当事務所のある地域では、今年から山林の「国土調査」が実施されています。 「国土調査実施済み地区」とか「未実施地区」などの言葉は、不動産取引の中でよく耳にする言葉で、市街地の住宅地は都市計画や分譲の際に地積測量が実施されているので、ほぼ境界杭等はあるのですが、特に田舎の土地で山林などは実施されていないところが多いです。
現在の法務局や行政に保管されている図面、面積の多くは、明治時代(地租改正)に作成されたものだそうです。国土調査とは昭和26年以来国土調査法に基づいて地籍調査(境界、面積、所有者、地目、地番に関する調査)をするものです。
地籍調査の効果として、
①公図、登記簿が一致する為、土地取引等の確実性が得られるほか、土地境界をめぐるトラブルの未然防止。
②土地の境界点が経緯度との関連(座標)をもった公図になるので、災害等により境界が分からなくなっても、境界を現地に復元できる。
③土地の分筆、売買等を行う場合に測量費等の費用負担を軽減できる。
等々の利点があります。
なにより、それらにかかる費用はすべて行政で負担してくれますので、有り難い限りです。日本全土で実施されれば土地取引も容易になるのですが、調査の実施状況は全国平均52%だそうです。岩手県は91%と比較的進んでおり、関東、中部、北陸、近畿地方は10~30%と遅れているのが実態だそうです。(みちのく岩手事務所 佐々木 泰文)
投稿者プロフィール

- ふるさと情報館・みちのく岩手事務所 所長・スタッフ
- 元JA職員で都市と田舎を結ぶ取り組みを約15年担当者として務め、退職を機にふるさと情報館・みちのく岩手事務所所長として一念発起。民話の宝庫・岩手県遠野市在住にて、地元神社の神主としての顔もある。令和3年よりデジタルを駆使して後方支援していた息子も全面的に加わり情報発信いたします。