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長野県◆富士見町/物件見学のもう一つの楽しみ!富士見のロケ地をまわる(1)【諏訪ぐん!ぐん!】

この記事の投稿者: 富士見・原村案内人/伊藤 やよい

2017年5月27日

◆物件見学のもう一つの楽しみ!富士見のロケ地をまわる

好きな映画やドラマがあると、そのロケ地にも興味がわいてきますよね。諏訪圏フィルムコミッションでは「東京からわずか2時間の凄ロケーション」というキャッチフレーズで、「富士見町」をはじめ諏訪エリアのロケーションを紹介しています。

ちょうど近頃は映画『バースデーカード』(橋本愛、宮崎あおい出演)公開や、ドラマ『精霊の守り人Ⅱ』(綾瀬はるか出演)の放送があったばかり。今回から3回シリーズで、「富士見町」で撮影されたロケ地と、その近くにある物件をご紹介したいと思います。

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富士見町の図書館の入口特設コーナーでは、『精霊の守り人』(シリーズの書籍を紹介。出演者のサイン色紙やドラマのパネルポスターも一緒に展示しています(写真1)。

そこで、まずは『精霊の守り人Ⅱ~悲しき破壊神~』のロケ地となった、富士見高原立場川キャンプ場を訪れてみましょう。空に刺さるようなすっくとのびた針葉樹林、ところどころに転がる苔むした岩群、ワイドな滝。どことなく殺伐とした原生林の雰囲気も醸し出すこの場所は、『精霊の守り人』で用心棒・バルサを演じる綾瀬はるかが体当たりのワイヤーアクションを展開する場所でした。

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耳を澄ますと水や鳥、風、木ずれ…いろんな自然界の音が聞こえてきます。標高1300mの冷涼な空気の中で夏はバーベキューをするのも楽しそう(写真2、3)。

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キャンプ場に隣接して広がる富士見高原リゾートの各施設や、別荘地。その一画に山林262万の土地物件(物件NO:14928H)があります。すぐそばに焼き立てのパン工房、レストラン、そして服飾の総合施設にもなっているお店があり、自然林の中にありながらアカ抜けた雰囲気のする通り沿い。斜面の多い地形だけに、バルサならずともワイルドな山暮らしを楽しめそうです。(写真4)。

.富士見高原262万


また、6月号掲載予定の1437坪の広い土地もすぐそば。価格は700万円(物件NO:15056H)です。こちらも売主様はご高齢となり、将来家を建てる予定が無くなったためのご売却。詳細については6月号の誌面、もしくはふるさと情報館・本部(TEL03-3351-5601)まで。(写真5)

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ロケ地を訪れてみると、富士見の魅力が改めて浮き彫りになります。今回は「冷涼な高原」にスポットをあててみました。次回もロケーションめぐりにどうぞおつきあいください。(富士見・原村案内人 伊藤 やよい)

 

 

 

 

 

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宮城◆白石蔵王/年金受給者に~無理のない暮らしと副収入【遠刈田温泉・ペンション奮闘記】

この記事の投稿者: 白石蔵王駐在/渡辺 和夫

2017年5月14日

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小さいながら洋風民宿を営んでいますと、食材を主に電気、水道、ガス、温泉、シーツ・枕のクリーニング代など、あれもこれもと一般家庭の何倍ものお金が出ていきます。いただく宿泊料収入は、そのまま次のお客様のための仕入れ代金のお預かり、という実感です。

でも、私どものフロントに落ちるお金が循環して、わずかですがこの小さな町の地域経済を支えて、一助になっていくという感触は心地良いものです。多くの仕入れ先に毎月キチンと支払いを決済できている当たり前の処理も、生きていくためのよいケジメです。

年金を受給しながらペンションの副収入がありますと、出費にあまり神経質にならずにすみます。欲しいものが際限なくあった若い頃と違い、物欲はすでに収まり、モノは身辺に充満していますから、経営が不安視されがちな今どきのペンションは、かえって高齢者向きのこれからの適職かもしれません。そもそも、ペンションとは「年金」が語源ですから、月に30人程度の同期の客を迎える年金受給者のマイペース経営の館になりえます。

