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北東北◆宮城蔵王/みちのく物件探しの旅 ~ 蔵王の師匠いざ、ジャンプ!【いくぞ北東北!中村所長・ふるさと随想録】

この記事の投稿者: 代表取締役・中村健二

2020年5月15日

その人と初めてお会いしたのは私が入社間もないころだった。当時一世を風靡していた「清里のペンション」売却をご一緒させていただいた時だ。

それがその人との実に一回限りの仕事上のお付き合いだった。

そのころ当社が加盟していた団体に彼も横浜の不動産事業者の所長として参加されていたが、テキパキとした仕事のこなしぶりから颯爽とした風貌と身ぶりまでその道のプロと呼ぶにふさわしい印象だった。しかし私が真に影響を受けたのは次のような言葉だった。

「中村クンね、仕事で最も大切なのは」と彼が言った。

「間なんだよ、間。人と人との間、物件との間。間取図はうまくかけても間を持たせられるやつはホントに少ない」と。

その後定年退職を機に宮城県蔵王町でご家族とともにペンション経営を始められたとうかがった。遠刈田温泉の休養村で都会からのお客様を迎える仕事とは、あの人らしい。新幹線駅からも空港からも高速からもほどよい距離という間の取り方をここでも実践されるのかと、唐突に思えるほどの転身にも私はひとり合点がいった。

私の蔵王の記憶は、高校時代の古典の教師につながる。大の「奥のほそ道」ファンで、修学旅行先を東北か九州のいずれかを生徒に選ばせる時も国東(くにさき)半島よりも松島湾、阿蘇山よりも蔵王のお釜と、その見どころを力説していた。あげくに阿蘇は霧がかかって山など見えないものだと言い出す始末。将来に鬱屈した思いを持つ多くの地方の純真な高校生の一人であった私(たち)は、紅葉も終わりかけた寒さの東北方面へ長旅に出かけたのだった。

▲修学旅行での蔵王お釜。奇跡の一枚だ。

氷雨に見舞われた修学旅行はおおかたバスの中から見た景色として思い出のアルバムに占拠されてしまったが、なんと蔵王の山頂では霧が晴れ奇跡的にお釜が現れた。男どものむなしい旅行が唯一救われたと思ったほど。蔵王とは私にとってはそんな思い出の場所だ。

東北新幹線白石蔵王駅からレンタカーで20キロ、蔵王町遠刈田(とおがった)の休養村まではほぼ一本道。目的地に近づくにつれ、変わったものと変わらぬものが頭をもたげ心もち緊張感に包まれてきた。道路には着雪時に融雪される装置が付いているため、スタッドレスタイヤでなくても登ってくることはできるとのことだが、山道は用心に越したことはない。

しかしながら三月下旬であるためかどうか、物件にたどり着いても雪はまったく積もっていない。車の窓を全開し蔵王の山肌を流れるせせらぎの音を聞きながら、明るいグリーン色の外壁が特徴の物件の駐車場に車を停めた。マイナスイオンが溢れたような落葉樹に囲まれ、森しんとした雰囲気がただよう。ゆっくりと物件のドアを開ける。ちょっとの間、買い物に出かけていて私の方が先着したペンションに戻ってきたその人はこうあいさつをした。「中村クン、久しぶり」。じつに二十二年ぶりの再会だった。

▲ペンションには季節の花々が日当たりの良い窓辺に飾られていた。

都会での会社勤め、リタイア後のペンション経営、そしてさらに次へと向かう飛躍の年。ホップ、ステップときて、最後のジャンプの時に、また仕事で私も関われること。それもまた「僥倖(ぎょうこう)」とよぶべきことなのかもしれない。「ペンション」という言葉が日本に定着してもはや半世紀が過ぎようとしている今日、これからを継業して行く人たちに思いを馳せながら私はその物件を後にした。

美味しく焼かれた奥様の手作りパンをお土産にいただいたが、私にはもう一つやるべきことがあった。それは蔵王のお釜を見に行くことだった。4500メートルのダウンヒルコースを持つスキー場から帰ってきた若者に15:30まで滑れるチケットあげるよと言われ、道を間違えたことに気づく。蔵王エコーラインは国道457号線から大鳥居を抜けて入っていくのだ。

十七歳であった「私」を探すようなその日最後の旅。しかし、ロングアンドワインディングロードの先に待っていたものは案の定山頂付近での通行止めのゲートだった。気温1度、蔵王の春はまだ遠い。(北東北担当 中村健二)

▲山頂付近の通行止めのゲート。

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☆渡辺さんが経営する宮城蔵王・遠刈田温泉郷ペンションそらまめのホームページ
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宮城◆白石蔵王/誘客を椎茸栽培で(月刊ふるさとネットワーク5月号より)

この記事の投稿者: 白石蔵王駐在/渡辺 和夫

2016年6月6日

「月刊ふるさとネットワーク」2016年5月号の「ふるさと発」に掲載されたペンションそらまめの渡辺さんによる「誘客を椎茸栽培で」を公開します。ふるさと情報館が毎月発行している「月刊ふるさとネットワーク」には、他にも田舎暮らしの記事や物件情報が満載!無料見本誌もありますのでぜひお問い合わせください。

誘客を椎茸栽培で

1605蔵王ふる発
「誘客や、おもてなしの新しいアイデアを上司から求められているんだよ」と、リゾートホテルで働く知人から相談を受けました。むろん、予算があれば「最上階に展望大浴場を作ったら」などという提案もアリでしょうが、お金をかけずに、が条件となれば、従業員が頭を抱えているのが目に見えるようです。

私が伝えたアイデアは、ホテルの雑木林に自生する広葉樹を活かし、椎茸の原木栽培の体験をお客様に無料で提供する企画です。コナラなどの間伐材と椎茸菌をホテルが負担し、90センチに玉切りしたホダ木に植菌する作業を楽しんでもらい、ネームプレートをつけて預かります。椎茸が発生してくる2年目以降に収穫目あての再泊を期待、つまりリピーターになっていただくという寸法です。手間ヒマもあまりかからず、直接原価も一人150円程度の誘客プランですが、支配人はどう評価するでしょうか。

実は、当ペンションでは、すでに実施中の企画です。ご自宅に緑陰があるお客様には、植菌体験された原木を車に載せてお持ち帰りいただき、はるかな蔵王に思いをとばしながら、ご家族で椎茸栽培にいそしんでもらっています。コナラやクヌギなどの雑木は、切り出してもすぐ成長してくれる再生可能な資源、自分で育てた椎茸の採りたての味は絶品と、よいことづくめです。(白石蔵王駐在 渡辺 和夫)

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