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岩手◆奥州市(江刺)/中尊寺と賢治のあいだ ~ 江刺探訪 ~【行くぞ北東北!所長ふるさと随想録】

この記事の投稿者: 八ヶ岳事務所・中村健二

2021年8月13日

▲種山高原の賢治像(住田町)。

「みちのく岩手事務所」の設立時から、いやその前からかもしれないが、農地法や国土利用計画法など、なにかとお世話になってきた市がある。岩手県南西部の「奥州市」だ。

この名前、岩手県内における絵に描いたようなネーミングだが、東京の「西東京市」、山梨県の「中央市」、秋田県の「北秋田市」などと同様、わたし的にはその名前から特徴がつかみづらい市のひとつだとも言えるのだが、どうだろう。

さらに「奥州市」の周りを見渡せば、南には中尊寺の「平泉町」、北には宮沢賢治の「花巻市」、東には遠野物語の「遠野市」といった県内外での知名度が圧倒的に高いビッグネームのエリアに挟まれているのだ。

いっぽうで、平安時代の英傑・アテルイや胆沢(いさわ)そして幕末から戦前の近代日本のすぐれた立役者も輩出していて、市内には城址や趣きのある町並みが残っている。また、水稲や大豆、ピーマンの収穫量が県内トップだという。

かといってそこを目指していくようなスポットとも言いがたい。要は控えめに言っても地味目な市というのが一般的な評価なのかも知れない。

▲アテルイの名を冠した地元の銀行。

しかしながら・・・。

「奥州市」は平成18年(2006)「水沢市」、「江刺市」、「前沢町(まえさわまち)」、「胆沢町」、「衣川村」が合併してできた市で、約1000平方キロメートルの市域に11万人強が住む県南の中核都市だ。製造業の事業者数も288あり、これも県内トップ。旧市町村のいずれも謂われや歴史が古い。

さて、これまでに弊社が取り上げた物件は、胆沢川の作り出した扇状地が広がり人口の集中した生活利便性の高い「水沢地区」は案外少ない。逆に北上川右岸の河岸段丘が広がる「江刺地区」が圧倒的に多い。それはなぜか。以下わたしなりの見解だ。

高台の市街地を見下ろす中央運動公園や高校など坂道のある岩谷堂(いわやどう)地区は個人的に静岡の久能山あたりの景色を想起するし、なんとも岩盤がしっかりしているイメージが強い。市のハザードマップを見てみると急傾斜地指定は思いのほか少ないし、なんとも地形がユニークだ。

高台からはくりこま高原も遠望でき、南西側傾斜地のため、日当たりや降雪時の心配も意外と少なそうだ。さらにその西側にある「江刺稲瀬地区」のうち、山付きの場所は神社や民家が点在し稲作を中心とした農地が広がる可住地面積県内一の真骨頂ともいえる場所である。

視線が遠くまで伸びる場所で、商業地にも近い。ただし浸水想定域にも隣接しているため場所選びには慎重を期したい。

▲民家の配電盤(江刺稲瀬地区)。

いっぽう江刺の東部に目をやれば、そこは市内でももっともディープな場所として根強い支持者もいらっしゃる人首(ひとかべ)地区がある。人首川に向かって舌状に伸びる北傾斜地と河岸段丘の上にあり、古くからの宿場として一時代を築いた場所だ。対岸には人首小学校があり、元気に通学する児童たちの声がけも日課だ。

さらにその東側の「米里地区」のその先には山あいに開けた種山(たねやま)高原がある。「星座の森」としてかつては宮沢賢治もしばしば訪れた名所で、『風の又三郎』など彼の作品にも多く登場する場所だ。

▲「宇宙遊学館」内のスパコン(白い建物)。

ここで、先月号で物件のご紹介もさせていただいた「江刺梁川(やながわ)地区」。伸びやかな丘陵地で南東側に田んぼが大きく広がり、空も大きい。のどかで牧歌的そしてどこか懐かしい。夜は真っ暗で星空も美しい。

その後、水沢の市役所に戻って移住担当の大越くんと話しをしたところ、「そうですかねぇ」と不思議そうにわたしを見ていたが、その後大きく頷いた。「ここは魅力的な町ですよね」。地味目で控えめだが底力がある。それがここ奥州市なのだ。「ロンバケ」と大リーガーを生んだところでもあるし、ね!(宮城・岩手・秋田担当 中村健二)

▲江刺梁川の点在する民家。

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岩手◆奥州/湘南から東北へ17年目の決意【行くぞ!北東北・所長ふるさと随想録】

