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山梨◆八ヶ岳/春陽の候、4月の八ヶ岳事務所【八ヶ岳南麓・たかねの里だより】 

この記事の投稿者: 八ヶ岳事務所スタッフ

2025年4月9日

▲境内の石像達は花見を楽しんでいるかのよう。(山梨県北杜市明野町浄居寺)

桜の季節です。

今年が始まったのは、つい先月のような感覚もあり、もう桜の時期かと思う気持ちが無い訳では無いですが、単純に桜が見られることを嬉しく感じます。

八ヶ岳南麓の厳しい寒さを乗り越え、草木や昆虫などの命の芽吹きを日々感じられるこの時期。体も自然と緩み、心も緩んできます。

また春を迎えられたと感じる喜び。それが大切な人や友となら、もうこれ以上は無い至福の時なのではないかとさえ思います。

人の一生は、いつどうなるかわからない。終着というものは必ずあるし、その過程において体が、どう変化するかも分からない。誰にも分からないのだと思います。

そんな風に思ってしまうのは、不動産売却という仕事柄かもしれない。

不動産のご売却というのは、人生の分岐点で行われることが多いと感じます。

ご自分の年齢であったり、体の衰えだったり、子供からの勧めであったり。それぞれの方が人生と向き合った結果として不動産の売却という行動が出てきます。

無事にご売却を迎えた後、一年も経たずに亡くなられたと聞くこともあります。ご子息からはあのタイミングで、次の方に引き継ぎが出来て良かったと安堵の話を聞くこともあります。

▲沿道には桜の花。相棒と過ごす、日常の一コマ。(山梨県北杜市)

時間というのは常に一方向に流れているようです。その中で、迅速に良い方を、売主が大切にしてきた家という宝物を、引き継いでくれる方を探す。引き継いでくれた方が良い方であれば私も本当に嬉しくなります。

私が日頃行なっている、売却相談という業務は、自然と売主、その人の今までの人生を聴き、場合によっては終着駅までも一緒に垣間見てしまう仕事かもしれません。

終着駅が近づいているという話は、一見寂しくも感じられるかもしれませんが、私はこの売却相談が楽しいことが多い。それは大袈裟にいうと彼、彼女達の人生や移住という冒険談を聴くことができるからです。

そして彼らは例外なく人生の後悔をしていないのです。

あーすれば良かった。あのとき決断をしておけば、そんな後悔なく、生きてきた方達。

人生は限りがある、ただ自分で動き、切り開いてきたから、ここにいる。そんな方たちの話しを直に聞けるのが、私のしている売却相談という仕事の醍醐味なのです。(八ヶ岳事務所 大久保武文)

山梨◆北杜市/古き街並みが残る台ヶ原宿【八ヶ岳スタッフ・日々の暮らしより】

この記事の投稿者: 八ヶ岳事務所スタッフ

2025年3月31日

▲毎年3月に「蔵まつり」が開催される。

江戸時代に甲州街道の宿場として栄えた台ケ原宿。山梨県北杜市白州町台ヶ原にあり、「日本の道百選」に選ばれています。

現在も、当時の旅籠や商屋の面影がしのばれる街並みが残され、街道沿いには酒蔵や和菓子屋、蕎麦屋、酒蔵直営レストラン、カフェなどがあります。

街道の歴史を感じながら、散歩の途中に美味しい物も満喫できます。

また、毎年恒例で続いているイベントもあり、例年多くの人が訪れ賑わいます。

10月には、台ヶ原宿市が開催され、全国から集められたアート作家やクラフト作品、骨董、おいしい地元の農産物、屋台も出店します。市は3日間開催され、昨年は過去最多となるおよそ350店が軒を連ねました。

また、3月には寛永3年から続く、歴史のある酒蔵の蔵まつりが催されます。限定のお酒が販売され、また十種類以上の銘柄のお酒を試飲することが出来ます。この酒蔵は江戸末期に建てられ、台ヶ原に残る最大の町屋建築になります。

明治13年、明治天皇が山梨を御巡幸された際には、行在所あんざいしょとして利用された、という貴重な建築物です。この場所で開催される、今年の蔵まつりは、3月20日から4日間、開催されます。

歴史ある街並み・建物が残る台ヶ原宿、ゆっくり散策してみてはいかがでしょうか。(八ヶ岳事務所 柳本朝子)

