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山梨◆八ヶ岳/新春の候、1月の八ヶ岳事務所【八ヶ岳南麓・たかねの里だより】

この記事の投稿者: 八ヶ岳事務所スタッフ

2023年1月4日

▲珍しく雪が積もった朝。南アルプスの山並みが美しい。(山梨県北杜市)

新年明けましておめでとうございます。

新しい年が迎えられるということは、なんとも嬉しいものです。気持ちが一新し、一つの区切りが自分の中に出来て、また1年のスタートを切ることが出来ます。

気持ちを盛り上げる上で、初日の出を拝みに行くのも良いですよね。

冬の早朝、寒さの厳しい八ヶ岳南麓で外出するには気合が必要です。ぬくぬくとしたお布団の誘惑から逃れることがなんと難しいことか。

初日の出の時間は山梨県では6時55分頃、一日で最も気温が下がる時間帯で、年によってはマイナス8℃くらいまで気温が下がることでしょう。標高が高くなればさらに気温が下がるので、普段の生活では無い寒さの中に出かけるということになります。

北杜市での初日の出のおススメスポットは山梨県立まきば公園です。家から車5分程で行けるというのが個人的な理由ですが、元日に訪れると県外からも多くの車が集まってきます。

標高1400mの八ヶ岳の真ん中に広がる牧場の草原で夏場はやぎやポニーなどの動物とふれあえる場所です。山の中でありながら空が広く感じられ、解放感があることから星空観測にも人気があるようです。

公園からの眺望は素晴らしく、東方向には富士山と秩父連山が広がり、その間あたりから現れる日の出を拝むことが出来ます。

▲極寒の中でみる日の出は美しくあたたかい。(山梨県北杜市)

複雑な山の地形のせいで、日の出の時間は正確ではありません。空は明るくなってくるものの、中々出てこない太陽を、寒さの中じりじりと待ち続けます。

ギリギリまで暖かい車の中で待っている人達もいますが、私はあえて寒い外で、外気を感じながら待つのです。頭の中を過るのは熱いお風呂に入りたいとか、あったかいお雑煮を食べたいとか、もう空が明るいから日の出を見たことにして良いんじゃないかと、家に帰ることばかり。

そんないつ終わるともない時間の中、山から太陽の眩しい光が漏れ出てきたときの嬉しさ。ただ日が昇るのを見に来ただけなのですが、ひと仕事を終えたような満足感が生まれます。

結果に至るまでの過程を味わうことで、より満足感を得られるのではと一人納得する自分でした。

コロナ禍になってからは分からないのですが、甲斐大泉駅の前にある温泉「パノラマの湯」では元日は朝6時から営業し、温泉の中から初日の出が拝めると人気でした。

露天風呂からは富士山も望めるので最高のロケーションとなります。無理せず心も体もリラックスしながら日の出を迎えるもの素敵な経験となりそうです。(八ヶ岳事務所 大久保武文)

山梨◆八ヶ岳/立冬の候、11月の八ヶ岳事務所【八ヶ岳南麓・たかねの里だより】

この記事の投稿者: 八ヶ岳事務所スタッフ

2022年11月8日

▲日を浴びて甲斐駒ヶ岳の輪郭が浮かびあがる。(山梨県北杜市)

北杜市は秋のさかりを迎えています。10月終わりから11月中頃にかけて山々が刻々とその表情を変えていきます。

北杜市では桜前線が標高の低いところから高いところへと駆け上がるように時期を変えて進みましたが、秋の紅葉の見ごろも標高に大きく左右され、山の上部から下部へと駆け降りるように進んでいきます。

▲青空の下、紅葉を見上げる。(山梨県北杜市)

地元に住んでいても、紅葉の見ごろをキャッチするのは中々難しいところ。見頃まであと少しかなと思っていて、次に訪れると葉っぱが落ちてしまっているということもしばしば。

紅葉の美しさは刹那的、だからこそ毎年惹かれるのでしょうか。本原稿の作成にあたり、昨年の写真を見返してみると、自然の表情にハッとさせられる、印象的な景色のものが結構ありました。

11月でも前半と後半では植物や木々の表情が大きく変わります。そしてその表情の変わるタイミングというのか、移り変わる瞬間、物事の移り行く過程が哀愁を、美しさを感じさせ、印象的な景色となるのではないでしょうか。

