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山形◆酒田市/1日1便の秘境「とびしま」【本部スタッフ・全国乗り鉄漫遊記】 

この記事の投稿者: ふるさと情報館・本部スタッフ

2024年11月17日

▲酒田港⇔勝浦港は普段「定期船とびしま」にて運航されるが、船舶検査時には写真のように岩船港⇔粟島港で運航される「awalineきらら」にて代船運航される。

日本海に浮かぶ島といえば、代表的なのは新潟県の佐渡島や島根県の隠岐諸島が挙げられるが、東北地方の日本海側にも島があることをご存知だろうか。

それが東北地方かつ山形県唯一の有人島であり、外周約10㎞に満たない小さな島、飛島とびしまだ。

島民約160人、平均年齢72歳、主な産業は漁業・旅館業と、瀬戸内海に点在する小島と同じ規模だが、離島自体が少ない日本海側ではかなり珍しい環境だ。

鳥海山ちょうかいさんの山頂が噴火した際に、日本海に山塊として飛び落ちそのまま島になったという伝説が島の由来となり、島の真東は酒田市ではなく秋田県にかほ市象潟町きさかたまちとなる。

そのため山形県内では最も緯度が高いが、対馬海流の真っ只中に位置するため、意外にも山形県内のどの地域よりも平均気温が高い。

▲酒田港併設の「さかた海鮮市場」では朝獲れの新鮮な鮮魚が並び、決して観光地価格ではなく市民にも手頃な価格で販売されている。

かつて北前船きたまえぶね貿易により、最盛期は日本の商業の中心地と謳われたほどの隆盛を極めた酒田だが、この飛島も古来より佐渡島〜粟島あわしまとの海の道が存在し、酒田港への潮待ち港としても機能した。

ただこの2島は新潟県佐渡市・岩船郡粟島浦村いわふねぐんあわしまうらむらとして単独行政を維持しているが、飛島は1950年に飽海郡あくみぐん飛島村から酒田市へと比較的早期に吸収合併されている。

村には小中学校があったものの、2019年3月に唯一の在校生が卒業してしまったことで、今や島内に子供たちの姿はなく、さざなみの音だけが聴こえてくるだけだ。

▲酒田港を出港すると雄大な鳥海山が見えてきて、地元の人たちが港にて見送ってくれる。

離島巡りに興味がある方には一度訪問を推奨するが、この島への公共交通機関は酒田市が運営する定期船のみで、特筆すべきは何とも言ってもその本数。

毎年4〜8月の大型連休等の繁忙期には1日2往復の運航だが、その他の通常期は酒田港09:30時発、勝浦港10:45着/13:45発、酒田港15:00着の僅か1往復のみ。

そのため日帰り観光では最大3時間滞在することが可能で、その他の時間帯に島内に留まるには、7軒あるいずれかの民宿に泊まる以外選択肢はない。

なお飛島は鳥海国定公園ちょうかいこくていこうえん普通地域かつ第2種特別地域に指定されているため、キャンプが禁止されていることを念頭に置いて頂きたい。

そんな秘境感満載の飛島だが、島に訪れる方の大半は釣り目的で、その界隈にとっては日本でも指折りの釣り場のメッカとか。

逆に冬期は日本海が荒れるため1週間近くも休航になる時もあるため、文字通り絶海の孤島と化してしまう。

▲飛島西岸の賽の河原は切り立った断崖や、長年削られた丸石が転がっており、日本海の荒波を長年受け止めてきた自然の力を感じられる。

山形県といえば比較的内陸部の観光地が多いが、庄内地方には飛島の他に、酒田市の山居倉庫さんきょそうこ、鶴岡市の加茂水族館・湯野浜温泉・温海温泉あつみおんせんと海側に面したスポットもあり、山岳信仰で知られる鳥海山・出羽三山も庄内空港や酒田・鶴岡駅を拠点として巡ることが出来る。

首都圏との移動は主に航空機がシェアを占めており、羽田発着のANA定期便が1日5便設定され、片道1時間5分と日帰りでも庄内観光は可能だ。

日本海の海の幸、平田牧場の山の幸、庄内米、酒田ラーメン、刈屋梨とご当地グルメも豊富で、食文化としても自給自足に特化した庄内地方。田舎暮らしの候補地として選択肢の1つにいかがだろうか。

※なお酒田市飛鳥あすかという飛島に似た地名がありますが、こちらはJR羽越本線砂越駅が最寄り、合併前の旧平田町市街地にある全く別の場所です。(本部 髙橋瑞希)