山梨◆八ヶ岳/解氷の候、3月の八ヶ岳事務所【八ヶ岳南麓・たかねの里だより】 

この記事の投稿者: 八ヶ岳事務所スタッフ

2025年3月9日

▲ふと感じる、春の訪れ。

まだまだ風が冷たいなと、ふと足元を見ると、ひょこっと芽吹き始めている小さな野生の花々。春の訪れを感じるのはこの時でしょうか。

冬の間にすっかりと茶色くなった大地には緑の葉っぱだけでも鮮やかに感じますが、やはり花々の華やかさには心が躍るものがあります。冬から春へ季節の変化を感じる北杜市の3月です。

とはいえ、油断をしているとドカっとまとまった雪が降る時期でもあります。

昨年も3月の頭にまとまった雪が降り、朝、目覚めると30㎝程の積雪。道路の除雪が無いままで出勤時間となり、恐る恐る車を出した記憶があります。この時は愛車のジムニーの走破性に感嘆、ジムニー最高!といいながら雪道を走った記憶があります。

▲春の訪れの中、雪景色に変わることも。(山梨県北杜市)

北杜市にはどんな車が合っているのだろう。度々、語られるこの話題。昨年の物件のお引渡しの際にも、売主様と買主様の間でこの話題が上がりました。

買主が、「せっかく北杜市に別荘を買ったので、思い切って四駆のSUVを買おうかと思う」と売主に相談されました。

それに対し、売主は「無理して買う必要はないんじゃないかな」との発言。因みに売主は北杜市へ20年程ご定住をされていた方。スタッドレスタイヤは必要だけど、幹線道路沿いを走るだけであれば二駆でも大丈夫。ただ、標高の高いところに行くのは厳しいかもしれないとのこと。

それよりもと、売主の話は続きます。北杜市は道路沿いに様々な動物がいる。サル、キツネ、狸、鹿が飛び出てくることもある。突然飛び出てくると、回避は難しく、車に当たってしまうことも。売主も鹿とぶつかり、修理に100万円ほどかかったとのこと。

また、狭い道が多く、脇から木々や竹藪がはみ出ていることも多い。車のすれ違いざまに、路肩によると、枝が車のボディを傷つけることも頻繁だ。

話は続きます。砂利道では小石がタイヤに挟まり、それが走っている時に飛び、ボディを傷つけることがある。車高が高い事も大事。砂利道は掘れやすく、デコボコになりがち。車高が低い車では、底を擦ってしまう。

▲北杜市で人気の車。スズキのハスラー。

いつしか話は、四駆か二駆というよりは、大事にするような車は買わない方が良いという結論に。北杜市では車は道具であり、愛でるものではない。「車が傷ついても、自分の心が傷つかない車が良い」という名言が飛び出ました。これは長年、北杜市で定住した方だから出てくる言葉だと感心いたしました。

因みに北杜市の教習所のある教官は、受講生にはスズキのハスラーをお勧めしているそうです。コンパクトで細い道でも取り回しが容易、車高が高く、四駆。価格的に何かあっても心が傷つきにくい。売主様の言葉とも合致します。

実際に北杜市で頻繁に見かける車がハスラーです。皆様は現在、どんな車に乗っていますか?どんな車に乗るかを考えるのは楽しい作業ですね。(八ヶ岳事務所 大久保武文)

北杜市◆全域/北杜市の地層と温泉【八ヶ岳スタッフ・日々の暮らしより】

この記事の投稿者: 八ヶ岳事務所スタッフ

2025年3月3日

▲北杜市には数々の温泉があるのです。(画像はイメージです)

北杜市のある山梨県は、地下に複数のプレートが重なり合う複雑な地質構造になっています。

北杜市は、フォッサマグナと呼ばれる大断層の上に成り立っているため、市内のあちこちに温泉が湧出しています。

この複雑な地質構造が影響しているのか、市内の温泉によっても泉質が異なります。

塩化物泉、炭酸水素塩泉、全国でも珍しいラジウム泉など様々なので、北杜市では泉質の異なった湯めぐりを楽しむことができます。

北杜市白州町にある尾白の湯は、源泉は茶褐色の赤湯で、日本三大名湯の一つである有馬温泉と同じタイプの超高濃度温泉です。

露天風呂は、高濃度な茶褐色の源泉で、湯はぬるめなので、ゆっくりと疲れをとることができます。

▲温泉やサウナなど、癒されに来てください。(画像はイメージです)