物事の移り変わるタイミング、昼と夜、黄昏時、現世と常世、生と死。季節が移り替わる秋のこの時期、少し感傷的に物事が見えてしまう。

▲夕暮れの空に八ヶ岳。田んぼに静けさが漂う。(山梨県北杜市)

天候も安定しやすいこの時期、ドライブついでに秋の景色を写真におさめてはいかがでしょうか。夕暮れ時の八ヶ岳の山並みは特におすすめです。(八ヶ岳事務所 大久保武文)

【八ヶ岳事務所エリアの物件】
八ヶ岳南麓エリア・・・北杜市高根町、北杜市長坂町、北杜市大泉町、北杜市小淵沢町
韮崎・茅ヶ岳エリア・・・北杜市須玉町、北杜市明野町、韮崎市、甲斐市
武川・白州エリア・・・北杜市白州町、北杜市武川町

山梨◆八ヶ岳/清秋の候、10月の八ヶ岳事務所【八ヶ岳南麓・たかねの里だより】

この記事の投稿者: 八ヶ岳事務所スタッフ

2022年10月10日

▲黄金色に輝く田んぼにトンボの姿。(山梨県北杜市)

10月初旬。北杜市では稲刈りの最盛期を迎えます。

黄金色の稲穂の間を、コンバインが駆けていく。5月に始まった田んぼの水はり、田植え、毎日の水の調整、週末毎の草刈り、傍から見ていても、稲を育てるという事は大変な作業ですね。

そして今年も田んぼの1サイクルが終わろうとしています。10月の中旬には八ヶ岳、南アルプスの山も冠雪となるでしょう。空気も澄んで、山を眺めるのに良い季節となります。

▲10月中旬。南アルプスがうっすらと雪化粧。(山梨県北杜市)

▲稲刈りの季節。コンバインが駆けていく。(山梨県北杜市)

皆さんご存じでしょうか、北杜市は知る人ぞ知る米どころなんです。

正直、私は移住するまで、北杜市の米というものを聞いたことがありませんでした。思い返せば「コシヒカリ」「あきたこまち」「ひとめぼれ」といった銘柄は気にしていても、どこの産地の米かを気にしていませんでした。

住み始めた当初も、田んぼがあるくらいの認識でした。ただ北杜市の食堂やドライブインで出てくる米(武川米が多かったでしょうか…)がとても甘くて、甘くて、ビックリしてしまいました。

その事を地元の方に話したところ、ご自分が褒められたように喜んでくれた記憶があります。こんな話も聞きました。「北杜市須玉町の米は、新潟魚沼産の米の在庫が少なくなると、魚沼産として市場に出されるのだと」。

これは都市伝説のようなもので、魚沼産に劣らず美味しいという話が誇張されたものだと思います。ただ、それくらい地元のお米への信頼というか、誇りがあるのだなと感じさせられたエピソードでした。

調べてみると、JA 梨北管内で栽培された「梨北米こしひかり」は、食味ランキングにおいて最高評価の「特A」を通算10回獲得しているそうです。そして平成20年には魚沼産こしひかりをおさえ、日本一美味しいお米にも選ばれたことも( ㈱米福HP より)。

食味ランキングとは(社)日本穀物検定協会が実施しているもので、専門家20名が毎年、お米の「外観・香り・味・粘り・硬さ・総合評価」で審査し、基準米とおおむね同等のものを「A’」、特に良好なものを「特A」、良好なものを「A」、やや劣るものを「B」、劣るものを「B’」として評価をするものだそうです。

こんなシビアな戦いが毎年行われていたのですね。私の方は、ここ3年程から顔見知りの農家さんからお米を買うようになりました。知っている人が作っているお米なので、なんでしょう安心感があるのは勿論、応援したくなる気持ちまで湧いてきます。

「梨北米こしひかり」のここ3年の結果は「A」の成績、「特A」からは遠ざかっているようですが、個人的には、それは何かの間違いなのでは?と言いたくなるくらい、北杜市のお米推しの今日この頃。北杜市においでの際は、是非、お土産にお米をお買い求めください。(八ヶ岳事務所 大久保武文)

