ブログ

山梨◆八ヶ岳/霜寒の候、12月の八ヶ岳事務所【八ヶ岳南麓・たかねの里だより】 

この記事の投稿者: 八ヶ岳事務所スタッフ

2025年12月5日

▲冬晴れの中、雪化粧をした南アルプスに目を奪われる。(山梨県北杜市)

北杜市の12月は、時間がゆっくりと流れるような静けさに包まれる季節です。

春の桜、ゴールデンウィーク、夏休み、そして秋の紅葉と、高原の爽やかな気候を求めて、多くの人が訪れた賑やかな日々が過ぎ去り、12月ともなると一気に落ち着きを取り戻します。平日はもちろん、週末でさえ車の数が減り、年末年始を除けば、中央道の渋滞にも悩まされることもほとんどありません。

自然の中にも静けさが広がります。カエルやスズメ、トンボ、シラサギなど、さまざまな生き物たちの生活の場となっていた田んぼ。稲刈りが終えた今は、カラカラとなった乾いた土が剥き出しとなり、生き物の気配がすっかり消えています。

清里高原で観光客の目を楽しませていた放牧の牛も、姿を見せなくなりました。

▲ふと天窓をみると雪の結晶が。(山梨県北杜市)

賑やかな季節が過ぎ、人や生き物の気配がさり、ただただ静けさが生活を包む。寂しいようでありつつも、毎年のサイクルが繰り返され、陽から隠の落ち着きのある場所へ戻ってきたという、安心感。ちょっとここで落ち着いてみなさいなと、誰かから言われたような安堵感のある静けさです。

一方で、静けさの中にも冬ならではの音があります。

冬にかけて八ヶ岳の東側と西側から北杜市へ吹き抜ける強風。日本海側からの雪雲は、北アルプス、八ヶ岳という山脈で遮られ、乾いたこの強風だけがこの地へ届けられます。夜になると、家を取り囲むように轟音を立てて吹き荒れる風。それが恐かった時期もありました。

ただなんというのでしょう、「静か」と「静けさ」は違うというのでしょうか。外界と家とを遮断するような風音、八ヶ岳おろしを聞いていると、より深い静けさを感じるようになりました。

▲庭のアナベルは自然のドライフラワーに。(山梨県北杜市)

そしてこの静けさに包まれた12月は、天候に恵まれる季節でもあります。

夏場は雲が発生しやすく、落ち着かない空模様でしたが、冬の八ヶ岳の南麓は、まるで毎日が晴天のような日が続きます。

夏場は雲に隠れがちだった南アルプスや八ヶ岳、富士山といった山々がスッキリとすんだ空気の中で、雪化粧をまとって見える日々は、なんとも贅沢です。

この静けさと、澄んだ空気の中で暮らす豊かさ。そんな北杜市の12月に、改めてこの土地の魅力を感じながら、自然と接しながら生きる魅力を感じる今日この頃です。(八ヶ岳事務所 大久保武文)

山梨◆八ヶ岳/向春の候、2月の八ヶ岳事務所【八ヶ岳南麓・たかねの里だより】 

この記事の投稿者: 八ヶ岳事務所スタッフ

2024年2月6日

▲晴天が続き、台地は乾燥、八ヶ岳は雪化粧をしている。(山梨県北杜市)

年間で最も気温が下がる、冬の底といえる時期となりました。

昨年の気象庁の記録をみると、1月下旬から2月中旬が最も気温が低く、大泉町の観測地点においてはマイナス10度までさがった日も何日かあったようです。

冬の北杜市というと田んぼや畑、家々の屋根にまで雪が積もった、白銀の世界のイメージを持たれるのですが、実際にはそういったシーンが見られるタイミングはごく僅かです。

▲南アルプスの上は頻繁に雪雲が発生。(山梨県北杜市)

基本的には晴天の日が続き、地面は乾燥し、カラッとした明るい里を囲むように、雪化粧をした山々がたたずんでいる。それが北杜市の冬の景色でしょうか。

ただ、明るいからといって、暖かいわけではないのが北杜市の冬。写真からは伝わりづらい寒さは是非現地でご体験ください。

厳しい冬を過ごしていると、暖かいというだけで楽しくなる、娯楽だと感じる感覚に至ります。

八ヶ岳おろしによる強い風と低い気温、外で作業をしていると、どんどんと体温が奪われていきます。

そんな中、家に戻った時の安堵感はかけがえのないものです。部屋の中ってだけで、こんなに違うのかと驚き、暖房のスイッチを入れ、やかんでお湯を沸かします。コタツはすぐに暖かくなるのが良いところですね。

▲ホッとする瞬間

お湯が沸くのを待つ間に、何を飲むかを考える。お茶かコーヒーか。コーヒーは入れるのが面倒で、コタツから離れる時間も多くなる。お茶にしようか。家にあるのは、紅茶、緑茶、焙じ茶、ウーロン茶、なんか薬草系もあったなと思う。身体が冷えた時に飲みたくなるのはほうじ茶が多い気がします。香ばしく広がる香りが身体をほっとさせるからか…。こんな風に思いを巡らすのも楽しい時間となります。

お茶を入れ、菓子箱から甘いものを出し、身体の中へ入れる。暖かい飲み物と甘いお菓子が体にいきわたり体の中から暖まるとともに、コタツが冷えた足先をじんわりと暖める。なんとも幸せを感じる冬の瞬間です。

▲冬の幸せ

仏教では、人は苦から解放される時に幸せを感じるというが、まさにコレがそうなのかと思うことも。

寒い環境に住んでいると、身体を暖めるというだけで、幸せを感じてしまう。暖かいは娯楽である。オシャレな薪ストーブである必要は無く、コタツだって、灯油ストーブだって、エアコンだって効能は変わりません。

冬の八ケ岳、暖かさをくれる自分の家が大好きになる季節です。(八ヶ岳事務所 大久保武文)

山梨◆明野町/空気が澄み渡り静か ~ 冬の北杜 ~【八ヶ岳スタッフ・暮らしの歳時記】

この記事の投稿者: 八ヶ岳事務所スタッフ

2021年2月7日

強い北風が吹き始めると、「いよいよ北杜も冬到来か…」と感じます。「八ヶ岳おろし」と呼ばれる強い北風は、冬の風物詩です。私が住む明野は特に風が強い所で、昔は風で窓ガラスが割れたとの噂を聞くほど。さすがにガラスは割れませんが、地中に埋められた物干し台が2度ほど倒れ驚きました。昼間は暖かな日も多いのですが、この風が吹くと体感気温がさらにマイナスとなり、初めての冬はかなりの重装備で外出してました。

しかし3年位経過した頃には寒さに体が慣れ、行きかう方と違和感のない服装になっている事に成長を感じました。風の影響を受けやすいのは、明るく開けた立地だから(南アルプスや八ヶ岳がきれいに望める)と言われます。林の中や、北側に小高い山があると防風の役割を担ってくれるそうです。

寒さが苦手な方は、標高と共に立地も意識されると良いかもしれません。とはいえ、冬の北杜は空気が澄み渡り静かで本当に綺麗。十二年暮らしていても見飽きない景色に、寒さを忘れ励まされる日々です。(八ヶ岳事務所 原 きみえ)