他にも、パノラマの湯の大露天風呂は、正面に富士山、周囲には南アルプスなど山々の大パノラマが広がり、温泉につかりながら、絶景を望むことができ、心も体も癒されます。

いくつもの魅力的な温泉のある北杜市で、湯めぐりをしてみてはいかがですか。(八ヶ岳事務所 柳本 朝子)

山梨◆八ヶ岳/春寒の候、2月の八ヶ岳事務所【八ヶ岳南麓・たかねの里だより】 

この記事の投稿者: 八ヶ岳事務所スタッフ

2025年2月9日

▲雪化粧した木々と甲斐駒ヶ岳。(山梨県北杜市)

2月。暦の上では立春ですが、八ヶ岳南麓の北杜市はまだまだ冬の真っ只中。1年で一番寒く、これからが雪が降りやすい時期となります。

まだまだ冬というのは、全国的な話かとは思いますが、冬が早く始まり、終わりが遅いこの場所。一番寒い時期だからこそ、春という言葉が待ち遠しくなります。

北杜市に移住して8年程、冬の生活で諦めたことというか、手放したことがあります。

それは薪ストーブで生活するということ。

元々、薪ストーブに強い思いがあったわけではなく、お洒落、楽しそうくらいに思っていたところ、購入した家に薪ストーブがついていたというのが、私と薪ストーブとの出会いです。おまけについてきたプレゼントのようなものでした。

ただ、実際に使ってみると、楽しいけど、手がかかるもの、そして、使うほど手になじむものでした。

当初は薪に火を着けることも大変で、恥ずかしながら、煙が逆流して家の中が煙臭くなったこともあります。

とは言え、炎の揺らめきと、どの暖房器具とも代えがたいポカポカとした暖かさ。手に入れてみると、八ヶ岳南麓への移住の象徴のようなものに感じ、夢中になってしまいました。

▲じんわりと心まで温まる薪ストーブ。

一方で現実は厳しい。手がかかるのは、薪を燃やすことより、断然、薪を準備することにありました。売っている薪は高額で、札束を燃やすようなものと言われます。

その為、庶民が薪ストーブを頻繁に使うには、木を集め、チェーンソーで切り、斧で割り、薪棚で2年ほど乾燥させる必要があります。

私は木を無料で集めることは当初から諦め、丸太を2トンほど購入し、自宅の駐車場にトラックで落としてもらいました。

そしてチェーンソーを購入し、丸太を40㎝程の適度な長さにカットをする。この玉切りという作業が終わらないと、丸太を移動することが出来ない。

その間、駐車場が使えなくなるので、無理をして2日間で完了させる。そして、カットした大量の丸太を移動、そこからコツコツと、斧で薪割を休みの日に行うのです。

そして薪を乾燥させ、使えるようになるのは早くて来年になります。

この一連の作業が結構大変なのです。薪を作ることのみを趣味とするのであれば、フルタイムで働きながら出来るのかもしれないが、私には難しかった。

休みには出かけることが好きだし、何よりコツコツと続けることが苦手なのかもしれない。その為、当初は冬の間に終わるはずの薪割は遅々として進まず、放置された丸太には、きのこや苔が生えてしまった。

丸太を購入し、玉切り、薪割、乾燥というサイクルを3回ほどこなしたが、正直疲れてしまった自分がいました。

とは言え、薪ストーブは楽しい。その為、ここ最近の冬は、灯油ストーブを基本とし、週に1回ほど薪ストーブを楽しむ。薪ストーブは日々の生活では無く、たまの贅沢というのが、私と薪ストーブの距離感となったのです。

時間が出来れば、いやいや、結局はマメな人でなければ難しいのではと思う、冬の日です。(八ヶ岳事務所 大久保武文)

山梨◆八ヶ岳/初春の候、1月の八ヶ岳事務所【八ヶ岳南麓・たかねの里だより】 

この記事の投稿者: 八ヶ岳事務所スタッフ

2025年1月4日

▲夕焼け空に赤く染まる富士山。(山梨県北杜市)

