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田舎暮らし四方山話よもやまばなし~その4~【情報館設立35年。その体験をもとに田舎暮らしへのアドバイス】

この記事の投稿者: 総務

2025年11月29日

第4話:田舎の土地事情

◆田舎に土地はあっても売り地は少ない

▲田舎はアナログ、一期一会である。上の物件は、茨城県石岡市物件(番号:18311)

田舎に行き、広々とした水田や畑、山や丘陵地を見ると無尽蔵に土地があるように見える。しかしながら、新しい人々を迎えるための、受け皿となる土地は意外と少ない。

日本の農山村の土地を大きく分けると、「集落の宅地」「道路」「農地」、それに「山林」である。

「宅地」はすぐに利用できるのだが、空き家になった農家の売り家は、さほど多くはない。近年、山村では空き家が増えているが、盆には都会に出た一族が帰省するために、手放す人は少ない。

「農地」は、多くが農業振興地域に指定されていて、ここには住宅は建てられない。一面に畑や水田が広がり、そこに家を建てたらさぞよかろうと思うような農地は、ほとんどが「農地振興地域」に指定されているのである。そんな農地にポツンと住宅が建っていることがあるが、それは農家の次男三男の分家が多い。農家の子弟の場合には特例で許可されるのである。

「山林」にはすぐ家が建てられるのだが、集落から離れていれば飲用水が確保できるかどうかが問題だし、平坦地ならいいが、傾斜がきついと住宅を建てるには不向きとなる。

日本の農山村には、伝統的に「土地は先祖伝来のもの」という意識があり、自分の代で手放すのは先祖に申し訳ないという考えがある。最近は、そうした意識も薄れてきているのだが、いずれにしても売り物件は多くはない。

売りたいという情報があっても、道路つきが悪かったり、電気、飲用水などライフラインの確保が難しかったりと、都会の人が移り住むのに適する物件となると、これまた少ないのである。

◆都会の土地はデジタル、田舎はアナログ

都会で不動産を探す場合には,物件情報誌やパソコンで条件を設定して検索すれば、おおむね自分の希望物件が検索できる。

都会の不動産は極めてデジタルである。鉄道沿線に都心から離れるごとに土地価格は安くなり、しかも下車駅からの距離によって価格が変動する。

分譲地に至っては、東南角地が最も高く、北西角地はその15%安という評価方法もある。周辺の時価より10%高ければ、買い手がつかず、逆に10%安ければ決まるのも早い。

マンションに至っては初めから商品として企画され、販売されている。性能も価格もすべて数値で表現されている。都会では、不動産といっても頻繁に取引される動産なのだが、それが田舎では、まことにアバウトでアナログなのである。

土地は自然界の一部であって、一度も取引されていない土地も多い。境界も山林に至っては「あの大きな松からこの杉の木まで」と極めておおらかな場合もある。土地価格も取引事例の少ない地域では、いわゆる「相場」が形成されておらず、売り主側の事情で売出し価格が表示されていることも多い。

田舎の土地は、傾斜地があったり、敷地内に泉があったりと、一つ一つが実に個性的で変化に富んでいる。土地の利用法も、その人次第である。田舎の土地は、都会の分譲地のようにデジタルではないのである。

そのため、物件情報を見て田舎に出かけてみると、「似て非なるもの」ということも多く、また逆に「掘り出し物の宝」ということもある。

いずれにしろ、都会的感覚を捨てて田舎的なおおらかさを持たないと、購入する決断もつかないのである。

◆「使わせていただく」という謙虚な気持ちで

土地の所有権の登記制度は、明治以降の近代法により確立し、登記簿に所有者が記載されることになっている。

では、「土地の所有権」とははたして何なのであろうか。土地は、すべての生命体の母なる大地であり、人間が作ったお金や消費財のように、自分が勝手に処分できる所有権とは基本的に違うことを認識しなければならない。

土地を購入すれば登記簿に所有権者として記載されるが、それは人間社会において他人に対して「これは私のものです」と主張できるにすぎない権利なのである。

事実それは、その人間が生きている限りの権利であり、亡くなれば当然別の人に権利が移動する。墓場に持って行くことも、使い切ることもできないのである。

人間も自然界の一部であり、自然界の母なる大地を「使わせていただく」という謙虚な気持ちが大切なのであろう。

「すべてがお金で買える」という都会の風潮と「都会の利己心」を田舎に持ち込んでもらいたくない、と信州のりんご園農家のご主人は言うのである。(本部 佐藤彰啓)