昨年暮れから、ボイラー、洗濯機、電話機、コピー機、製氷機、ファンヒーター、塀や漏水箇所の修理など更新期に入ったさまざまな設備にこれでもかという出費が続きましたが、それはまた設備が刷新されたことでもあります。お金が入るのも出るのも忙しい田舎暮らしですが、同年配の都会の友人知人に、夫婦とも10年は若いと囃されます。介護や老人病に縁のないまま田舎で元気に現役を続けていきます。(白石蔵王駐在・渡辺 和夫)

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☆渡辺さんが経営されるペンションそらまめのホームページ
http://www.soramame-p.com/
「ペンションそらまめ」で検索できます。

ペンションそらまめ

栃木◆那須/那須店恒例・味噌づくりのイベント報告‼【高久の里山日記リターンズ】

この記事の投稿者: ふるさと情報館・那須店/高久 タケ子

2017年5月11日

那須店恒例・手作り味噌づくり

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3月25日(土) 一日目 早朝の気温-4℃ 参加者31人
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朝4時30分、大釜にたっぷり入った大豆を煮る為に、今年で21年目と年季のはいった腕前?でかまど口に火を焚き付ける。真暗闇の中に豆がらの焚き付けがパチパチと音をたて、飛び散る火の粉を見ながら、工務店からもらって来た廃材をくべる。

燃え付いて炎が安定し順調に燃え続ければ約3時間後には吹きこぼれる見込みです。その後蒸し煮にするのですが、集合時間までに大豆を煮るという責任がある私はその時まで気が抜けません。

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集合時間よりちょっと早目ですが、来た順に「日野屋さん」の指導で自分の味噌仕込みが始まります。今日は1才8ケ月の男の子が、ご両親と一緒に参加して味噌仕込みデビューです。

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ブカブカの大きな手袋をした掌にお母さんが丸めた味噌玉を乗っけてもらうと「エイッ」と桶の中に投げ入れる。この可愛らしい仕草を、周りで見守っている大人達は何時しか「孫を見る目」になっていました。「このエプロン姿の似合う男の子を見守りたいな~」と思う気持ちで「来年もお手伝いに来てね~」と約束しました。

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3月26日(日) 二日目 早朝の気温0℃ 参加者30人
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朝4時30分 天気予報では雨か雪が降るとか・・・。何とか午前中だけでも持ってほしいと祈る思いで外に出ると今日も真暗闇です。いつもの様にかまど口に火を焚き付けましたが、昨日細かい廃材を全部燃やしてしまったらしく、太く大きなものばかりです。あれこれ工夫して何とか集合時間までには、ふっくらと炊きあがり、今日も来た順に自分の味噌仕込みを開始しました。

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今日は2歳になったばかりの女の子が味噌仕込みデビューです。ご両親の真似をしてミンチ状の煮大豆と塩と糀の入った桶の中に手を突っ込んで「まぜまぜ、こねこね」と始まったのを見て「お手伝いえらいね~」と声をかけて、私は別の所に行きました。

1705那須-04すると「大変~!歯みがき粉!」とあわてて飛んで来た人がいたので「どうしたの?」と聞くと、「女の子が火傷した!」というので、歯みがき粉を手渡しました。

ちょっとしてから女の子の所に行くと「おくちゅりちゅけて、なおった~」とけろっとしていました。素手でミンチ状の煮大豆と塩と糀を混ぜ合わせていたので、低温火傷の初期症状?だったのか・・・モミジの様な可愛いお手手が真っ赤です。歯みがき粉の効き目は定かではありませんが、大事に至らず安心しました。

心配していたお天気も終わる頃にポツリポツリと降り始めましたが、それほどのこともなく助かりました。昼食は昨日と今日と同じメニューですが、炊事担当の女性の方々が愛情込めて作って下さった「田舎膳」に舌筒鼓を打ちながら、年に一度の顔合わせの味噌仲間達は一年分の話に花が咲いている様でした。

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3月27日(月) 三日目 雪
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我が家の畑で収穫した大豆を仲間数人で桶8ケ分だけの仕込みです。 今日は午後からなので、朝9時頃大釜に火を付けました。今朝方から降り始めた雪が私の赤大豆の鍋に降り懸かっています。よく見ると、なんとテントの端っこの真下に鍋が設置されていて、蓋の上に雪が積もっていました。

取りあえず夏に使ったヨシズを見つけて雪除けに立て掛けました。心配していた雪も次第に回復し、仲間が集合する頃には、すっかり止み今年の味噌仕込みも無事終わりました。

参加された皆さん、お疲れ様でした。(那須店 高久 タケ子)

※歯磨き粉が直接やけどに効くわけではなく、一時的な痛み止めとして作用することがあるようです。やけどをしたら冷水などで冷やし、早めに専門医の診察を!

