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山梨◆八ヶ岳/猛暑の候、8月の八ヶ岳事務所【八ヶ岳南麓・たかねの里だより】

この記事の投稿者: 八ヶ岳事務所スタッフ

2024年8月8日

▲強い日差しの中、稲が青々と育つ。遠くに空と雲と富士の姿。(山梨県北杜市)

気象庁の今年の7〜9月にかけての3カ月予報では、全国的に気温が平年よりも高く、昨年に続き「猛暑」となりそうとのこと。

昨年2023年の日本の夏の平均気温は、統計開始以来1位となり、過去最も暑い夏となりました。年々温暖化が進んでいるという事でしょうか。

北杜市の夏といえば、まずはその気候そのものが大変な魅力となります。

一概に北杜市といっても、地形や標高、日照条件などが様々です。

ふるさと情報館の八ヶ岳事務所がある場所は、標高760mと北杜市としては低め、近くに森はなく、日当たりの良い地形です。こういった場所ですと、真夏の日中は気温がぐんぐんと上がり、室内ではエアコンをつけないと過ごせない状況となります。

そんな場所でも、夏の夕暮れとともに気温が一気に下がり、涼しく心地良い風が入ってきます。朝は夜間に冷えた空気の中、一日がスタートできます。

場所を変えて、北杜市で最も涼しい場所はどこでしょうか?

実際に住まわれている方の話を聞くと、まずは標高が高いところ、標高1000mは越えたいところ。さらに森の中だと日中も涼しく過ごせるようです。落葉樹の森の中にある家はとても素敵な環境と言えるでしょう。

冬の間は葉が落ちて、日差しが降り注ぎ、春から夏にかけては緑のカーテンが家を包んでくれる。

樹木は水を吸い上げて生きています。樹木の間を風が通る時に、樹木の中の水が、風を冷やしてくれます。そういった自然のクーラーによる風が、日中も届けられる森の中は、最高の夏の住まいと言えるのではないでしょうか。

「エアコンなんて無いよ」、「付けたいと思ったことも無いよ」、「我が家は扇風機だけは必要かな」と嬉しそうに話す、別荘談義に花が咲く、北杜市の夏の光景です。

最近、北杜市で別荘をご購入されたAさんと雑談した時のこと。

Aさんは、10年位にわたって関東近辺で別荘を探してきました。場所を決めずに別荘探しを始めた方が、数あるエリアの中から最終的に北杜市を選んだ、決め手が気になりお聞きしました。「ここがとっても居心地が良かったから」とシンプルな答えが返ってきました。

▲夏は野菜が豊富。直売所をまわるのが楽しい。

近年は夏の間、貸別荘に半月ほど過ごしたこともあったそうで、その暮らしの中で、過ごしやすい気候に感動し、旬の野菜の美味しさに驚き、その野菜が安価に買えることに喜び、さらにお蕎麦屋さんが沢山あること等、自分にとって居心地が良い場所だと気づいたとのことです。

夏のこの時期、直売所では旬を迎えた夏野菜が並びます。そしてAさんがご購入された別荘は、高原の森の中の涼やかな立地。美味しい野菜を食べ、夜は涼しい環境の中、ぐっすりと眠ることができ、朝の目覚めも良い。夏の過ごし方としては最高ではないでしょうか。

ふと、室町時代の僧侶である一休の、「人生は食うて糞して寝て起きて…」の言葉を思い出しました。

人の一生とは、食べる、排せつ、寝る、起きるだけ。北杜市の夏はこのシンプルな生活を送るには適した環境と言えそうです。(八ヶ岳事務所 大久保武文)

山梨◆八ヶ岳/深秋の候、11月のお知らせ【八ヶ岳スタッフ・たかねの里だより】

この記事の投稿者: 八ヶ岳事務所スタッフ

2021年11月1日

▲秋空の下、夕暮れで赤く染まる八ヶ岳。(北杜市高根町)

「秋」から「冬」へと移り変わる季節です。

朝晩の冷え込みが厳しくなり、紅葉の見ごろとなるのが10月中旬からで、11月の前半にはカラマツの葉が日を受けて黄金色に輝く様を見ることができます。標高差のため比較的長い間、紅葉が楽しめる八ヶ岳南麓ですが、11月の中旬にもなると標高の高いエリアでは葉が全て落ちてしまいます。紅葉狩りを楽しむには急がれた方がよろしいでしょう。

甲府地方気象台の2020年の観測によると、「初霜」が11月1日、「初氷」が少しおいて11月5日でした。「霜」は空気と接触している物体の温度が0度より低くなると、空気中の水蒸気が、物体の表面に「氷」として成長することで出来ます。

冬の晴れた朝などでは放射冷却で、地面付近の温度が気温よりも数度低くなるため、気温が0度にならなくても「霜」が降りることがあるそうです。「霜」が降りていると朝の気温が零下になったと思っていたのですが、そうとも限らないのですね。「初霜」と「初氷」に数日のタイムラグがあるのはそういう理由なのでしょう。

▲11月初旬。紅葉したカラマツの葉が輝く。(北杜市高根町)

甲府地方気象台ではその他に、「初雪」、「富士山の初冠雪」、「甲斐駒ヶ岳の初冠雪」の観測をしており、観測記録をホームページに記載をしています。「富士山の初冠雪」は平年では10月2日なのですが、今年は大幅に早まり9月7日に「初冠雪」というニュースが流れました。

ニュースを見て驚き、早速に八ヶ岳事務所近くの田んぼまで見に行くと、確かに富士山の頂上が白くなっています。まだ北杜市では残暑を感じる陽気で、稲は成長の途中、麓と山の上では随分と気候が違うなと思いました。

しかし、この「初冠雪」ですが後日談があり、記録としてその後に取り消されてしまいました。数日で融けたとはいえ、一度は雪が積もったのにどうしてでしょうか。

これは「初冠雪」の定義に当てはまらなくなってしまったからだそうです。その定義とは、◆富士山特別地域気象観測所の日平均気温の最高値が出現した日以降に、初めて冠雪を観測した日を「初冠雪」としています。というもの。

当初、8月4日に日平均気温の「最高値」が出現したものとし、9月7日に「初冠雪」を観測としていましたが、その後、9月20日に日平均気温の最高値が更新されてしまったそうです。その為、「最高値」が出現した日より前の冠雪は「初冠雪」の定義に当てはまらなくなり、「初冠雪」記録も抹消となったそうです。冠雪後の9月の後半にもなって、1年度で一番暑い日になるとは、気象の当事者も驚いたでしょう。

因みに9月20日の富士観測所の平均気温は10・3℃でした。とても年間の最高値とは思えない低い気温ですね。富士山の環境の厳しさを改めて感じました。(八ヶ岳事務所 大久保武文)

▲11月中旬。標高の高い場所では落葉が進む。(北杜市大泉町)