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山梨◆甲府/【オンライン開催】やまなし暮らしのリアルを知る相談会【来てくれんけ甲斐路・所長ふるさと随想録】

この記事の投稿者: 代表取締役・中村健二

2022年2月15日

山梨県への移住定住や二地域居住を応援する官民共同組織である「甲斐適生活応援隊」は、組織のメンバーは山梨県をはじめとした19自治体のほか、不動産、住宅、金融、就職等民間50社が参加しています。

この中には県都・甲府市のほか、超大型ショッピングセンターや医大病院があり若い世代の県民に人気のある昭和町・中央市、過疎地といわれながら独自の取り組みにより移住者人口を増やしている早川町や小菅村、そして八ヶ岳や富士山の麓で別荘地も多く名水等の自然環境や移住者による特徴ある店舗の開店が著しい北杜市や富士河口湖町が含まれています。

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わたしはこの会の会長代理(会長は当社創業者の佐藤彰啓)を任されており、昨年末の役員会でこの2月の相談会はオンラインではなくリアルな対面にしようということで話がまとまった経緯がある。しかしながら、昨今のオミクロン株の感染拡大を受けて、今回も完全予約制ですべてオンラインでの相談会とせざるを得ない状況となった。

かつては県の窓口も「観光振興課」であった。対面で開催した時は観光物産会場に行くこともあり、あるときなど品川区のスーパーでハッピを着込んで県内産のワインをPRする県の職員の手伝いをしたことも。

移住が人口対策や空き家問題でクローズアップされ、「空家特措法」が施行されて以降は、横浜会場においてはオープン前から来場者が並んで待っておられるなど人気を博したことが懐かしい。

新宿の会場では隣接の静岡県と共同で移住相談会を開催したこともあった。ちなみに静岡県出身のわたしとしては、「静岡県人、山梨県民」が基本的スタンスだ。その間、山梨県では「移住問題対策課」と担当課が変わっていた。

そして現在は「リニア未来創造局二拠点居住推進課」が担当している。相談会場場所も東京有楽町の「東京交通会館」内で固定化するようになった。当社も多少の変動はあったものの引き続き八ヶ岳事務所の安江と原が相談会ブースで対応させていただいている。

また、相談会にお越しいただいてご自身の体験談を語っていただく講師の方々には本当にお世話になった。語学と絵の才を活かして世界中を旅してきた方、賃貸物件の空き家バンクを通じて移住され、その物件を購入し子育てと地域活動に取り組まれている方、相談会場近くのご出身で身近な移住者として物件購入について優先順位をつけること等を熱く語っていただいた方。いまも心に残っている。

さて、ここで昨年11月13日に行われた相談会の話。会場は「東京交通会館」(民間)と山梨県内のオンライン会場(自治体)とに分かれて行われた。東京には15組の来場者があり、地域おこし協力隊メンバーとオンラインによる地元で参加した安江の話では数組の相談があった。

当日のアンケートでは、テレワーク経験者が1/3あり、コロナ禍での暮らし方が現れた結果といえる。参加者の多数を占めるご回答を要約すれば次のとおり。

ご夫婦で中古住宅を購入し、住まいが決まったのちに移住を決め、その候補地は北杜市(八ヶ岳南麓)を希望している。ただし、この期に就労や転職をお考えの方も3割弱あった(貴重なご意見ありがとうございました)。

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今回の年度末・最後の相談会では、八ヶ岳事務所事務所より新着物件をご用意しております。また、『月刊ふるさとネットワーク』で毎号「星空散歩」コーナーを担当し、「星空ソムリエ」としても活動する安江が八ヶ岳の星座や流星群の話をさせていただきますので、あわせてご拝聴ください。(八ヶ岳事務所 中村健二)