信州◆諏訪エリア/超高齢社会に一筋の光!茅野で「看取り士」活動開始!【諏訪ぐん!ぐん!】

この記事の投稿者: 富士見・原村案内人/伊藤 やよい

2017年4月30日

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「看取り士」(みとりし)。人生のその最後の瞬間まで幸せに生きる、そして命のバトンを大切な人に渡す。そこに、家族とともに寄り添い、お手伝いする人がいます。

先日、「看取り士」という資格を立ち上げた「一般社団法人日本看取り士会」代表理事・柴田久美子さんの講演会が長野県茅野市で行われました。また、その次の日は、茅野市で「看取り士」として活動を始めた原房子さんによる「看取り学講座初級」、柴田さんの「同中級」が行われました。

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団塊の世代が一気に75才以上を迎える2025年問題。諏訪エリアでも例外ではなく、諏訪広域連合によると諏訪地域の高齢化率は25年には33.6%になる見込み。 医療機関が充実しているという評判の諏訪エリアですが、これからは病院や施設で最期を迎えることができなくなるケースも増えてきます。にもかかわらず、自宅で看取ることに躊躇する社会。昔は当たり前のように自宅で看取っていた日本が、いつのまにか他人まかせにする傾向になってしまったのはどうしてでしょう。

柴田さんは「人は旅立つ時、25メートルプール529杯分の水を瞬時に沸騰させるくらいのエネルギーを傍らにいる人にわたす」という瀬戸内寂聴さんの表現を例にとり、大切な人を看取ることのすばらしさを自らの活動を通して話してくださいました。 「看取り士」は、本人が望む場所で望むような最期を迎えられるようサポートするのが仕事。全国に205人(平成26年12月現在)、長野県では茅野市の原さん含め2人。ケアマネージャーと連携をとりながら、「エンゼルチーム」という10人体制の看取りグループをつくります。エンゼルチームのメンバーは家族や知人が望ましいのですが、足りない場合は地域のボランティアが必要になります。エンゼルには資格も必要なく、理解さえあればだれでもなれるので、ぜひボランティアに登録してほしいと看取り士会ではよびかけています。

原さんは、死生観についてざっくばらんに語り合う場「カフェ看取り~と」や、看取りについての心構えを学ぶ「看取り学講座」、そして看取り士資格取得をめざす「看取り士養成講座」など、茅野市を中心に活発に活動する予定だとのことです。

いつかは誰でも必ず迎える死。その瞬間を恐れることなく、送られる人も送る人も幸せなときを過ごせる看取りの場に、縁あって移住した人も関心をもっていただけると嬉しいです。(富士見・原村案内人 伊藤 やよい)

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▲看取り学講座の後、看取り士会代表理事・柴田久美子さん(前列右)、茅野の看取り士・原房子さん(後列右)、甲府の岡亜佐子さん(後列左)と。茅野市ひと・まちプラザ(市民活動センター)にて。とっても素敵な笑顔に囲まれました。昨年母を亡くした私に、魔法の言葉「だいじょうぶだよ」を何度も言ってもらいました(;_:)

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*問い合わせ:日本看取り士会HP http://mitorishi.jp

宮城◆白石蔵王/田舎暮らしを始めたら・・・果樹を植える【蔵王ツーリズム・遠刈田からの手紙】

この記事の投稿者: 白石蔵王駐在/渡辺 和夫

2017年4月16日

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watanabesan歳月人を待たず。田舎に暮らし始めたらすぐやっておかないと、後年ホゾを噛むことのひとつに「くだものの苗木を植えておくこと」があります。「温州ミカン」や「ビワ」など、温暖が絶対条件の果樹以外に、この蔵王でもほとんどのくだものがつくられています。

「桃栗3年、柿8年」はもちろん、「梨」、「ぶどう」、「ブルーベリー」、「りんご」、「いちじく」、「梅」、「かりん」、「キウイ・フルーツ」など、まわりの農地でたくさん目に入ります。平成10年に横浜から移ってきたときに借りた畑や庭に、苗を買って植えていたら、いまごろは立派な果樹園になっていたはずと、昨今雑草の目立つ畑や庭をみて残念な思いです。