明けましておめでとうございます。

2025年、令和7年の幕開けとなりました。

事務所のカレンダーには平成37年、昭和100年という印字もされている。

不動産会社ならではだろうか、契約に使用する登記簿は和暦で記載されているため、昭和〇年の住宅が、築何年目かと見る時に役立つ。

皆様のお家にはどんなカレンダーが飾られたでしょうか。

わが家は壁掛けカレンダーを毎年1枚だけ購入している。沖縄に住み始めたころからの習慣で、海をテーマにしたものを買う。以前は「うみまーる」という沖縄県座間味島ざまみじまを拠点とした写真家ユニットのカレンダーを購入していた。

熱帯魚やウミガメが泳ぐ、のほほんとしたカレンダーを見ていると、次の休みはシュノーケルに行こうとか、カヌーで海に出ようとか、海まで徒歩圏の立地が、日常と休日をスムーズにつないでくれた。

八ヶ岳南麓に来てからも、不思議と山ではなく、海をテーマにしたものを購入している。最近のお気に入りは山と渓谷社の「しあわせのうみ」というカレンダー。こちらは沖縄に限らず、世界の熱帯の海を写したもの。

以前と違い、カレンダーを見て、直ぐに海に行くという環境では無いが、リビングの良く目につくところに掛けられたカレンダーという名の写真集は、今年も私の日常に彩りを与えてくれそうだ。

八ヶ岳と空。上空は宇宙とつながる様な濃いブルー。(山梨県北杜市)

1月の北杜市は冬の真っ只中だ。夏場に来られる観光客の方は意外に思われるかもしれないが、別荘利用や移住者に一番人気のシーズンが冬なのだ。

冬が近づくにつれて、夏山がいかにボケて見えていたのか驚くことがある。

晴れて、雲が無く、山の全容が見える、そんな稀な日であれ、夏場は空気中の水分で視界が妨げられていたのだと。

北杜市の冬は八ヶ岳や南アルプスで雪雲がせき止められ、乾いた空っ風が吹き下ろしくる。冷たく強い風、それにより乾燥した空気が、山を四季の中で一番、クリアに見せてくれる。さらには雪がその山容を際立たせる。

冬の晴天率は高く、昼間は暖かい日差しが降り注いでくれる。日が当たる場所で、車のエンジンを止めて、のんびりと車内で日光浴をしながら山並みを眺めるも良い。

そして空気が澄んだこの時期に見られる、特に濃い青空を「八ヶ岳ブルー」と呼ぶそうだ。青空にも深さがあるのか、どこまで濃紺になると八ヶ岳ブルーなのか。

今年は空の色を気にしながら、生活をしてみたいと思う。(八ヶ岳事務所 大久保武文)

山梨◆八ヶ岳/師走の候、12月の八ヶ岳事務所【八ヶ岳南麓・たかねの里だより】

この記事の投稿者: 八ヶ岳事務所スタッフ

2024年12月7日

▲雲の先から現れる、夜明けの富士。(山梨県北杜市大泉町)

12月は本格的な冬の始まりの月といえる。

11月後半からは朝方の気温が0度を下回り、対策をしてなければ、水道管の内部が凍り、破裂する時期となる。別荘の方は水抜き作業をしておかなければ、多額の水道料を払うことになるかもしれない。

この時期から私が気にするようになるのが、夜の天候だ。

昼の天候が気になるのは当たり前だが、夜に晴れているか、雨が降っているか、曇っているかが気になるのである。

晴れ渡った朝の冷え込みは強く、逆に曇っている日の朝は暖かい。路面が凍りやすいのは、晴れた日の朝なのだ。

一番に恐れる天気は、雨が降り、夜半過ぎから晴れ渡るという時だ。

この翌日には路面がスケートリンクのように、ツルツルになり、ブレーキを踏むと、車はクルクルとダンスを踊りだしてしまう。雪の方が安心なくらいなのだ。

そんな日は許されるのであれば、気温が上がる、お昼くらいまでは家に閉じこもりたいのだが、そうもいかないのが苦しいところだ。

▲冬晴れの八ヶ岳南麓。(山梨県北杜市高根町)

カレンダーをめくると、最後の1枚だった。

1枚のペラペラとなったカレンダー。元々は厚く重なったものが、毎月減っていくのだから、当たり前なのだが、何だろうか、もの悲しい気持ちになってしまった。

それは多分、今年が終わってしまうという事を、心の準備なく、視覚と触覚(皮膚)とで体感してしまったからだろう。

年を重ねるにつれ、時間が早く過ぎていくと言われる。同じ3年間でも学生時代と今が同じとは思えない。

そんな疑問の答えは、たまたま読んでいた本に書かれていた。生物学者である福岡伸一先生の「動的平衡」という本。〝生命とは何か〞という著作を多く出している方だが、学者とは思えぬ、ユーモアと艶のある文章が魅力的だ。