【八ヶ岳事務所エリアの物件】
八ヶ岳南麓エリア・・・北杜市高根町、北杜市長坂町、北杜市大泉町、北杜市小淵沢町
韮崎・茅ヶ岳エリア・・・北杜市須玉町、北杜市明野町、韮崎市、甲斐市
武川・白州エリア・・・北杜市白州町、北杜市武川町

山梨◆八ヶ岳/立春の候、2月のお知らせ【八ヶ岳南麓・たかねの里だより】

この記事の投稿者: 八ヶ岳事務所スタッフ

2022年2月4日

▲枯草、落葉した木の先に雪化粧をした南アルプス。(北杜市高根町)

暦では2月4日は立春となります。正直、北杜市にいると「春の始まり」という感覚はまだありません。1月下旬から2月の中旬ぐらいまでが年間で最も気温が下がる時期となります。夜明けの時間帯が一番冷え込み、日によっては気温がマイナス15℃度に達する日もあるほどです。

毎年、我が家の給湯器の調子が悪くなるのもこの時期でしょうか。昨日までは普通にお湯が出ていたものが、ある朝、急に動かなくなる。早ければ日中に動くようになるのですが、機械にとっても八ヶ岳の寒さは厳しいということなのでしょう。他にも身近なとこではスマートフォンやカメラのバッテリーの消費が激しくなります。充電満タンのはずが、取材中にカメラのバッテリーがまたたく間に切れて驚いた事がありました。最初はバッテリーの経年劣化かと思いましたが、原因は「寒さ」でした。現在は、ズボンのポッケに入れて体温でバッテリーを温めておけば、通常どおり動いてくれています。同業者の方から教えてもらったのですが、私にとっては「生活の知恵」となりました。

ヨーロッパ、中国を中心に普及が進んでいる電気自動車においても、バッテリーの温度管理が大事なようです。外気が暑いときにはバッテリーを冷まし、寒いときにはバッテリーを温めることで、航続距離を随分と伸ばせるという話を聞きました。寒さの厳しい八ヶ岳の気候は、電気自動車には負担が大きいかもしれません。ただ、脱炭素の波は確実に、地域を問わず日本にも訪れることでしょう。八ヶ岳で最もポピュラーな暖房は「灯油ストーブ」ですが、暖房機器にも脱炭素の流れがくるのでしょうか。なんだか、当たり前に使いすぎているので、「石油ストーブ」が無くなるというのは現実感が湧かないところです。

一方で、薪ストーブが環境に優しい、カーボンニュートラルな暖房だと言うのは嬉しい話です。ただ、それも継続的に「森林」を育てていくことが大前提となります。昨年は「ウッドショック」(※)という言葉が聞かれましたが、現在、薪の調達も難しいという話をお聞きします。冬の暖房をどうするのか、北杜市に住む上で、今後は大きなトピックとなりそうです。

寒い、寒いと書いてきた2月の北杜市ですが、後半にもなると所々で「春の訪れ」を感じることがあります。新緑の時期はまだ遠く、畑も草原も枯草でまっ茶色な状態ですが、足元をよく見ると、枯れ葉の間から小さな草花が咲いている様が見えるようになります。いつの間に葉を伸ばし、花を咲かせていたのだろうと不思議な気持ちになります。八ヶ岳おろしの冷たい風が吹き、時には雪がちらつき、朝は霜柱が立つ、そんな過酷な環境の中、地面の下で着実に新しい命を育んでいた事に、リスペクトの気持ちさえ湧いてきます。小さな春を探しに、寒空の下、お散歩するのも良いものですね。
(八ヶ岳事務所 大久保武文)

※ウッドショック:新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、建築用木材の供給が需要に追いつかないことに起因した木材価格の高騰の状況。1970年代に発生した「オイルショック」になぞらえてこのように呼ばれている。(経済産業省ホームページより)

▲2月の下旬。仏の座、オオイヌノフグリが咲き始める。(北杜市大泉町)

山梨◆八ヶ岳/深秋の候、11月のお知らせ【八ヶ岳スタッフ・たかねの里だより】

この記事の投稿者: 八ヶ岳事務所スタッフ

2021年11月1日

▲秋空の下、夕暮れで赤く染まる八ヶ岳。(北杜市高根町)