毎年の野菜作りに専念し過ぎて、くだものづくりを忘れていた18年でした。もっとも、田舎暮らしの蔵王が、自分の人生の到達地点という気持ちや計算は当時なく、果樹園つきの「終の住処」に思いは至っておりませんでしたから、歳月を積んだ今だから考えることでしょうか。

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「秋には干し柿づくりが体験できるハチヤ柿が庭に3本もある家」などのフレーズは、中古住宅の立派な付加価値となります。

(白石蔵王駐在 渡辺 和夫)

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☆渡辺さんが経営されるペンションそらまめのホームページ
http://www.soramame-p.com/
「ペンションそらまめ」で検索できます。

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長野◆蓼科/人口減少社会の先に・・・東京出張の帰路に思ふ【信州蓼科・タイムカプセル】

この記事の投稿者: 信州蓼科エリア案内人/ 星野 登美夫

2017年4月14日

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先日東京出張のおりに本屋を覗いたところ、真っ先に目に付いたのが『老いる家 崩れる街』という書籍でした。

現在800万戸の空き家が、わずか15年後には2100万戸を超えるというタイトルで、やはり不動産を取り扱うという仕事柄興味もあり即購入、帰りの電車の中で一気に読みました。

「人口減少社会」なのに「住宅過剰社会」という不思議な国に住んでいるという前書き。詳しい内容は割愛しますが、たしかに地方では、各市町村がこぞって人口増加を目指し、各種イベントや行事を宣伝し、地域の特色などアピールに一生懸命です。しかしこの人口減少が続く中で、限界集落の増加は避けられない状況になっています。

ふと、先日知人の紹介で地元農家のご夫婦を訪ねたことを思い出しました、この方は田畑約1町歩を耕作してましたが、ともに80才近い高齢者となり、これ以上耕作が出来ない、そしてこの先どう生きていったら良いのかわからないとの相談を受けました。娘さんは関西にお嫁に行って帰ってこないそうで、大きな屋敷にお2人で住んでいるのも大変との話でした。

0414soudan※写真はイメージ。

お話をしながら、この方達もいずれはいなくなってしまい、そのままこの大きな住宅は空き家になってしまい、それは時間の問題なのだと感じました。そして、このような状況に置かれている人達が大勢いると思うと、将来を悲観的に考えてしまいました。

国や自治体、私達も知恵を出し、現状を脱するべく早急に手を打つ必要が求められている、そう強く感じるところです。 (信州蓼科店 星野 登美夫)

※情報誌掲載の文章に加筆・修正してあります。

 

信州◆富士見町/八ヶ岳西麓・土地に根ざす、道端の観音さま【諏訪ぐん!ぐん!】

この記事の投稿者: 富士見・原村案内人/伊藤 やよい

2017年3月31日

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今売り出し中の富士見町の土地の一つに、興味深い軌跡が感じられる物件があります。

少し小高くなった赤松のある土地で、富士山や南アルプスを望めるという情緒あふれるものですが、さらに土地の中にいくつかの石碑群が建っているのです。

田舎物件にはたまに祠や石碑が残っているものがあり、そんな物件をご案内中のときにお客様から「これ、お墓なんですか?」と少し心配げに聞かれることがあります。

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確かに古い民家の売買の時には屋敷の裏に墓石がある場合もあります。墓石の場合はその家の人が承継するべき祭祀財産ですから、売買によって土地建物の所有者が変わる場合は、墓石は前の所有者の責任で移設をします。

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富士見町(小六)850万円  詳細はこちら

でもお墓ではない場合もあります。屋敷神(祠の形)や道祖神(夫婦らしき石仏や文字)、山岳信仰の碑であることのほうが多いです。その場合は組やマキ(※)など地域の共同土地管理責任者などに相談して、しかるべき場所に移設したりします。あるいはそのまま土地にいてもらって全くかまいません。私から見れば「神様付の土地!なんてありがたい!」と思う次第です。

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ということで、今売り出し中の「小六」地区の土地にあるのは民俗信仰の石碑です。「富蔵山」「馬頭観(世)音」などの文字が彫ってあるものや、レリーフ状の馬頭観音石像があります。馬頭観音は元はインドの神様の化身、仏教が生まれて六観音の一仏になり、さらに日本に伝来して民間信仰の対象になりました。

農耕にも用い、険しい山道を通行するにも重宝した馬を、信州の人々はとても大切にしていました。ここ「小六」地区だけでなく、富士見町はじめ諏訪エリア、信州全土で馬頭観音信仰が盛んだったようです。