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山梨移住相談会(甲斐適生活相談会)開催のお知らせ

【日時】2022年2月19日(土) 12:00~17:00

【参加方法について】
・完全予約制
・申し込みフォームに必要事項を記入してお申し込みください。

【実施方法】
・セミナー、移住相談含め、すべてオンラインでの実施となります。

【内容】
・個別相談会(12:00~17:00)
第1部 12:00~15:00 ※セミナーの時間を除く(12:30~13:00)
第2部 15:30~17:00

・リアルな山梨移住体験談セミナー
12:30~13:00  安江 美香 氏 「星のソムリエによる星空移住」
15:00~15:30  黒澤 駿 氏  「楽しい!を追求する地方での起業」

【お申込】こちらをクリック
※中村のブログを見た!とお書き下さい

お問合せ  山梨県二拠点居住推進課  (055 -223 -1632)
または ふるさと情報館八ヶ岳事務所 (0551 -46 -2116)まで

https://www.kaiteki-seikatsu.org/

山梨◆八ヶ岳/立春の候、2月のお知らせ【八ヶ岳南麓・たかねの里だより】

この記事の投稿者: 八ヶ岳事務所スタッフ

2022年2月4日

▲枯草、落葉した木の先に雪化粧をした南アルプス。(北杜市高根町)

暦では2月4日は立春となります。正直、北杜市にいると「春の始まり」という感覚はまだありません。1月下旬から2月の中旬ぐらいまでが年間で最も気温が下がる時期となります。夜明けの時間帯が一番冷え込み、日によっては気温がマイナス15℃度に達する日もあるほどです。

毎年、我が家の給湯器の調子が悪くなるのもこの時期でしょうか。昨日までは普通にお湯が出ていたものが、ある朝、急に動かなくなる。早ければ日中に動くようになるのですが、機械にとっても八ヶ岳の寒さは厳しいということなのでしょう。他にも身近なとこではスマートフォンやカメラのバッテリーの消費が激しくなります。充電満タンのはずが、取材中にカメラのバッテリーがまたたく間に切れて驚いた事がありました。最初はバッテリーの経年劣化かと思いましたが、原因は「寒さ」でした。現在は、ズボンのポッケに入れて体温でバッテリーを温めておけば、通常どおり動いてくれています。同業者の方から教えてもらったのですが、私にとっては「生活の知恵」となりました。

ヨーロッパ、中国を中心に普及が進んでいる電気自動車においても、バッテリーの温度管理が大事なようです。外気が暑いときにはバッテリーを冷まし、寒いときにはバッテリーを温めることで、航続距離を随分と伸ばせるという話を聞きました。寒さの厳しい八ヶ岳の気候は、電気自動車には負担が大きいかもしれません。ただ、脱炭素の波は確実に、地域を問わず日本にも訪れることでしょう。八ヶ岳で最もポピュラーな暖房は「灯油ストーブ」ですが、暖房機器にも脱炭素の流れがくるのでしょうか。なんだか、当たり前に使いすぎているので、「石油ストーブ」が無くなるというのは現実感が湧かないところです。

一方で、薪ストーブが環境に優しい、カーボンニュートラルな暖房だと言うのは嬉しい話です。ただ、それも継続的に「森林」を育てていくことが大前提となります。昨年は「ウッドショック」(※)という言葉が聞かれましたが、現在、薪の調達も難しいという話をお聞きします。冬の暖房をどうするのか、北杜市に住む上で、今後は大きなトピックとなりそうです。

寒い、寒いと書いてきた2月の北杜市ですが、後半にもなると所々で「春の訪れ」を感じることがあります。新緑の時期はまだ遠く、畑も草原も枯草でまっ茶色な状態ですが、足元をよく見ると、枯れ葉の間から小さな草花が咲いている様が見えるようになります。いつの間に葉を伸ばし、花を咲かせていたのだろうと不思議な気持ちになります。八ヶ岳おろしの冷たい風が吹き、時には雪がちらつき、朝は霜柱が立つ、そんな過酷な環境の中、地面の下で着実に新しい命を育んでいた事に、リスペクトの気持ちさえ湧いてきます。小さな春を探しに、寒空の下、お散歩するのも良いものですね。
(八ヶ岳事務所 大久保武文)

