岩手県盛岡市大ヶ生(おおがゆう)の大きな古民家の取材をしていた時のことです。あまりにも眺めが良い場所の築百年近いと思われる南部曲り家の母屋に見入っていると、所有者様の話では「屋敷の裏山は室町時代に大萱生一族の居城跡で、当時から金が採掘されていた」との事でした。
小生は中尊寺金色堂をはじめ金山と歴史の逸話が大好きなものですから、すぐ様裏山に登り金山跡を探訪してみましたら、大萱生一族が盛岡南部家との戦で落城して以来、金は採掘されていなかったようですが、明治に入り採掘が再開して住友金属鉱業が戦前まで採掘していた鉱山跡が史跡として保管されていました。
所有者様はこの金山一帯の山林所有者であったK家の末裔で、当時は大変な賑わいであったそうで、鉱山の閉山にともなって村落もK家も衰退したとの事です。重厚で大きな曲り家と集落を見下ろす眺望は当時の面影を充分に残しています。何といっても歴史と逸話が大好きな自分としては、仕事の取材とはいえ、掘り出し物に出あった気持ちでした。この物件は『月刊ふるさとネットワーク』に掲載されていますので、南部曲り家にご興味のある方は是非御来訪下さい。(みちのく岩手事務所 佐々木 泰文)