山梨◆北杜市/蜜あふれる津金つがねのりんご【八ヶ岳スタッフ・暮らしの歳時記】

この記事の投稿者: 八ヶ岳事務所スタッフ

2025年11月27日

▲りんごが赤く実る、秋の風景。

北杜市須玉町津金つがね地区は、標高約700mの高地に位置し、八ヶ岳南麓に広がる、自然豊かな地域です。昼夜の寒暖差が大きいこの地域は、糖度の高い果実を育てるのに理想的な環境です。

「津金のりんご」は、9月から順次出荷が始まります。9月は「つがる」、10月は「早生ふじ」、「秋映」、「シナノゴールド」、「シナノスイート」、「ジョナゴールド」、「ぐんま名月」と、様々な品種が販売されます。

「津金のりんご」は、甘さと酸味の絶妙なバランス、シャキッとした歯ごたえ、そして豊かな香りが魅力です。特に「津金のりんご」の主力品種「サンふじ」には、多くのファンがいます。

11月に直売所に並ぶのは、この「サンふじ」。津金の「サンふじ」は、特に糖度が高く、蜜が入りやすいことで知られています。

▲色々な品種のりんご並ぶ直売所。

「津金のりんご」は収穫量が限られ、地元で消費されることが多いため、全国の流通は少なく、希少性の高いりんごです。

「津金のりんご」はまさに知る人ぞ知る一品です。ぜひ味わってみてください。(八ヶ岳事務所 柳本朝子)

島根◆出雲市/稲佐いなさの浜の後に出雲大社【北の国から・制作スタッフ進行日誌】

この記事の投稿者: 編集

2025年11月24日

▲稲佐の浜。

出雲大社へ行く前に立ち寄るべきスポット、「稲佐いなさの浜」をご存じでしょうか?

こちらに行かれる際はビニール袋必須です。まず一際目をひく弁天島に手を合わせ、持参したビニール袋に海辺の砂を拾い集めます。この砂を持って次は出雲大社へ向かいます。

▲出雲大社拝殿。

出雲大社の参拝順は拝殿の後に真後ろにある素鵞社そがのやしろを参拝ください。

ここでやっと砂の出番です。素鵞社の左右に砂が入った木箱があるので稲佐の浜で拾い集めた砂をその箱に入れ、元から置いてある砂を袋に入れ、砂の交換をします。

交換した砂は持ち帰り、自宅の四隅に置くとご利益があるとされています。

▲素鵞社。

さて、稲佐の浜では毎年旧暦の10月10日に八百万の神々が集まる神迎神事かみむかえしんじ神迎祭かみむかえさいが執り行われます。

今年は11月29日(土)です。気になる方はお出掛けください。(本部 菊地美穂)

新刊紹介◆菜園ライフを応援します!~家庭菜園雑誌『やさい畑』冬号のご案内~

この記事の投稿者: HP担当

2025年11月21日

▲『やさい畑』冬号【(一社)家の光協会・定価1,100円】

菜園ライフを楽しむための雑誌『やさい畑』から、11月発売・冬号の内容をご紹介します。

特集は、「肥料の使いこなし超入門」。

肥料は、野菜にとってのいわば〝ご飯〞。生育に欠かせないものですが、施し方を間違えると悪影響を与えることもあります。

大切なのは、野菜が求めるタイミングで、必要量を施すこと。そのために押さえておきたいポイントをイラストでわかりやすく解説します。

▲無農薬、無肥料で元気野菜が育つ“ 菌ちゃん農法”

また、好評連載中の菌(おもに糸状菌)の力を利用して野菜を育てる「菌ちゃん農法」は、2シーズンめに突入、より深掘りしたテクニックを取り上げます。

この号では、夏場の乾燥に耐え、さらには冬の寒さにも負けず野菜が元気に育つ、進化した「新・菌ちゃんうね」と雑草を有効に活用できる「草マルチ畝」を紹介します。

ほかにも冬だからこそ取り組みたい「保温栽培&土づくり術」や「加工食づくり」、「別冊付録・2026年野菜づくりカレンダー」など、菜園ライフを楽しくする情報を盛りだくさんでお届けします。(『やさい畑』編集長・廣井禎)