※ウッドショック:新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、建築用木材の供給が需要に追いつかないことに起因した木材価格の高騰の状況。1970年代に発生した「オイルショック」になぞらえてこのように呼ばれている。(経済産業省ホームページより)

▲2月の下旬。仏の座、オオイヌノフグリが咲き始める。(北杜市大泉町)

群馬◆甘楽町/物件ウォッチ誌上オンエアー (文化放送「大人ファンクラブ」毎週土曜日06: 25 より。中村の放送回は毎月第4週目)

この記事の投稿者: 代表取締役・中村健二

2022年1月25日

群馬県甘楽町(かんらまち)野菜畑を楽しむ家

今回は群馬県の南部に位置する「甘楽郡甘楽町」の物件の話。「甘」と「楽」を冠した市町村はわたしの調べた限りで、群馬県(邑楽郡)、愛知県(北設楽郡)、京都府(相楽郡)、東京都(千代田区有楽町)など「楽」はそれぞれ特徴のある地域が多い。それにしても「甘く楽しい」とは、わたし的には全国最高位に位置する市町村名であることだけは確かだ。

町域は58平方キロメートルで(ちょうど世田谷区と同規模)、人口は2019年の住民基本台帳によれば13、185人。地形的には南部の山間地(平均標高700メートル)、中央部の丘陵地(同300メートル)、北部の田園地帯(同115メートル)と起伏に富んでいる。山あり谷ありの変化に富んだ地形は私の好みとも一致している。

▲甘楽町役場。(上州の小京都とも呼ばれる小幡地区にある)

気候は内陸性で寒暖差が大きく冬場の日照時間は長い(2018年の1月の日照時間は192時間で月毎では最長)。こうした地域では農産物の良好な産地が多く滋味あふれる食べ物も多いと聞く。

▲立派な小幡の看板。

また、甘楽は高崎と富岡・下仁田を結ぶ交通の要衝地にあたり、町内を東西に走る下仁田街道(現国道254号線およびバイパス)のほか私鉄の上信電鉄がある。この上信電鉄は高崎と下仁田を27分あまりで結んでいるが、鉄道や物流の中心地・高崎駅では0(ゼロ)番線ホームが発着番線なのだ。訪問者にとってはゼロというのがなんとも言えずに良い。

わたしは東北出張の帰り道、上信越自動車道の吉井インターを降りて甘楽に向かったが、次の富岡インターともほぼ中間に位置するようだ。そして往時をしのぶ雰囲気を醸し出す甘楽パーキングにスマートインターが2023年3月にできる予定だという。このインターができれば交通アクセスが飛躍的に向上するのは間違いない。

▲上信越道甘楽パーキング上り。

約束の時間に物件現地で売主とお会いする。周辺はほどよく宅地が点在し、農地がその周りに配する。その中心には白倉神社が鎮座する。敷地は東側が河川、西側が県道に面していた。

▲白倉城は2つの山城の総称。甘楽ふれあいの丘には甘楽中学がある。

物件の第一印象は「よく手入れされているな」だった。農地の一角に「Jardin Potager」(ジャルダン・ポタジェ)の看板が目に止まった。フランス語でその意味するところは「野菜畑」なのだそうだが、ハーブなども多品種植えられていてその多様性が今風でもある。昔から一反(約300坪)という敷地の広さは、農家住宅の基本と言われてきた。母屋があり、離れがあり、納屋がある。そして地続きの目の前には菜園が広がっている。指し呼この間に完結できる田舎暮らしの理想形を絵に描いたような物件といえるのだ。