その中で、人は年を取るにつれて、自分の中に流れる時間をゆっくりと感じようになるとの記述があった。

自分の中に流れる時間と、実際に流れる時間の差。自分で感じている以上に、時間は刻々と過ぎてゆく。毎年12月を迎えると、過ぎ去った時間がまるでどこかに消えてしまったように感じるのは、このギャップによるものだろう。

ただ、スマホに撮りためた写真を見て、振り返ってみると、それなりにやってきた記録が、記憶となって甦ってくる。

今年も少ないながらも登山に行けたな、季節の花や食材を満喫したなと。日々の積み重ねを思い出せば、それは決して消えてしまった時間ではないのだ。

来年も日々を楽しく積み重ねていきたいものである。(八ヶ岳事務所 大久保武文)

山梨◆八ヶ岳/立冬の候、11月の八ヶ岳事務所【八ヶ岳南麓・たかねの里だより】

この記事の投稿者: 八ヶ岳事務所スタッフ

2024年11月8日

▲月明かりでアカマツの木々が浮かび上がる。

秋の夜は長い。

そういえば、小中高時代に読書週間が設けられたのもこの時期だった気がする。今年は秋の夜長を読書に費やそうかとふと思う。

春から夏にかけては日が長く、しっかりと働いた後でも、まだ外が明るく、得をした気分になった。

それに比べると、日の短いこの季節は、みるみると暗くなってしまい、気づけば一日が終わってしまったような寂しさを感じることもある。

この感覚は、日本のどこにいても共通なのかもしれないが、田舎に行けばいくほどより強く感じるように思える。

まず家から一歩でると真っ暗だ。お店が少ない、街灯がない。人が歩いていなければ、車もあまり走っていない。車で外出をするにしても、慣れていない人は怖いと思うだろう。

北杜市の道は交通量が少なく、道も片道一車線、都市部では車の運転を苦手としていた方でも、移住後は嬉々として運転をしている。この環境だから運転が出来ると言う。

ただ、そんな環境だからこそ夜の道は真っ暗で、慣れないと運転も怖いのだ。

人工の光が無いと、夜は暗いのだと、当たり前のことに気づく。そして暗いからこそ、秋の夜はより長く感じるかもしれない。

家で読書をするのも良い、なぜだかこの時期はミステリーが似合う気がする。ビデオレンタル屋は無いが、今の時代はネットがあれば家で映画も楽しめる。

そして暗い環境だからこそ、星はより輝いている。自分は星座にはからきしだが、北杜市で見る星は美しいと思う。そして月夜の日は、その暗い環境が、より月の明るさを際立たせる。静かな秋の夜、どう過ごそうか、考えると楽しくなる。

▲紅葉の先に石の殿堂「瑞牆山」。(北杜市須玉町)

今年の紅葉はどうなっているだろうか。

例年だと10月後半から11月前半にかけて、標高の高い場所から低い方へと順々に見頃を迎えていく。

年によって黄色が綺麗だったり、赤が目立ったりと様子は異なり、その違いを比べて楽しむのも魅力の一つかもしれない。

ただ今年は紅葉シーズンを迎える前、葉が染まる前に落葉している木々を多く見かける。

長野県の紅葉スポットである木曽駒ヶ岳ロープウェイ、こちらでは一足先に紅葉が巡っており、その様子がネットでも確認できるのだが、今年は例年に比べ多分に寂しい状況とのコメントがあった。

「多分に寂しい」という表現はあまり聞きなれないだけに、関係者の無念さが伝わってくる。ふりしぼる様な表現だったのではないか。

今年の夏は暑く、雨が多かった。人にとって過ごし辛く、疲れを感じた夏は、木々も一緒だったのだろうか。

冬を迎える北杜市、稲刈りが終わり、花が終わり、山の木々が落葉する。トンボやハチ、羽虫、カエルといった生き物もいなくなる。

そんなモノトーンの世界を迎える中、山々が鮮やかな色彩をまとう通過儀式ともいえる紅葉。今年はどんな儀式となるのだろうか。我々の目を楽しませるものになればと、心配とともに心待ちにする。(八ヶ岳事務所 大久保武文)