長野◆上田市/上田市のソウルフード、美味おいだれ【本部スタッフ・地方出張余話】

この記事の投稿者: ふるさと情報館・本部スタッフ

2025年11月19日

▲美味だれ焼き鳥。

先日、長野県青木村で仕事があり一泊しました。宿泊を伴う出張では、ホテル付近の居酒屋でその土地の美味しい食べ物やお酒を飲めるのが、この仕事の魅力の一つであります。

さっそく、上田市発祥の美味おいだれ焼き鳥を求め老舗の焼き鳥屋の門を叩き、ハツ、レバー、かしら、すなぎもを注文しカウンターに置いてある自家製の美味だれをかけ口に運びます。

すりおろしニンニクに醤油ベースのたれはやみつきになる旨さです。

美味だれは昭和30年代に、上田市内の焼き鳥店で考案され市内や市外の家庭や店舗に広まりました。

当初は美味だれという特別な呼び名はありませんでしたが、2011年に市民有志により「美味だれで委員会」が立ち上げられ、上田地方の方言で親しい仲間に使う愛称になりました。

「おいだれ」と「美味しいタレ」と好みにより後から追加できます。「追いダレ」は3つの意味を持たせ「美味だれ」と命名されました。

私は濃い口派なので、とても好みの味で美味ダレの追いダレが止まりません。ついでにビールも止まりません。

ちなみに上田市内だけでなく、近隣の千曲市や坂城町などでも美味だれ焼き鳥を味わえます。私が今回訪れた店も千曲市の温泉街の飲み屋通りにあるお店です。

また美味だれは焼き鳥だけでなくラーメンやパスタ、カツ丼など様々な料理に使っても美味しいそうで、帰り道上田市内のスーパーに立ち寄り2本購入しました。(本部 浅見修光)

東京◆本部/足止めを食らった際の貴重な体験【本部スタッフ・地方出張余話】

この記事の投稿者: ふるさと情報館・本部スタッフ

2025年11月17日

▲足止めを食らったときに思い出す、とある体験。(画像はイメージです。)

宮崎空港でのその瞬間、私は正面の大きなガラス壁の先にある機体を見つめ放心状態になった。

「現在、到着地の東京国際羽田空港の天候不良の為、JAL○○便は出発することが出来ません・・・。」というアナウンスが出発ロビーをどよめかせた。

線状降水帯が東京に発生したのだ。こればかりは怒っても仕方ない、〝運〞を受け入れるしかない。

そんな諦めの気持ちの後に、ふと過去の〝足止め〞体験が脳裏を過った。

東日本大震災時や大型台風直撃時の高速道路通止め、新幹線故障により延々と在来線で立って帰ってきたことなど。思い起こせば色々あったなぁと感慨にふける。

そんななかでも群を抜いて鮮明に記憶されているのが、九州地方のとある離島への出張時。

飛行機と電車を乗り継ぎ出港場に着くと海が荒れて船が出られない、という無情のお知らせが。仕方なくその日は港近くの異様に安い宿に泊まることに。

まぁ、これくらいのトラブルでしたら大人心で受け入れるとしよう。ただ、問題は船の欠航ではなくその宿にあった。その宿がとにかく気味悪い。

部屋の壁に掛かる大きな鏡、スナックにありそうな不釣り合いで邪魔でしかないソファ、埃だらけのテレビ、シミの多いカーペット、剝き出しの配管。極めつけは店番の女性の顔が異様に青白い。電気を消すと何かが現れそうで一晩中テレビを点けていました。

翌朝、寝不足で港に着くと一緒に行ったお客さんが朝の挨拶もそこそこに「金澤さん、今日も欠航だって。」その晩は意地で昨夜と同じ宿に泊まり、翌朝無事目的島へ出発できました。(本部・九州担当 金澤和宏)

福島◆南会津町/只見線沿線日帰り温泉【地域駐在スタッフ・福島「六十の手習い」だべ】 

この記事の投稿者: 福島・会津エリア案内人 / 馬場 和弘

2025年11月14日

▲只見線沿線近くを流れる大河「只見川」。2011年7月の大雨で暴れ川へと豹変した過去を持ちます。

以前、南会津町の日帰り温泉8ヶ所をご案内致しましたが、私のコラムを読まれている読者さんから、只見線沿線の日帰り温泉も紹介して頂きたいとのリクエストがありましたので、温泉好きの私としましてもその声に応えたいと思います。正直軒数が多いので一部になりますがご理解ください。