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「富蔵山」とは長野県筑北村にある山で、頂上に寺があり馬頭観音を本尊としています。また、この土地の近くには「諏訪百番供養塔」と大きく彫られた石碑もあります。百番というのはおそらく西国三十三所・坂東三十三箇所・秩父三十四箇所の総合の日本百観音のことかと思われます。街道の近くに立って人々を見守る観音さま。縁あって近くにお住まいになったら、ぜひそっと、日々手を合わせてみてください。 (富士見・原村案内人 伊藤 やよい)
※ 「マキ」・・・田舎ではすぐ近くに同じ姓が集まることが多く、そういう集まりを「小林のマキ」とか 「平出のマキ」という。  「マキ」単位で小さな神社や墓地を管理していることも多い。

栃木◆那須/鬼が恐れた「渡辺姓」初めてのワクワク節分体験‼【高久の里山日記リターンズ】

この記事の投稿者: ふるさと情報館・那須店/高久 タケ子

2017年3月19日

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嫁いで初の「節分」体験

yatsukagashi   私の実家は「節分の豆まき」をする習慣の無い家で、子供の頃から「豆まき」にとても憧れていました。嫁いで初めての「豆まき」の時には、嬉しくてワクワクしながら家列に従って「豆まき」の準備をしました。節分の日の夕方、寒~い台所で教わったように、イワシと大豆を同時に炒ったり焼いたり、イワシを焼く煙に咽返りながら、大豆を焦がさない様に手際良く炒るという作業は、私にとって初めての大仕事でした。夢中でやっていると、

「イワシにツバを付けながら焼く!」

と声が掛り、「えっ!」と返す言葉も無く、おまじない程度に付けながら焼いたものでした。(本当は頭だけにつけるらしい)

炒った大豆は一升ますに入れ、神棚に供え、イワシは頭だけを大豆の枝に刺し「ヤッカガシ」という厄病除けのおまじないを作ります。「豆まき始めるよ~!」と声が掛かると、戸を全開にした玄関先に「ヤッカガシ」を持ち待機し、「オニは外!」と家長のまいた豆に追われる様に屋敷内の建物の各戸口に差して周ります。

「豆まき」が終わるとすぐ玄関の戸を閉め、年の数だけ豆を食べお神酒をいただいて無事終了です。升に残った豆は、「初午」に「しもつかれ」という郷土料理に使われます。

初めの頃は珍しく楽しかったのですが、子供達が巣立ち、夫婦2人きりになった時、真っ暗闇の凍て付く様な寒さの中を「ヤッカガシ」を手に持ちあちこちの戸口に差し歩くのが億劫になり、いつの間にか自然消滅しました。

豆まきをしない「渡辺家」の節分

私の実家の節分は、毎年父親が「わが家のご先祖様に“渡辺 綱”という強~い武将がいて、鬼の腕を切り落としたので、苗字が「渡辺」の家には恐れて鬼が近寄って来なくなったから、「豆まき」をしなくて良い」と自慢気に話したものでした。

ある日友達に鬼退治の話をすると、「鬼ヶ島のオニなの?」といわれ、父親に聞くと「羅生門という所に巣食っていたおっかな~い鬼の親分だよ」と教えてくれました。何となく消化しきれないまま月日が流れ、すっかり忘れていたある日、久しぶりに帰省するといつも口数の少ない母親が、せきを切った様に話し始めました。

先頃「渡辺綱の石塔を見せてほしい」と、ある大学の教授という人が学生を数人連れて訪ねて来たそうです。「きっと酒飲んだ時につい言っちゃったんだね~。どこからどう伝え聞いたのか分からないけど、まったく困ったもんだ~。」とあきれ顔で私に訴えていました。その時、「父ちゃんは作り話をしていた?」と心の中で思ってしまい、その後この話は忘れる事にしていました。

先日、「豆まきをしない渡辺さん」の話をテレビで観た!と知人が教えてくれ、久しぶりに鬼退治の話をする父親の顔を思い出しました。

私の集落には「渡辺姓」の家が6軒並んでいて、東側3軒が「豆まき」をしないそうで、ご先祖様が同じということが最近分かりました。

「父ちゃんの作り話ではなかった・・・」

と今頃になって分かり、胸につかえていたちっちゃい何かが取れました。もうすぐ亡き母の命日になるので、墓前に報告して来ます。  (那須店 高久 タケ子)