山形◆高畠町/犬の宮・猫の宮【本部スタッフ・ふるさと市町村巡り】

この記事の投稿者: ふるさと情報館・本部スタッフ

2024年7月21日

▲町中心部から車で5分程度。ひんやりとした神聖な雰囲気が参拝者を出迎えてくれる「犬の宮・猫の宮」。

日本人とペットの歴史は1万年以上にも及び、縄文時代には既に狩猟犬として飼われていたというデータもあります。

明治維新後、西洋の価値観が取り入れられるのと同時に様々なペットの種類が増え、その中でも代表的な犬と猫は2大ペットとしての位置付けを確立しています。

ペットはもはや家族同様のパートナーで、家の庭ではなくペット霊園に納骨する文化も浸透してきた昨今ですが、愛犬・愛猫の弔い先として有名な神社が山形県に存在します。

山形県東置賜郡高畠町は県南部の置賜地方に位置し、デラウェアやラフランス等の果物をはじめとした農業が盛んな町。

住宅街から少し離れた里山にある神社こそ、今回ご紹介する全国唯一のペットを祀る神社「犬の宮・猫の宮」。

伝承によると今から約1300年前の飛鳥・奈良時代の頃、この高安村(現在の高畠町高安)の地で年貢や生贄を強要する役人に化けた古狸が現れ、村人は難渋していたとのこと。

ある時、道に迷った旅の座頭が村人からこの話を耳にし、悪魔退散のヒントを与えた。

そこで村人たちは甲斐国一宮(現在の山梨県笛吹市一宮町)へ赴き、借りてきた甲斐犬がこの古狸を退治してくれたものの力尽きてしまったため、感謝の意を込めてこの地に祀ったことが由来だという。

山形県の代表的な観光スポットは、蔵王・山寺・銀山温泉・出羽三山・鳥海山等が有名だが、ペット愛好家やワイン好きな方には、高畠町も穴場スポットとしておすすめです。(本部 髙橋瑞希)

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犬の宮・猫の宮 「やまがたへの旅 山形県公式観光サイト」より引用
村人の災難を救った犬と猫を祭る神社で、ペットの健康祈願や供養に訪れる人も多く、7月第4土曜日にはペット供養祭が開催される。

山形◆山形市/ラーメン大好き県民さん【本部スタッフ・地方出張余話】 

この記事の投稿者: ふるさと情報館・本部スタッフ

2023年12月21日

▲「山ラー」加盟店は今では126店舗にも増えました。

歴史を紐解くと中国が発祥のラーメンが日本の国民食と呼ばれるようになり、もう何十年と年月が経過していることでしょうか。

一口にラーメンと言っても、北は旭川から南は鹿児島まで様々なご当地ラーメンが存在するように、生まれ育った環境によっては人それぞれ故郷の味もまた変わってくると思います。

ラーメンをこよなく愛する私は、これまで仕事・趣味柄様々な地域のラーメンを食べ歩いてきましたが、未だに日本一美味しいと自信を持って言えるお店はありません。

ただ話は逸れて、日本一ラーメンが好きな地域・県民はどこなのかと問われると、個人的には山形県民なのではないかと思います。

大まかに置賜・村山・最上・庄内地方と4つのエリアに分かれる山形県も、それぞれご当地ラーメンがあり、有名店ともなると連休になるといつも長蛇の列が発生しています。

ただそれだけだと他県と遜色ありませんが、なんと山形市は一般家庭のラーメンにおける外食費支出額が日本一であり、2021年だけ僅かの金額差で新潟市に首位の座を譲った以外は、長期にわたり一位の座を不動のものとしています。

2022年に再度一位奪還したのをきっかけに、2023年2月に山形市ではラーメン消費量日本一、ラーメンの聖地「山ラー」と称し、地域活性化に繋げようという試みも出るほどの勢いがあります。

▲龍上海の辛みそラーメンは、赤湯本店より米沢店が空いていておすすめです

私が以前お会いした山形県出身の方に、その真偽を確認するためラーメンについて尋ねたところ、曰く外食といえば一般的にラーメンの他にうどん・そば・カレー・中華・寿司・焼肉など選択肢はいくらでもありますが、山形県民にとって外食=ラーメンという驚きの方程式が出来上がっているほど、県民レベルで熱狂的なラーメン好きなんだと再認識させられました。

また山形のそば屋さんには鳥中華という、中華麺×そばつゆというご当地グルメも存在するほど。これはラーメン消費量日本一も納得の熱愛っぷりです。

仕事で山形の街中を車で走っていると、確かに他県よりラーメン屋さんの店舗数が比較的多い気もあり、お昼や夕飯時になるとどこのラーメン屋さんも賑わっているのを見ると、山形県民のラーメンへ対する熱い想いにも納得出来ます。