①会津若松駅 「富士の湯」
ここは炭酸泉、薬湯、露天風呂、サウナと充実しておりレストラン、癒しコーナー、カラオケ、ゲームコーナーとお風呂以外も楽しめるのでご家族にもオススメの施設です。
住所:会津若松市駅前町2-13

②会津本郷駅 「湯陶里ゆとり
毎日汲み上げているお湯、露天風呂は最高です。食事も出来て味噌ラーメンが美味しいです。
住所:会津美里町六日町甲4106‒1

③新鶴駅 「新鶴温泉んだ」※宿泊可
泉質が良くぬるっとする感じが最高!ちょっと熱めかな?
住所:会津美里町鶴野辺上長尾2347‒4

④会津柳津駅 「会津やないづ湯足里ゆとり
無料の足湯です。ちょっと熱めですがいい湯加減です。
住所:柳津町柳津下平乙151

⑤会津宮下駅 「宮下温泉保養センターひだまり」
ちょっと熱めですが赤茶けたお湯は最高!テラスから眺める雄大な只見川には癒されます。
住所:三島町宮下下乙田889

⑥早戸駅 「つるの湯」
源泉かけ流しの天然薬湯温泉。窓の外は只見川が眺望出来ます。
住所:三島町早戸湯ノ平888

⑦会津中川駅 「中川温泉」
お風呂はやや狭いが料金300円はかなりリーズナブル!対応も良し!
住所:金山町中川笹原1324

⑧会津川口駅 「せせらぎ荘」
ここは異なる源泉が2種類あり一つは大変珍しく希少価値の高い炭酸泉、もう一つは44℃と熱めの温泉です。
住所:金山町玉梨新坂2049‒1

⑨只見駅 「季の郷 湯ら里」
ここは駅からは遠いが宿泊可です。個人的には紅葉が見頃の秋がオススメ。近くに在る喜幸飯店は地元に愛されている町中華で美味しいですよ。
住所:只見町長浜上平50

⑩只見駅 「深沢温泉 むら湯」
鉄分が豊富で赤褐色のお湯は体が温まり、外の只見川の眺めも最高です!食事も出来て休憩所も広いので疲れを癒して下さい。
住所:只見町長浜上平50

と、ここまで駅から最寄りの日帰り温泉をご紹介しましたが、お風呂に入れる旅館や民宿はまだまだありますので、是非皆様チェックしてみてください。

私は月に数回日帰り温泉を利用し、農作業の疲れを和らげていますが、「THE 温泉(地・温泉)」って最高ですよね!温泉に入る前に食べる蕎麦がこれまた美味しい。

でも、そんな道中でも空き家チェックを欠かさないのが私!「必殺仕事人馬場」でした。ではまた!(福島エリア現地案内人 馬場和弘)

岩手◆遠野市/昨今の農村事情【みちのく岩手・新遠野物語】

この記事の投稿者: みちのく岩手事務所/ 佐々木 泰文・佐々木 敬文 

2025年11月11日

▲たわわに実った「ひとめぼれ」。

近年の温暖化により標高450ⅿの高地にある我が家の田んぼでも、平場の銘柄米「ひとめぼれ」が大豊作の様相で、いよいよ稲刈りの時期になりました。

今年は米の高騰問題や異常高温による干ばつ、作柄不良の心配等々農業に関する話題が多くあります。しかし、落ち着いて考えると農業は何時の時代でもコロコロと変わる猫の目政策に翻弄されてきた様な気がします。

水田基盤整備事業等々の開発推進や、それに矛盾した減反政策、さらに今年の米不足騒動、これの批判の矛先を変えようとして経営の大規模化を進める合言葉としてスマート農業のフレーズです。

しかし、これらの多くは新しい事業とし向かうもので、大規模と集約化を推し進めるものです。その反面、日本の農村が古くから受け継いできた集落の共同共存的生業と地域環境は世帯減少と高齢化により弱くなってきており、特にも山間地帯では土地の管理保全に困惑しているのが実情ではないでしょうか。

政治は何時でも前に進む聴こえの良い話には直ぐに乗りますが、その反面、時代から取り残されて困窮する課題には、なかなか目を向けようとしてくれません。

何とかして、美しい日本の自然あふれる農村を維持していくためにも、地方移住希望者の方へのお手伝いをして行こうと思うこの頃です。(みちのく岩手事務所 佐々木泰文)