▲野菜畑の様子。

しかも本下水の受益者負担金は支払い済みであるので、工事をすれば下水も利用できる。さらに100メートルほどの場所には竹林があり、こちらも付属される(実は収録時パーソナリティーの残間さんが一番興味を示されたのがこの竹林です)。

毎年4月にはタケノコを思う存分味わうことができる。自給を目指す暮らしも良いだろうし、民家カフェなど営業物件としても一考に値する。

▲石積み付近が現地。山城の時代に設けられた擁壁と推定される。

わたしはその後西側の丘陵地にあるモダンな町立の中学校や文化会館を見て回ることができた。江戸時代の小幡藩のお城下は新旧がほどよく交わった甘く楽しい町として、これからも続いていくことだろう。

▲由緒ある白倉神社。

▲白倉氏居城跡。

駅伝の名門・東京農大二高の脇を通って高崎駅の繁華街に向かった。人づてによると群馬県人はうどん好きなのだという。秋田の稲庭うどん、香川の讃岐うどんとあわせて全国三大うどんと並び称されるという(異論はあると思いますが)、群馬の水沢うどんを食べることにした。

濃い目のつけ汁に合ったざるうどんはのど越しも良く品のある味だった。(八ヶ岳事務所 中村健二)

▲ご当地「水沢うどん」。

山梨◆八ヶ岳/新年によせて~皆さんの座右の銘は何ですか?【所長・ふるさと随想録】

この記事の投稿者: 代表取締役・中村健二

2022年1月1日


「中村さんの座右の銘はなんですか?」
年末になるとこんな取材をされることがある。

「祖母が庭先で転んでこれから見舞いなので適当でいいですよ」ある年、そう応えておいたら後日こんな記事になって帰ってきた。

「中村氏の座右の銘は、七転び八起き」

 

中学の時の卒業文集でクラス一の秀才が受験に対する恐怖心こう表現していた。

「心に思い描く恐ろしさに比べたら目の前の恐怖などものの数ではない」

これはシェークスピアの『マクベス』の中の一節(第一幕第三場)で、英語表記では次のとおり。

「Present fears Are less than horrible imaginings」

その後彼は名の知れた企業に入り成功を収めたと聞く。うまく恐怖心を乗り越えたのだろうか。


私はと言えば、この一節は座右の銘ではないけれどもいつもどこかで引っかかっている言葉のひとつでもある。

遠州弁で「おそ(ん)がい」という言葉があって、生粋の横浜っ子と麻雀をしたときに、「遅くねーだろー」とよく言われた。でも君、それは違う。「怖い」とか「恐ろしい」といったニュアンス。「この牌を振り込むのは恐んがい!」

諺をひねって、仕事に臨むことがままある。「急がば走れ」とか、「石の上にも三日」とか、「親しき仲こそ礼儀あり」とか、「笑う門にはフグ来たる」など。

俳句をもじって、「裏を見せ表を見せて散る健二」
こうした自虐ネタは意外と処世上、有効な手立てにもなりうるような気がしないでもない。

古典も惹句的表現の宝庫。『徒然草』は齋藤孝教授がおっしゃっているように上達の心構えや気づきの技を説いた書であって、先達の教えに2021年の年末こそ耳を傾けたいところ。

さて、昨年もいろいろありましたが、これまであげた中にはわたしが座右の銘にしているものが実はひとつだけあります。

励み励まされの一年。

本年もどうぞよろしくお願い致します。(八ヶ岳事務所 中村 健二)

山梨◆富士川町(旧増穂町)/「富士」と「わたし」が目線を合わせる場所【来てくれんけ甲斐路・所長ふるさと随想録】

この記事の投稿者: 代表取締役・中村健二

2021年12月31日

▲富士山(北杜市高根町)