「秋」から「冬」へと移り変わる季節です。

朝晩の冷え込みが厳しくなり、紅葉の見ごろとなるのが10月中旬からで、11月の前半にはカラマツの葉が日を受けて黄金色に輝く様を見ることができます。標高差のため比較的長い間、紅葉が楽しめる八ヶ岳南麓ですが、11月の中旬にもなると標高の高いエリアでは葉が全て落ちてしまいます。紅葉狩りを楽しむには急がれた方がよろしいでしょう。

甲府地方気象台の2020年の観測によると、「初霜」が11月1日、「初氷」が少しおいて11月5日でした。「霜」は空気と接触している物体の温度が0度より低くなると、空気中の水蒸気が、物体の表面に「氷」として成長することで出来ます。

冬の晴れた朝などでは放射冷却で、地面付近の温度が気温よりも数度低くなるため、気温が0度にならなくても「霜」が降りることがあるそうです。「霜」が降りていると朝の気温が零下になったと思っていたのですが、そうとも限らないのですね。「初霜」と「初氷」に数日のタイムラグがあるのはそういう理由なのでしょう。

▲11月初旬。紅葉したカラマツの葉が輝く。(北杜市高根町)

甲府地方気象台ではその他に、「初雪」、「富士山の初冠雪」、「甲斐駒ヶ岳の初冠雪」の観測をしており、観測記録をホームページに記載をしています。「富士山の初冠雪」は平年では10月2日なのですが、今年は大幅に早まり9月7日に「初冠雪」というニュースが流れました。

ニュースを見て驚き、早速に八ヶ岳事務所近くの田んぼまで見に行くと、確かに富士山の頂上が白くなっています。まだ北杜市では残暑を感じる陽気で、稲は成長の途中、麓と山の上では随分と気候が違うなと思いました。

しかし、この「初冠雪」ですが後日談があり、記録としてその後に取り消されてしまいました。数日で融けたとはいえ、一度は雪が積もったのにどうしてでしょうか。

これは「初冠雪」の定義に当てはまらなくなってしまったからだそうです。その定義とは、◆富士山特別地域気象観測所の日平均気温の最高値が出現した日以降に、初めて冠雪を観測した日を「初冠雪」としています。というもの。

当初、8月4日に日平均気温の「最高値」が出現したものとし、9月7日に「初冠雪」を観測としていましたが、その後、9月20日に日平均気温の最高値が更新されてしまったそうです。その為、「最高値」が出現した日より前の冠雪は「初冠雪」の定義に当てはまらなくなり、「初冠雪」記録も抹消となったそうです。冠雪後の9月の後半にもなって、1年度で一番暑い日になるとは、気象の当事者も驚いたでしょう。

因みに9月20日の富士観測所の平均気温は10・3℃でした。とても年間の最高値とは思えない低い気温ですね。富士山の環境の厳しさを改めて感じました。(八ヶ岳事務所 大久保武文)

▲11月中旬。標高の高い場所では落葉が進む。(北杜市大泉町)

山梨◆八ヶ岳/桜花爛漫の候、4月のお知らせ【八ヶ岳南麓・たかねの里だより】

この記事の投稿者: 八ヶ岳事務所スタッフ

2021年4月1日

▲北杜市須玉町。満開の桜の下、道行く人をお地蔵さんが見守る。

季節は冬を終え、春となりました。この原稿は3月の初旬に書いているものですが、北杜市の今シーズンの冬を振り返ると、まず思うのが「雪が少なかった」ということでしょうか。

標高1200m の我が家では雪かきは1回だけ、それも積雪は少なめで、やらなくても支障が無い程度でした。標高760m の八ヶ岳事務所では積雪すら無い状況でした。

一方で寒さが身に染みる冬でした。例年に比べ、朝の冷え込みが厳しい日が多かったように思います。我が家は朝にお風呂に入るのですが、冷え込んだ朝に給湯器の調子が悪くなり、お湯は出るものの、追い炊き機能が使えない日が数日ありました。設置から10年以上、もう寿命が近いのかもしれません。北杜市に来てから初めての経験でした。その後、気温が上昇すると給湯器は復活。取り換えると40万円程かかるもの。家計の為に、少しでも長く頑張って欲しいと願うばかりです。

