始まる日、立春となります。
一方で北杜市の2月は、まさに冬の真っただ中で、春の兆しはまだ少し先の話。日中の最高気温が5度を超えることは少なく、朝は氷点下5度を下回る冷え込みが続きます。
面白いもので、こうした寒い時期だからこそ魅力が増すものがあります。
代表的なものが温泉。北杜市は公共の温泉施設が大泉町と白州町に2軒ずつ、武川町、小淵沢町、明野町と須玉町にそれぞれ1軒あります。人口約4.5万人の市に公共温泉が8つもあるのは恵まれすぎではないでしょうか。
冬の寒い時期に入る温泉は、格別に気持ちが良いものです。ストーブやエアコンで部屋を暖めていても、体の芯は徐々に冷えていきます。温泉に入ると、その冷え切った体が芯まで温まっていくことに気付きます。そして体が緩むと、心まで緩んでいくのです。心のこわばりの原因は寒さ以外かもしれませんが(笑)、確実に体と心は繋がっていることを実感します。
体が喜ぶ。心がほっこりする。気持ちが良いとはこのことだと思います。
▲山梨の郷土料理「ほうとう」。小作では鉄鍋で提供される。
同様に、この時期に体が欲するのが「ほうとう」です。
ほうとうは、山梨県を代表する郷土料理で、平打ちの太い麺を、たくさんの具材と味噌で煮込んだ料理。山梨県は大部分が山であり、かつては米づくりに不向きな土地でした。その中で米の代わりに食べられたのが、小麦粉を使ったほうとうだったようです。
ほうとうの特徴のひとつは、麺の打ち粉を落とさずにそのまま鍋に入れ、麺の湯切りをしないこと。当時は水が貴重だったり、調理の手間を減らすといった、生活の知恵が料理に反映された結果のようです。
結果、麺の粉が溶けて、汁にとろみが出て、体が芯から温まります。まさに寒い冬にぴったりの食べ物。スーパーでは、うどん、蕎麦と同様にほうとうの麺が売られ、今でも山梨の家庭での日常食。
▲小作の清里高原店。入口横に「かぼちゃほうとう」の漢字。
そんなほうとうを気軽に食べられる飲食店が小作です。県内に何店舗かあり、北杜市の清里高原店によくお世話になります。
一人前にしては大きな鉄鍋に入って提供される熱々のほうとう。具の量に驚かされます。かぼちゃ、にんじん、白菜、じゃがいも、里芋、ネギ、椎茸、きゃらぶきにゴボウ。コシの弱い平打ち麺と、かぼちゃや芋のとろみ、ネギ、ゴボウのシャキシャキとした食感。これらが味噌のコクと塩味のスープで渾然一体となって、口の中に広がります。
途中から味変で、七味をかけると、更に味に深みがでてきます。気づけば体が温まり、汗をかき、上着を脱いでいる自分がいます。
素朴でありながらも深い味わい。寒さの厳しい北杜市の冬には、理屈抜きで体に染み入る料理。皆様も是非、体を温め、寒い冬を乗り切りましょう。(八ヶ岳事務所 大久保武文)

