私の管轄する岩手県から宮城県の「三陸沿岸」は、皆様ご存知のとおり「リアス式海岸」と称して、太平洋に面した岬や湾が織りなす風光明媚なところです。特に私の住む山間地の遠野から行くと、開けた青い海を見るだけで心が清々しさを感じるものです。
ところが、七年前の東日本大震災による大津波で、穏やかな街並み風景は一変し、現在も大規模な土地の嵩上げ工事が継続されていて、大砂ぼこりをあげて大型ダンプが往来しています。先日、気仙沼市内の物件案内に車で陸前高田市を経由して行ったのですが、街全体を覆う土砂粉塵が前日の雨で汚土となって、大型ダンプの勢いに巻き上げられて、自分の車に降りそそぎます。
それも、何台ものダンプとすれ違うのですから、洗車したばかりのパールホワイトの車の色は、たちまち茶褐色の泥車と化してしまいました。通常であれば、環境汚染とか公害とか、騒がれるところですが、どの車も茶褐色の芋虫みたいになって、当たり前に走行しています。
高田松原海岸は海が見えない位の大堤防が完成した中に、あの「奇跡の一本松」として話題を集めた松が保存処置されて、居心地悪そうに寂しく立っており、その横には未だに解体撤去されない校舎の残骸が残されていました。
私ども内陸に住む者、または遠方の方々にとっては、もう七年も前の出来事として、過去の事のように思えるのですが、被災地の現状は、未だに通常の環境には戻ってないのが実状です。私の友人も住宅を流失したのですが、家族は幸い全員無事でした。ようやく土地の嵩上げ工事が完成し、これから住宅の再建に取り組むとの事です。
微力ながら、自分も出来ることから支援を続けたいと思っているところです。
(みちのく岩手事務所 佐々木 泰文)