私ども夫婦の生まれは静岡県沼津、伊豆半島の付け根。真っ白な富士山を背に、南西は深海で知られる駿河湾にひらけ、魚が豊富に獲れました。「獲れる魚の種類の多さは日本で一番だ」と親父から口癖気に聞かされていました。
沼津市(人口はいまで23万人)は、戦前まで御用邸があったほど気候温暖な地で、老後に暮らす永住地として人気があるようです。量が獲れた駿河湾の鯵あじは「干もの一」となり、地元では「猫マタギ」とよんで、卑下された食品でしたが、昨今は漁獲量が極端に減り、「沼津のあじのひもの」として高価な名産品にかわりました。
魚で育ちましたから蔵王で暮らしていても魚への渇望が止まりません。ここでも虹鱒などの川魚の養殖ものは手にはいりますが、あじ、すずき、さばなど形のよい新鮮な魚を並べて売る魚屋のないのが残念です。
2年ほど前、車で40キロほど東に走り、三陸沿岸の亘理町に小さな漁港をみつけました。東日本大震災の大津波に懲り、造られた大堤防の内側に建てられた漁協の道の駅です。地域の野菜や魚が集められて人気をよんでいました。
私が気に入ったのは、魚の安さと新鮮さ、品揃えです。早朝の海から上がった地魚が船頭にもちこまれ、売れるハシから補充されていく光景です。めばる、ひらめ、ほうぼう、めひかり、のどぐろなどスーパーの売り場では目にしない魚種も日替わりに並び、しかも安くて新鮮。小さな売店ですが、味を占めたリピーターが多く集まり、賑わっています。
月に2回は通う私どももその一組です。蔵王に暮らして久しぶりの充実感を感じています。(白石蔵王駐在 渡辺和夫)
「鳥の海ふれあい市場」
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☆渡辺さんが経営する宮城蔵王・遠刈田温泉郷ペンションそらまめのホームページ
http://www.soramame-p.com/
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