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岩手◆遠野市/歳祝いとしいわい?【みちのく岩手・新遠野物語】

この記事の投稿者: みちのく岩手事務所/ 佐々木 泰文・佐々木 敬文 

2024年8月17日

▲お神輿を背に拝殿に向かう歳男衆。

ご当地ならではの風習や催しなど、日本全国のあちこちに数多ある事と思います。

また、それらは得てして地域住民にとっては当たり前、常識として生まれ育って外の世界に出た時に初めてそれが地元ローカルのものだと知らされる事になるのです。

さてここで、〝歳祝いとしいわい〞という言葉を皆さんはご存じでしょうか?

これは還暦や米寿、古希などの節目を祝うものとは違い、男女それぞれの厄年(数え年で女33、男42歳)の年に、それぞれの地域ごとのやり方でお祝いを催すというものです。

厄年なのにお祝い?とも思えるこの風習、なんと!?岩手県特有のものだったようです!!…って、県外の皆さんおそらく初耳なんですよね。

それぞれの地域でのやり方と申し上げましたが、現代で一般的なのは、同窓会として集まって飲み会を開催する形が多いようです。

遠野市の上郷町では、毎年地域の日出神社ひでじんじゃの例大祭と合わせて、その年の歳男(厄年)衆が神輿渡御とぎょをして町内を巡る慣わしになっており、今年は私も参加してきました。

そう、私、歳男なのです。

岩手のこの風習はTV番組や有名人のSNS等でも紹介され、その度に〝みんな知らないの?嘘でしょ?〞となる岩手県民が続出。

外から教えられなければ気づけない地元特有の文化、面白いものですね。(みちのく岩手事務所 佐々木敬文)

岩手◆遠野市/伝統的な技!佳麗な神輿の奉納でございます【みちのく岩手・新遠野物語】

この記事の投稿者: みちのく岩手事務所/ 佐々木 泰文・佐々木 敬文 

2019年6月16日

小生が宮司を勤める遠野市の日出神社に地元工務店の会長さまから、一年がかりで作成した手造りの佳麗な神輿を寄贈頂きました。工務店の会長で、御歳91歳を迎える林崎様は30代で工務店を立ち上げて以来、地元はもとより岩手県沿岸部まで、その腕を買われて住宅から公共事業工事まで幅広く事業を展開してきました。そして寄る御年なみと、住宅建築の近代化が進んだことで、やむなく工務店を数年前に閉業したのです。

現代の住宅建築は、皆様も御存知の通り工法の変革が進み、パネル工法が主流となり、従来からの木材に墨縄を掛けて木造りする技術は、ほとんど使用されなくなっています。大工さん方も、一つ一つの繊細な技術の継承者が、どんどん少なくなってきているようです。かつて、日本が誇ってきた伝統的な技術はもとより、工業界においても日本人ならではの繊細な技術力の伝承の危機だと聞いています。

この林崎様は、40年以上前から当神社の責任役員をお務めになり、ご自分の置き土産として神輿を奉納して御引退されますが、地方の神社は今まで地域の職人さんの御奉仕を頂いて、守り伝えて来たのが実情ですので、林崎様の敬神の篤志に感謝するとともに、これからも地元の方々と共に支え合いながら伝統を守り伝えたいと思う処です。
(みちのく岩手事務所 佐々木 泰文)

岩手◆遠野市/日出神社例大祭がありまして【みちのく岩手・新遠野物語】

この記事の投稿者: みちのく岩手事務所/ 佐々木 泰文・佐々木 敬文 

2017年8月15日


去る6月18日に、小生が宮司を務める日出神社の例大祭がありました。御祭神は「少彦名命(すくなびこなのみこと)」で、遠野南部藩から石段及び所領を拝領した旧上郷村の村社です。

地元の言い伝えでは、源義経公が平泉で兄頼朝の謀略により藤原泰衡勢に襲われた際に、秘かに平泉を脱け出した話は北行伝説となっていますが、その主従一行が住田町秋丸峠にさしかかった時に、義経公の娘の日出姫が病で無くなり、此の地に葬られたのを哀れんだ地元の者たちが、お社を建てて祀ったことに始まるとの説があります。

昔は例祭日には、参道近くの踏切に鉄道の臨時停車場が設けられて、盛大だったと諸先輩方から聞きますが、年々参拝者が減って来ていました。小生が宮司に就いてから4年目を迎えるのですが、此のままでは良くないと思い、一念発起して拝殿、社務所の修復と神社林を伐採して駐車場を拡張し、参道整備もしたところ、今年は芸能8団体と多くの参拝者が押し掛けて盛大な祭りとなりました。

神職になって17年ですが、総代や地元の関係者と一つ一つ地道に積み上げてきた努力が報われた感があります。 是非、遠野郷にお越しの際は、数々の神社と多様な郷土芸能、そして奇々怪々な昔話をお楽しみ下さい。
(みちのく岩手事務所 佐々木 泰文)