▲ホップ畑。
遠野は、ご存じの通り「オシラ様」「河童淵」等々の昔話が多くあり、「遠野物語」に代表される永遠のふる里と銘打つ東北の田舎ですが、そのイメージからかけ離れた農産物の産地です。それは、ビールの原料の一つとして、苦味と香りに欠かせないホップです。
皆さんはちっとイメージが湧かないかもしれませんが、遠野でポップ栽培が始まったのは昭和38年からとの事で、高度成長期に乗じて酒類の中でもビールの消費がどんどん増え、農家所得の増大を模索していた時期でした。
国内での栽培は稀で、近隣では旧江刺市で既に始まっており、国内ビールメーカーの大手の「キリンビール」と協定して、遠野ホップ農業協同組合を設立して、最盛期の昭和61年には国内生産量1位にもなりました。
▲乾燥作業。
しかし、国外からの安価な原料の輸入による原料価格の低迷と栽培農家の高齢化、後継者不足から近年は最盛期に比べて激減していますが、反面、貴重な国内原料生産地としての見直しや、地ビール生産の活況、そして、地域おこし協力隊等々の新規栽培者の参入、また、定例化してきた「遠野ホップ収穫祭」によるイベント開催により、新しい時代への歩みが聞こえてくるこの頃です。
その大仕掛けはホップ栽培棚から、蔓を巻き取り、大きな乾燥施設に搬入して毬花(ホップの花)を乾燥する収穫作業の最盛期がこの激暑の中で始まっています。(みちのく岩手事務所 佐々木泰文)
投稿者プロフィール

- ふるさと情報館・みちのく岩手事務所 所長・スタッフ
- 元JA職員で都市と田舎を結ぶ取り組みを約15年担当者として務め、退職を機にふるさと情報館・みちのく岩手事務所所長として一念発起。民話の宝庫・岩手県遠野市在住にて、地元神社の神主としての顔もある。令和3年よりデジタルを駆使して後方支援していた息子も全面的に加わり情報発信いたします。