新型コロナウィルスの密閉対策の為に、窓を開けて仕事をしたことも、寒さが身に染みた原因の一つでした。室内を温めても、少しだけ開けた窓からどんどん熱が逃げてゆく。必要なことですが、どこまで換気をしたら大丈夫なのか判断に迷った方も多いのではないでしょうか。光熱費もですが、身体にも負担が多い冬でした。

▲北杜市長坂町。晴天の青空の下、菜の花畑の先には南アルプスの眺め。

さて、北杜市も4月になると冬が終わり、春めいてきます。まず風が変わるような気がします。八ヶ岳おろしと言われる北の風、冷たく乾いた風が止み、南から湿度を帯びた温かい風に変わります。春の風は香りも連れてきます。春の訪れと供に芽を出す山菜や、花々、野草、様々な植物の匂いが、風にのってくるのでしょうか。

気づけば、身体がホッと緩んでいる自分がいます。身体が緩むと、心まで緩んでくる。ガチガチになっていたつもりは無かったのですが、やはり何処かで緊張が続いていたのでしょう。春の季語に変わったもので、山笑うというものがあります。春の山の生き生きとして明るい様子を擬人的にいったものとのことです。

正岡子規は、「故郷や どちらを見ても山笑う」と詠んでいます。普段、俳句に全く縁が無く、俳句って何を言っているか分からないと思っていたのですが、北杜市に住み、冬を越え、春の自然の芽吹きを間近に見ていると、「山笑う」という言葉がとてもストンと腑に落ちます。なんだか心が浮き立つ言葉ですね。

春の風を受けに、命の芽吹きを見に、北杜市を訪れてはいかがでしょうか。(八ヶ岳事務所 大久保武文)

▲北杜市高根町。田へ水を引く水路の脇には春の草花。

山梨◆八ヶ岳/新春の候、1月のお知らせ【八ヶ岳南麓・たかねの里だより】

この記事の投稿者: 八ヶ岳事務所スタッフ

2021年1月7日

▲北杜市大泉町。凛と透き通った空気の中、夕陽を浴びて輝く富士。

令和3年、新しい年の始まりです。年が替わると、何か新しい事を始めようとワクワクしたり、奮い立ったりと、気持ちまで切り替わります。今日から新しい生活のスタートですね。

さて、昨年は大変な一年でした。思い返せば、1月こそ、大相撲で返り入幕、幕尻の「徳勝竜」が優勝という快挙で賑やかに年が明けましたが、2月にクルーズ船「ダイヤモンドプリンセス号」が横浜港に帰港してからは、新型コロナウィルスに大きく影響された日常となりました。

数ヶ月間、家から一歩も外に出ない生活で過ごした方もいらっしゃったと思います。海外からの渡航者がいなくなり、観光立国を目指し、成長してきたインバウンド(外国人の日本旅行)市場が消滅しました。観光地である北杜市は、「緊急事態宣言」、都道府県をまたぐ移動が制限された4月から6月にかけて、県外ナンバーの車がぐっと減り、普段は賑わう観光スポットが閑散となりました。

八ヶ岳事務所でも「緊急事態宣言」の期間中には、ご案内を山梨県内の方に限って営業をさせていただきました。その後、移動の全面解除、さらには「GoToトラベル」が開始されると、近場の観光地として都市圏から多くの方が訪れ、例年以上の忙しさになった飲食店も多かったようです。北杜市は元々、インバウンドの利用が少なかったので、他の観光地より若干は良かったのかもしれません。

▲北杜市高根町での畔焼きの様子。空気が乾燥する1月の下旬頃に、越冬害虫を駆除するために行われます。

仕事では「リモートワーク」が浸透しました。1箇所に固まって仕事をしなくて良いということから、生活も都市一極集中から分散が可能になり、田舎での生活が脚光を浴びた1年でもありました。インターネットや物流のネットワークがあれば、距離という、今までは大きな足枷であったものを気にせずに生活ができる。八ヶ岳事務所のお客様も現在の仕事をそのままに、移住をしたいという方が大変増えました。昨年までは、「移住」と「転職」がセットになっていたのですから、田舎暮らしのハードルが大きく下がったと言えます。大きな変化でした。