いつだったか、琵琶湖北岸のとある町で「十一面観音」を拝観したことがある。畳に座して平安初期作と伝えられるこのたおやかな仏像を仰ぎ見ていたのだ。

わたしにはおもて伏せの品のある柔和な表情と、腰をしなやかにひねるその立ち居姿がとても印象深かった。奈良興福寺の「国宝館」では「八部衆」を前にしばらく佇んでいる方も多いと聞く。そのとき人々は黙して対話をしているのではないか。そのためには対象との距離感はとても大事だといってもよい。

そんな話を思い出したのは、日銀の支店長が当社八ヶ岳事務所にわたしを訪ねたいとご連絡をいただいたことに始まる。その少し前、地元紙に中央道の須玉から韮崎にかけて見る富士山が素晴らしいとその支店長がインタビューされていた記事を見ていたわたしは、おこがましくも目の付け所が良い方だな、との印象を持っていたのだ。

たしかに江戸時代の浮世絵師ではないが浪裏(なみうら)や桶や橋のほか弁べざい才船ぶね、木挽(こびき)の間から見る富士のその構図には舌を巻くし、わたしの仕事にも直結するような居ながらにして富士山を望む物件を求める方々の気持ちは本当に良くわかるのだ。そして山梨県下には富士山の見どころとなるべきスポットも数多く存在する。

▲富士山(韮崎市穂坂町)

「わたしの好きな山梨側の富士といえば」

浮世絵のベロ藍の包みを広げるようにしてわたしは言った。

「富士川沿いの旧増穂町の平林地区なのです」

▲富士山(大月市初狩パーキング)

旧増穂町?そこは芥川賞作家の池田満寿夫氏が陶芸に勤しんだ登り窯や「赤石鉱泉」に続くつづら折れの山道がある山あいの里で、石積みの乾いた畑には柚子の木が植えられている。冬の味覚・柚子の産地なのである。

また改装された民家の茶屋で気の良いお姉さんが蕎麦だかおむすびを出して観光客を迎えていた。

▲富士山(甲府市湯村)

▲富士山(富士河口湖町・西湖)

「ごらん」とその指差す先を振り向くと、そこには富士が腰を据えてこちらを向いているではないか。その姿は裾野まで長く稜線が見えるわけでもないが、ちょうど目線の先が富士で、なんと「目を合わせられる」位置にあったのだ。

富士は大きくも小さくもなく、わたしともほどよい距離感だ。そしてそこに住まう人たちは、毎日畑仕事をしながら富士と対話しているのかも知れない。その日そんな話を支店長にさせていただいたのだった。(八ヶ岳事務所 中村健二)

▲富士山(南部町万沢)

▲そしてこの富士山!(富士川町平林)

宮城◆蔵王/物件ウオッチ誌上オンエアー(文化放送「大人ファンクラブ」毎週土曜日06: 25 より。中村の放送回は毎月第4週目)

この記事の投稿者: 代表取締役・中村健二

2021年12月19日

▲ペンション外観。四季を通じて観光客の絶えないのがここ蔵王。

宮城県蔵王町 ペンション1900万円

このコーナーで営業物件を取り上げるのは初めてのことだと思う。「蔵王町」は言わずと知れた東北屈指の温泉リゾート地で、宮城県南に位置しており152平方キロメートルの町域に1万1千人が暮らす。「蔵王連峰」の東南側にひらけた地形で松川の河岸段丘が作り出した強固な岩盤の下から湧く良質の温泉が自慢だ。

コロナ前の2014年の町の観光協会資料によれば、年間の入り込み客数は177万人ほどだという。仙台市内からは約45キロで1時間もかからない。スキーや温泉、日帰りドライブ、グルメ、こけし土産のほか森林浴や健康増進など一年を通じて手軽なリゾート地として人気がある。

▲赤茶けた排水溝からは湯煙が立ち昇っている。

課題は地域の高齢化と若年層の流出だが、蔵王町は移住政策の取り組みにも積極的だ。ペンションオーナーも徐々にではあるが代替わりしているという。そのペンションの数は20件がリストアップされており、本物件はそのサイトでも上位にランクされている。場所は「蔵王の御釜」に行くエコーライン入口の分譲地の最奥にあり、雑木林のなかにたたずむ静かで落ち着いた環境も自慢のひとつだ。