夏は暑く冬は寒い内陸性気候の山形市では、冬の需要はあっても夏はどこもガラガラなのでは?と思う他県民もいらっしゃるとは思いますが、そこもしっかり対策済み。山形市は全国でも珍しい冷やしラーメンの発祥地でもあり、ラーメンに氷が入っている光景はまさに珍百景そのもの。

いつでも美味しいラーメンを楽しめる山形県が、ラーメン好きの皆様のお越しをお待ちしております。(本部 髙橋瑞希)

山形◆上山市/東北で最も高いマンションの謎【本部スタッフ・地方出張余話】

この記事の投稿者: ふるさと情報館・本部スタッフ

2023年6月19日

▲山形新幹線からの車窓で一際目立つスカイタワー41。

あなたは一戸建て派かマンション派か、というのは長年に渡って議論されているテーマの1つであるが、建築資材が高騰している昨今でも次々に新築マンションが建設されているのを見ると、やはりマンションは根強い人気なのだろうといつも思う。

特にタワーマンションは都心の立地の良い場所に建っているケースがほとんどだが、その常識を打ち破るようなマンションが山形県にあることをご存知だろうか。

数々の温泉や蔵王の樹氷で有名な上山市の田園地帯に、ドカンと建っているのが、1999年竣工のスカイタワー41(地上134m)で、もちろん山形県で最も高い建築物だ。

なかなかギャップが凄い光景だが、山形市へ通勤しやすいことからファミリー層に人気だそう。

日本国内で建築物を建設する際には、建築基準法や都市計画法、景観法、自然公園法等といった様々な法令上の制限があるため、無論どんな建物でも自由に建てられるわけではない。

そんな中スカイタワー41は周辺が都市計画区域内にも関わらず、建っている場所ギリギリの区画が都市計画区域外となっている。

区域外になると一般的な建蔽率・容積率が原則無制限となるため、この地で41階建の超高層マンションが実現可能となったのだと思われる。

建設主となるデベロッパー業者は既に倒産してしまっているが、今後は更なる法規制もあり、ますますこういった珍百景のような建物は建てにくくなるだろう。(本部 髙橋瑞希)

山形◆米沢市/雪ニモマケズ、運休(ウヤ)ニモマケズ。【本部スタッフ・全国乗り鉄漫遊記】

この記事の投稿者: ふるさと情報館・本部スタッフ

2022年11月20日

▲電車の旅では駅弁も楽しみの一つですね

飛行機や新幹線・高速道路が発達する以前の高度経済成長期の日本は、まだ陸上交通の主役は国鉄の在来線であり、特急列車が文字通り「特別」な急行だった頃、庶民の移動手段は鈍行か急行のどちらかでした。

当時は現代のようにコンビニやスーパーもなく、旅人たちの胃袋を満たしてきたのはいつも大きな籠をぶら下げホームを歩いている駅弁屋さん。列車が到着し「駅弁~駅弁~」と声を上げると、列車の窓が次々と開き、金銭と食料の受け渡しが行われていきます。

籠の中には駅弁の他にお菓子やジュース等も入っており、ポリ茶瓶容器の緑茶や夏期の冷凍みかんと聞いて懐かしい方もいらっしゃるのではないでしょうか。今となってはほぼ絶滅したかに思われた駅弁の立ち売りですが、駅弁ではないものの別の商品を毎日立ち売りしている駅が存在します。

※国鉄とは日本国有鉄道の略で、1987年4月1日にJR グループ(旅客6社貨物1社)へ分割民営化される前に存在した三公社五現業のうちの1つであり、北は北海道から南は鹿児島まで私鉄等を除く全ての鉄道路線を管理運営していた国の公共企業体。

▲1日上下12本の普通列車が止まる秘境駅。

▲旧4連続スイッチバック駅のうち、赤岩駅は周辺集落が無人化したため2021年3月に廃止。

ここは山形県米沢市のJR 奥羽本線(山形線)の峠駅。奥羽山脈を越える難所板谷峠の真ん中にある駅で、防雪シェルターで囲まれた駅の外は鬱蒼とした森しかない秘境駅。

かつては蒸気機関車が険しい板谷峠を乗り越えるために、赤岩・板谷・峠・大沢駅は4連続スイッチバック(※)という全国でも極めて珍しい運転区間となっていました。山形新幹線が1992年に開通するにあたりこのスイッチバックは廃止されましたが、その名残はこの特殊な防雪シェルターが物語っています。