令和2年、後世からは「コロナ禍の年」、「停滞の年」と言われそうですが、個々の人々にとっては生活を見直し、「新しい生き方への道筋」が見えた年でもあったのではないでしょうか。 そして令和3年は「停滞から復帰」、「新しい生活」、「理想の田舎暮らし」へシフトする一年になればと思います。八ヶ岳事務所では、そんな皆様のサポートを出来ればと思います。どうぞ今年もよろしくお願いします。

(八ヶ岳事務所 大久保武文)

ふるさと情報館・八ヶ岳事務所

山梨◆八ヶ岳/処暑のみぎり・9月のお知らせ【八ヶ岳南麓・高根の里だより】

この記事の投稿者: 八ヶ岳事務所スタッフ

2020年9月1日

▲北杜市高根町。9月下旬の稲刈りの様子。

稲穂が揺れ、稲刈りの時期まであと少し。季節は変わり実りの秋が廻ってきました。さて、この文章は8月上旬に書いているのですが、市内において県外ナンバーの車が増えてきたように感じます。一度は減った観光客が戻ってきたようです。7月の4連休では中央道が込み合い、案内の待ち合わせに間に合わないとの連絡も。

国土交通省の交通量のデータから、人の流れの大きな変化が読み取れます。図は中央道の「相模湖~上野原」間の交通量を示したものです。車両は小型車(軽・二輪・普通車)、縦軸が交通量、横軸は日付。土日の他、GWの祝日と7月の4連休を抽出しました。こちらを見ると4月、5月にいかに人の流れが減少したか分かります。ここまでの落ち込みを年初に予測できた人はいないでしょう。

▲出典:国土交通省HP(全国・主要都市圏における高速道路・主要国道の主な区間の交通量増減)の値を使用。

その交通量が回復をしてきたのは6月20日の週から。6月27日は一時的に昨年を越えています。その後は昨年には及ばないながらも、ある程度の交通量を保っています。今後の交通量はどのように変化するでしょうか。観光業では海外から国内、遠方より近場がトレンドとのこと。社会全体を体に例えると人の流れは血流。感染を防ぎながら、血流を戻し、健康な体(社会)に戻れる日が早く来ることを願います。

◆温泉で新しい生活様式を体験

コロナ禍での生活が続いています。マスクを着ける日常がノーマルで、常に人との距離を気にし、レジの前にはビニールの幕。そんな状況ですが久しぶりに市内の温泉に行ってきました。

以前は仕事後などに気軽に立ち寄っていましたが、しばらくは疎遠に。今回訪れたのは小淵沢道の駅の「延命の湯」。久々の温泉は新しい生活様式そのものでした。以下、訪れた際の流れです。

1)入口で手の消毒をする。これはどこでもお馴染みですね。
2)次に体温のチェック。非接触の体温計を額に向けて計測。なんだが額がムズムズします。
3)連絡先(住所・氏名・電話番号)を記入する。書くのは代表者だけ。これも以前は無かった取り組みです。
4)脱衣かごを受付で受け取る。以前は更衣室に置いてあったものです。使用後は受付まで返却します。
5)更衣室に入ると、かごを置く棚の一部に×マークがされていました。隣との距離を保つためのものです。鍵付きロッカーは全て使用が出来ませんでした。窓は全開で風通しが良くなっていました。
6)さて肝心の浴室ですが、以前との違いは、窓が全開になっていることでしょうか。サウナは近々再開と書いてあったようですが、密閉した空間なので近寄りませんでした。

入浴したのは平日のお昼前。浴室はガラガラで、私を含めてお客は3名。距離を保ちながら過ごすことができました。一度の入浴者数に上限を設けているそうで、休日など込み合う時は入場制限がかかることも予想されます。

また休憩の大広間は封鎖されていました。入浴後に昼寝したり、テレビを見たり、会話を楽しんだりといったことは、しばらくお預けとなります。そんな新しい生活様式に沿った温泉体験でしたが、以前と変わらずに気持ち良いものでした。自然の中で木々の揺らめき、風を感じながら、広々した湯につかり、体の芯から暖かくなる。これは自宅で味わえないもの。一方で温泉の運営側としては大変な労力で頭が下がる思いでした。コロナ対策と経済活動の両立と言われるが、まさに最前線の努力を見た気がしました。(八ヶ岳事務所 大久保武文)