オーナー夫妻はお隣の山形県のご出身。わたしが初めて蔵王の御釜に行ったのは実に40数年前の高校2年の秋だった。新幹線は当時まだ無く、「奥入瀬渓谷」から観光バスでひたすら南下し、寒さに震えながらみどり色の御釜を奇跡的に30秒ほど見ることができたのだった。

その後、一昨年の3月に今回とは別のペンションの売却相談のあとに訪れたのが2度目。このときはエコーラインがまだ冬季のため開通しておらずスキー場のところで引き返してきた。そして今回が3度目ということになった。

▲田園の先にある蔵王連山は黒い雲に覆われていた。

そのペンションのオーナーいわく、「エコーラインは積雪のため今日は通行止めよ。残念だったわね!」道路看板では「11月5日から封鎖」と案内が出ていた。もしかしたら、善良なる市民のために特別に開いているのではないか。まだ紅葉も始まったばかりだし、雪なんか積もるハズがない。そんな淡い期待を胸にわたしの四駆はヘアピンカーブをひたすら登る。

スキー場の先のゲートは閉まってはいなかった。どうだ、と内心ほくそ笑む。わたしのほかにも上がって来る車は多い。勇気をもらうようにわたしもさらに高みを目指す。するとどうだ。路肩には雪が積もり始めているではないか。

▲エコーライン入り口の大鳥居。

気温はまたたく間に2度まで下がった。氷点下までもわずかだ。キツいカーブを過ぎ、蔵王寺の先にはトイレ休憩できる駐車場があった。ゲートはここで閉ざされていた。

残念ながら今回はここまで。しかしながら、次々に登ってくる車が後をたたない。駐車場内にも積雪がある。午後になればさらに気温は低下する。ちょうどいまが潮時なのだ。

▲またしても御釜の展望台を前にしてU ターン。

それにしても多くの人が「行けるところまで行ってみたい!」という心理や気分はとても分かる気がした。これまで緊急事態で押さえつけられていた日常からいっきょに枷が外れたように、、、人々の情熱がそれこそ堰を切ったように溢れ出してきているのである。

「八ヶ岳」でも清里の先にJR最高地点という場所(標高1375メートル)があり、昔から根強い人気の観光スポットとなっている。そこに建つログハウスでボリューム満点の「そば定食」を出す飲食店がすごい。店の名前は「最高地点」。満月よりもその前の14番目の月が良いという歌もあるが、「ココがサイコー。最高地点に行ってきたよ!」というのは結構な土産話になるそうだ。

蔵王でゲートの前で雪だるまを作ったよ、というのは良い話のようにわたしには思えるし、なにほどか共感もしたのである。この蔵王物件の話は12月25日に放送される予定です。(宮城・岩手・秋田担当 中村健二)

▲バイクで来ていたカップルは可愛いサイズの雪だるまをこしらえてくれた。

 

(文化放送「大人ファンクラブ」毎週土曜日06: 25 より。中村の放送回は毎月第4週目)

山梨◆甲斐・遠州/駿州往還から東海道へ【来てくれんけ甲斐路!所長ふるさと随想録】

この記事の投稿者: 代表取締役・中村健二

2021年12月8日

▲金谷の市街地を望む高台。その先、大井川がゆったりと流れ、今では橋が何本も架かっている。

「街道筋」といえば、わたしにとってなじみ深いのは静岡県浜名湖北岸の通称「姫街道(ひめかいどう)」だ。浜名湖の南側を通る「東海道」が本筋ならば、こちらの山側にある「姫街道」は脇筋であり横道である。「本坂通り」というのが正式名称で、一説には江戸後期篤姫様が通ったことで「姫街道」と呼ばれることとなったともいう。

