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福島◆奥会津/みんなで護る、日本の宝【本部スタッフ・全国乗り鉄漫遊記】

この記事の投稿者: ふるさと情報館・本部スタッフ

2023年7月21日

▲日本はおろか国際的にも有名な只見川第1橋梁。海外から来るカメラマンも今や珍しくなくなった。

2022年10月1日、約11年ぶりに全線で運行を再開した人気の秘境ローカル線「JR只見線」は、再開後の車内は超満員になるほど人気を博し、新型コロナウイルス感染者数も次第に減少していたこともあり、沿線の観光需要も徐々に回復傾向にあるという。

全国で自然災害により長期運休を強いられている赤字ローカル線が、バス転換やBRT化などの従来の鉄道に依存しない方式で公共交通を維持している中、只見線が鉄道として復旧したのは、昨今の情勢下としては異例の事態と言えるだろう。

しかし今回の路線復旧は一般的な災害復旧ではなく、2017年に県や自治体とJRの間で締結された「上下分離方式」によるものである。

上下分離方式とは、JRなどの鉄道事業者が車両や乗務員の手配を、都道府県や地方自治体が線路や駅施設などの維持費を負担することで、鉄道による存続を図る方式。この方式は言うまでもなく、維持費の負担源は地元住民の税金投入によるもの。

今回復旧と条件に提示された只見線(会津川口〜只見)の鉄道施設維持費、年間約3億円の7割を福島県が、残り3割を会津17市町村で、これから只見線が走り続ける限り費用負担を行われなければならない(復旧工事に発生した費用の約90億円は国・福島県と17市町村とJR東日本で3分の1ずつ負担済み)。

▲朝の会津坂下駅はちょうど通学時間帯ということもあり、ホームには多くの高校生で賑わっている。

会津川口〜只見間が走るのは金山町と只見町のみだが、この区間の復旧は会津地方全員の総意、ということで鉄道路線自体が通っていない北塩原村・昭和村・檜枝岐村も費用負担に加わっていることになる。

つまり只見線の赤字問題は沿線自治体だけではなく、会津地方に住む人々全員が関わっている問題なのだ。

復旧した区間は1日わずか3往復の普通列車が走るのみ。

業界の相場として、3往復/日という列車本数は、沿線住民の日常利用がほぼ皆無であることを意味し、観光利用等で赤字額を補填しないと今後の赤字額が増えるばかりなのは火を見るより明らかだ。

無論只見線を日常的に利用するしないに問わず、税金投入はこれからも永続的に続いていく。

今年度から只見線に新たな観光列車の設定が検討されているが、やはり物珍しさの1回ぽっきりでは何の意味もない。

何度でも只見線に乗り、奥会津に通いたくなるような魅力を、会津人全員で考えていかなければ只見線の将来に明るい兆しは見えない。

▲只見線は全国屈指の豪雪地帯を走ることでも有名で、国鉄時代の赤字路線整理の際も、冬期代替道路未整備という名目で廃止を逃れている。

先日映画化もした只見線専門の某有名鉄道写真家が、「只見線は日本の宝、闘いはこれからだ」と言い放ったように、みんなで一致団結して鉄路を維持していこうというマイレール意識が、明日の只見線を走らせる第一歩になるのであろう。(本部 高橋瑞希)