この路線は1899年に開通し、明治から令和に至るまで毎日列車が来る度にホームに立ち続ける人がいます。その人こそが現代において絶滅危惧種である駅での立ち売りを行っている「峠の茶屋」の売り子さんなのです。

▲8個入り1,000円で販売。お釣りいらずでありがたいお値段。立ち売りだけではなく店舗でも販売中。

営業から120年以上の長い年月が経ち、現在売り子を務めているご主人は、先代から数えるとなんと5代目になるとのこと。2022年11月現在、日本国内でほぼ毎日立ち売り販売を行っている駅は、ここ山形県米沢市の峠駅と、福岡県北九州市八幡西区の折尾(おりお)駅とわずか2駅のみ。前者は「峠の力餅」という大福を、後者は「折尾のかしわめし」という三色駅弁をどちらも立ち売りにて提供しています。

ただし九州の折尾駅とは違い、奥羽山脈の真っ只中に位置する峠駅は日本有数の豪雪地帯で、冬期は遅延や運休が発生することもしばしば。予め運休が計画されている日は当然立ち売りはお休みとなりますが、列車が走り続ける限り8時~18時台に峠駅を発着する上下6本の列車で、峠の力餅の立ち売り販売を行っています。ただし停車時間は30秒と非常に短いので、購入の際は予め千円札をお持ちになり、列車最後尾のドアまでお越しください。

他の駅も昨今のコロナ禍や路線の休止で次々と立ち売り販売を取り止める中、昔ながらの立ち売りを続ける峠駅ですが、近年その活躍にも陰りが見えてきました。線路を共用している山形新幹線が、この区間を迂回する新板谷トンネルを建設する計画が持ち上がっているのです。

▲時代や環境の変化はあったものの、120年以上続く立ち売り販売はまさに国宝級の伝統文化だ

まだ着工に至っていないので、完成したとしてもまだ何十年も先の話ではありますが、もし開通すれば峠駅を含む現在の区間はほぼ間違いなく路線廃止となります。参勤交代で賑わった羽州米沢街道がある頃から、店を続けている峠の茶屋さんには、列車が走り続ける限り、雪にも負けず運休にも負けず、立ち売り販売を続けて頂きたいと心から願ってやみません。(本部 高橋瑞希)

※スイッチバック:主に急勾配を緩和するための特殊な運転方式で、 車両性能が向上した現在は不要になりつつある。
★気になった方は、山形県ホームページ内、『峠駅スイッチバック遺構』をチェック!(https://www.pref.yamagata.jp/110001/sangyo/sangyoushinkou/him_top/him_maincat3/him_09.html
JR 奥羽本線(山形線)峠駅

山形◆長井市/山形の草ぶき古民家を往く【地方出張・担当旅がらす】

この記事の投稿者: ふるさと情報館・本部スタッフ

2019年11月27日

「長井市」は、かつて日本海と「米沢」を結ぶ最上川舟運の港町として栄えたところ。当地で三百年続いた呉服商「丸大扇屋」は、その中心地にある商家の面影を今に残しています。

今回は同じ「長井市」にある旧家の物件調査で訪問したのですが、草葺屋根の外観がこの扇屋さんの母屋とよく似ています。日本海側の気候に耐える構造でもあるのでしょう。建物は道路側の店、草葺の母屋、新座敷、みそ蔵、内蔵などと分かれており、嘉永から明治、大正期の建築が中心になっています。

▲「丸大扇屋」店の奥に草葺の母屋が見えますね。

大きな手漉きガラスの窓に思わず見入ってしまい、係の人の「1枚でも割れてしまえば代わりはありませんので」。との説明にもおもわず頷いていました。今は県指定文化財として保存されていますが、昭和40年代まで実際に商家として利用されていたとのことです。

同じ敷地内には彫刻家「長沼孝三」の生家でもあることから、彫塑館が併設されています。またこの近くには、明治11年築という旧西置賜郡役所「小桜館」もあり、往時の町の暮らしぶりを偲ぶことができます。(本部 山中準一)

▲旧西置賜郡役所の「小桜館」

山形県◆米沢/西吾妻山に、白馬の騎士が現れる季節が・・・【本部スタッフ・出張旅ガラス】

この記事の投稿者: ふるさと情報館・本部スタッフ

2009年6月1日

5月20日、山形県西吾妻山、天元台スキー場あたりに見える「白馬の騎士」です。白馬に乗って槍を持った上杉謙信の像ですが、馬の後ろ足が消えかかっています。米沢市民は白馬の騎士が見えると春を感じるそうです。