この街道はわたしの生家の横を通っていて、いまではみかん畑の先の東名高速道路でみごとに分断されているのだが、吉田(愛知県豊橋市)と見附(静岡県磐田市)で東海道に合流している。ちなみにこの街道の関所は井伊直虎の時代に堀川城のあった入り江の北東側の気賀(きが)にあるのだが、陸奥の伊達藩が築き、芭蕉たちが大変な難儀をした尿前(しとまえ)の関とは様相がだいぶ異なっている。視界が開けはるか先まで見渡せるのだ。いまはそこに静岡県警細江警察署があり、スピード違反車両に眼を光らせている。

▲東海道金谷宿の石畳。

江戸時代に難儀したといえば東海道の大井川だ。橋を架けない川の西岸、川越し場が金谷(かなや)である。現在の大井川鐵道始発駅でその西側には金谷宿本陣跡や石畳が残り、往時の面影を色濃く伝える場所となっている。金谷宿は東海道五十三次の第24番目の宿場なのだ。その先は河岸段丘が続き、そこを登り切るといっきょに視界が開けた場所に出る。とてつもなく広い台地なのだ。そこにはなんと戦国時代に武田信玄亡き後、勝頼の命で築かれた「諏訪原城跡」がある。曲輪跡と丸馬出しがきれいな形でいまも残り、国指定の史跡となっているのだ。名前は勝頼が諏訪大明神を祀ったことに由来している。

その2年後に高天神城(たかてんじんじょう・掛川市)を攻略するための城として家康が攻め落とし、その名を「牧野原城」に改めた。この台地がある牧之原はいまでは全国有数の茶の産地として知られる。

▲諏訪原城跡の丸馬出し。

いちめんの茶畑のその上を着陸態勢に入った航空機が飛んで行った。「富士山静岡空港」である。富士山ブランドで国内はもとより中国大陸や韓国へも定期路線が就航している。9月の終わりまでは人の移動が制限され空港内はまばらで閑散としていた。売店や食べ物屋、案内スタッフも手持ち無沙汰の様子。やがては活気が戻ることを念じながら、いまを何とかやり過ごす踏ん張りどころだ。

▲富士山静岡空港は広大な丘陵地帯にあるが人影もまばら。

空港から旧国道1号線、そして静清バイパスを「清水港」へ。途中、丸子インターを通り過ぎた。この近くには同級生が嫁いだ料亭があって、推しも押されぬ女将として腕を奮っているという。見事な庭園が人気で、そこで四季折々の表情を愛でることができる。しかしながらこの一年あまり個人客はあるものの数十人が入れるお座敷は厳しい状態だと、7月のオンラインでは言っていた。

「駿河湾フェリー」の発着場はワクチン接種会場になっており警備が厳しかったが、「中部横断道の開通で山梨から取材に来ました」というと割りとすんなり通してくれた。フェリーは出たばかりで(どこまで行くのだろう)、職員も閉門を始めていた。わたしの姿を見るなり「早くしてよね!」と言わんばかりに急き立てるのだ。「(清水)東高のOB で大榎(おおえのき)と同じクラスだった」とでも言えばよかったかも知れない・・・。

中部横断道の開通により、海なし、空港なしの山梨県は念願の両者(港と空港)を活用できるメドがついたという。富士山観光や果樹の販路拡大、化粧品工場の稼働など、地元のシンクタンクはその経済効果を年間135億円と皮算用をはじく。是非とも実現させてほしいと思うが、今様「魚尻線(うおじりせん)」として新鮮な県産果樹や勝沼ワインなどが静岡からアジアへそして世界に少しでも広まっていければ良いと願ってもいる。

そして、ちょっと足を伸ばして古民家の人気スポット「葛城北丸(かつらぎきたのまる)」(袋井市)でゆっくり食事することも視野に入れたいところだ。(八ヶ岳事務所 中村健二)

