▲浄化槽の性能を発揮させるには適正なメンテナンスが必要である。
田舎物件を探す上で必ず目にする浄化槽という設備。下水道の未整備地区が多い地方郊外では、ほぼこの浄化槽を排水設備とする物件である。気をつけて頂きたいのは、数年に1回、汲み上げ作業を伴うことから、昔懐かしい「ボットン便所」と混同する人も多いが、日常的に汲み上げ作業を行う「ボットン便所」とは全く違う。
「浄化槽管理センター」(秩父市・黒谷)に勤める営業の川井優(ゆう)さんは、秩父エリアで成約する物件の引き渡しの際に立会うことが多く、将来お会いする機会がある方がいるかもしれない。新しく住宅所有者となる移住者の方に丁寧にその仕組みを説明、浄化槽の理解を深めるきっかけをくれる。
「昔は10年間全く保守管理してない浄化槽も多かったです。今は浄化槽法による法定点検が義務付けられ、3か月に1回の定期点検を通して、必要に応じて薬品追加や清掃をします。年間保守を行うことで浄化槽の性能が最大限発揮されるよう見張るのが僕らの仕事です」。
浄化槽を通した汚水はバクテリアの力によって、汚れを除去、動物が健全に生きられるほどのきれいな水として排水されるという。
ちなみに浄化槽は大きく分けて、単独浄化槽と合併浄化槽があり、トイレの汚水のみを高い能力で浄化するのが単独浄化槽。時代の変化とともに、お風呂や台所から排出される生活雑排水が、河川や海の水質汚濁、環境に及ぼす影響から生活雑排水も浄化できる合併浄化槽が登場する。平成13年4月に単独浄化槽の新設、製造・販売が禁止され、現在は合併浄化槽のみが新設できる「浄化槽」となった。この時から単独浄化槽は、「みなし浄化槽」と呼ばれるが、既設されたものの使用は制限されていない。
「高機能な合併浄化槽も、苦手なものが2つあるんですよ」と川井さんは言う。「ひとつは油(油膜)、そして意外にもトイレットペーパーです。どちらも定期点検、清掃時に除去しますが、管理されていない浄化槽だとその汚れの蓄積が浄化能力に影響を与えるのは当然ですよね」。
実は川井さんには「秩父漁業協同組合・副組合長」という別の肩書きもあり、漁協では毎年ヤマメなどの稚魚を生産・放流する仕事もしているのだ。「僕も秩父の自然に魅せられて東京から移住した人間で、今は川沿いの林の中で暮らしています。釣り好きの方は色々な情報をお話しできますので、秩父にお越しの際は僕に聞いてください」とのことだ。是非秩父にご縁があった際はご留意を。(本部 星野 努)
▲秩父には荒川をはじめ、きれいな川や釣りスポットがたくさんあると川井さんは教えてくれた。
=====================================
◆浄化槽管理センター埼玉県秩父市黒谷542TEL0494-24-7738
◆秩父漁業協同組合/秩父フライフィールド
https://gk-chichibu.blog.so-net.ne.jp