この記事の投稿者: 八ヶ岳事務所・中村健二

2021年7月13日

情報誌に掲載する「住み継ぎ物件」を取材するため、岩手県奥州市・江刺梁川(えさしやながわ)へと向かうこととなった。

仙台を出た時は快晴だったにもかかわらず、一関あたりから雲行きが怪しくなり、東北道水沢IC を出るときには土砂降りの荒天に変わっていた。東北も梅雨入り間近の予感がした。

途中、朝の連ドラ『おかえりモネ』のポスターを鶴巣(つるす)PA で見かけ写真に収めた。ドラマでは移流霧や彩雲などが出てきて、おおっと、気を引かれた方も多いのではと思う。

田舎では天気や気象状況にセンシティブであることを強く求められるのだ。

国道4号線と水量のやや増した北上川を越えて、東北新幹線水沢江刺駅に立ち寄った。観光案内所で聞いてみたいことがあったのだ。

「大谷翔平選手に関する資料はないのでしょうか?」
とわたし。

「あいにく掲示板に貼ってある切り抜きぐらいしかないんですよ」
と案内所のスタッフ。

どうやら肖像権絡みで写真などは置けないのだとか。市役所に行けば等身大の腕の模型があって、感染防止をして握手もできるそうだ。手のサイズはそれほど大きくもなく、よくこれでスプリットが投げられるものだと感心したという。

▲「奥州市出身 がんばれ 大谷翔平選手」

遠方から来たというと、写真のようなステッカーをいただくことができた。

▲観光案内所スタッフのおひとり。

「ところで江刺梁川まではどのぐらいかかりますか」
と、わたしは尋ねた。

「ここから30分ぐらいで行けます」
とそのスタッフ。

「そこへ何しに?」

「ええ、都会から移住した人を訪ねに行きます」 

「梁川なら、そこ出身のミュージシャンをご存知?」 

「もしかして「ロンバケ」の大瀧詠一(おおたきえいいち)のことですか」

「ここでは大瀧さんの全作品を個人のコレクターから預かって展示してあります。どうぞご覧になってください」

というわけで、観光案内所のガラスケースに入ったLP レコードやCD とともに詳細な年譜を拝見することができた。

そのせいで取材先には10分遅れの到着と相なった。

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▲庭の様子。

物件は日当たりの良い丘陵地帯にあった。丹精込めて手入れされた庭と草花。雨は上がり雲間から日差しが差し込み少しばかりムッとする草いきれに包まれる。

ダイニングでそれぞれ自己紹介をしたあと、リフォームされた土蔵に案内していただいた。そこで地下20メートルから汲み上げた地下水でお茶をいただく。

オーナーは神奈川県の湘南の地から17年前に移住した。会社勤務時代は海外赴任の経験もあるという。

60歳で定年後すぐに考えたのが、夫婦で元気なうちに農業を始めたいという思い。おふたりはともに東北出身。あるとき本誌で見つけたのが広い農地と民家と土蔵付きのこの物件だ。

「リタイア後は田舎暮らし」を絵に描いたような梁川での暮らしが始まった。田んぼをやりたいというのがふたりの共通した考えだった。手間かもしれないが機械に頼り切らなくてもなんとかやって来られた。なにせ時間はたっぷりある。休日には都会の子供や孫たちも駆けつけて来る。わからないことは近所に聞く。

▲足踏みの脱穀機も。

そして、「近所付き合いも大事ですが」と奥様は言う。「近隣に気の置けない都会からの移住者を見つけること」、それが長く続けられる秘訣ではないかと。地元と付き合う努力は必要だが、似たような趣味趣向で気の合う人を探し出すこと。得意料理やお菓子談義に花を咲かせるのも必要だし、土蔵の中でオペラのCD を聞けるご近所もありがたいものだ。

「それともうひとつ。腕の良い大工を見つけること」。家の補修はやはり地元が良いと言う。こちらに来て震災も経験した。そしていまはその次の人生のことを考えはじめている。

きょうは良い話が聞ける日だとひとりごちながら、3キロほど離れた梁川小学校を見に行く。どこか懐かしいにおいがする小学校だ。

集落の一等地、田園の先の見晴らしの良い高台にその校舎はあった。水利があり見通しのきく高台は縄文時代の遺跡が多い。もしかしたらここもそのひとつかもしれないな、と思いながらわたしは梁川を後にした。

*次月号では移住地中に積極的な奥州市の取り組みや空き家バンクについて書く予定です。(宮城・岩手・秋田担当 中村健二)

▲梁川小学校。

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