▲井伊家の菩提寺「龍潭寺(りょうたんじ)」は浜松市北区引佐町にあるが、この写真は滋賀県彦根市の「龍潭寺」。

山梨◆八ヶ岳/寒冷の候、12月のお知らせ【八ヶ岳南麓・たかねの里だより】

この記事の投稿者: 八ヶ岳事務所スタッフ

2021年12月1日

八ヶ岳はすっかり真冬の様相です。今年は10月の中旬からグッと気温が下がり、秋が無くていきなり冬になったような気候でした。とは言え、別荘の水抜きが必要になるような本格的な寒さは11月の下旬から。12月は連日の最低気温はマイナスを記録し続け、最高気温も10度をしたまわる状況となります。

日陰は路面の凍結に注意が必要で、市内に住む方は冬タイヤに履き替えています。空気が澄みわたり、雪化粧をした山がクッキリと存在感を増し、暖かい日差しを感じながらドライブが楽しい季節なのですが、路面状況にはくれぐれもお気をつけください。冬の八ヶ岳南麓は移住者には大変人気が高い季節です。北杜市は冬の寒さが大変厳しいところです。それなのになぜ、移住者には人気の季節なのでしょうか。

まず、八ヶ岳南麓の冬の魅力は、前述したように「空気が澄み渡ることによる山の眺望の見事さ」があると思います。そして夜には「満天の星空」が広がります。夜の屋外は泣きそうになるくらい寒いですけど、やはり一番きれいに星が輝くのは冬でしょう。

※写真はイメージです。

人の数がぐっと減る季節でもあります。観光客が多いのは春から夏、そして秋の紅葉シーズンには再びピークとなります。紅葉も終わったこの時期は一気に観光客の数が減り、結果として静かで落ち着いた雰囲気になります。ペンションや飲食店等、観光客向けにご商売をする場合は冬の営業をどうしていくのかが大きな課題とお聞きしたことがありますが、定住している者からすると、人の気配がないことに魅力を感じるから不思議なものです。

次に、冬の北杜市の冬の過ごし方では「薪ストーブ」の存在がとても大きいと思います。八ヶ岳事務所で扱っている物件の4軒に1軒くらいの割合で「薪ストーブ」が付いています。新築を建てられる方は、かなりの割合で薪ストーブを設置されています。そして何より感じるのが、使っている方の満足度の高さです。薪ストーブについてお話をお聞きすると、薪の仕入れ方から、薪棚を作った時の話し、薪の割り方、着火のコツ、炎を見ながら過ごす冬の暖かさなど、どんな人でも皆さん饒舌に語りだすから面白いものです。

「薪への着火方法」だけをとっても話に花が咲き、新聞紙派、着実な着火剤派、果ては強引なガスバーナー派など、そこへ至る遍歴など話は尽きません。地域によっては煙の臭いが洗濯物についたり、煙臭さがトラブルになったりとあるようですが、この北杜市では薪ストーブという暖房が地域に根付いています。冬には薪ストーブを楽しめる。これも冬が人気の大きな理由となりそうです。高根町清里にある清泉寮というホテルは、「暖炉の宿」と呼ばれるほど、ロビーやホール等館内各所に暖炉が設置してあるとのこと。薪ストーブ付きのお部屋もあるそうで、その魅力を体験されてはいかがでしょうか。

冬場には北杜市の近隣でスキー場もオープンします。スキーは激しいスポーツと思っていましたが、還暦、さらには古希を越えてスキーを楽しむ方を見かけます。正直びっくりしたのですが、スキーは生涯スポーツ、シニア割引もあり、元気なシニアがスキー場をにぎわしているそうです。 北杜市の冬の過ごし方は人それぞれですが、それぞれが冬の生活を楽しんでいるから人気の季節となるのでしょう。(八ヶ岳事務所 大久保武文)