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新潟◆新潟/旅行とI ターンの関係性【北の国から・制作スタッフ進行日誌】

この記事の投稿者: 編集

2021年6月30日

▲日本酒にはお刺身がよく合います。

「新潟」といえば「お米」と「お酒」。日本酒はあんまり飲めないが、せっかく新潟に来たので少しは飲まなければとタクシーの運転手さんに地元の人が行く美味しいお店を教えてもらった。

そのお店では店員さんに「のっぺ」という新潟の郷土料理を勧めてもらった。これは筑前煮のような料理で冷たいものと暖かいものの両方がある。

この時は冷たい「のっぺ」を頼むことにした。なんだか懐かしく、とても優しい味なので煮物が好きな人は是非食べてみてほしい。

▲噂の「のっぺ」。

2軒目は気になったお店に入ろう。と歩きながらお店を物色していると、店構えがお洒落なお店を発見!

このお店は「お通し」を選べ、選んだ「お通し」を七輪で焼いてくれた。「入って正解!」とちょっと得意げになりながら、地酒と料理を堪能した。

新潟県は日本海に面しているので「海の幸」も美味しく、ついつい食べ物メインの旅になってしまった。また新潟へ行きたいものである!

▲選んだお通しをこれから七輪で焼いてくれます。

新型コロナウイルス蔓延によりテレワークが進み移住をする人が増えている。縁もゆかりもない地へ移住をする「I ターン」のきっかけとなるのは、何度も旅行で訪れた場所や、就職や転職、転勤先等の仕事上の理由のほか、趣味や自然に囲まれた場所に住みたいといった嗜好などが、コロナ前の移住理由であった。

ところがコロナウイルス蔓延後では、これにプラスα「会社まで2時間圏内で通える場所」を移住地へと選ぶ人が増えているそうだ。今の時代ネット環境があればどこでも仕事ができる職業も多いので、東京にこだわらなくても地方で自然豊かな場所でのびのびと、広い家で生活することが今後選択肢として増えていきそうだ。

案外「移住」をまったく考えていなかった人でも、旅行先を好きになり移住をする日が来るかもしれない。(本部 井上美穂)

東京◆本部/ドローン始めました ~ 不動産業界のDX ~【本部スタッフ・ふるさと見聞録】

この記事の投稿者: ふるさと情報館・本部スタッフ

2021年6月27日

本誌をご覧の方で気付かれた方もいらっしゃるかもしれませんが、今年になってから四谷本部の物件にもドローンで撮影された写真が一部の物件で利用されています。YouTube 動画配信は八ヶ岳事務所が昨年より本部に先駆けて展開中です。まだ四谷では毎月の締切までに動画編集までこなし、皆さんに公開できる技術が無いのが実情です。

ドローンの操縦については、昔遊んだラジコン感覚で行え、少し練習すれば自由に移動できるようになりました。ただ、映像撮影が伴うので、カメラの画角、構図を考えて飛行してるつもりでも、ドローンならではのダイナミックな映像とは程遠いものになっていたりと試行錯誤中。飛行禁止設定区域では起動されず、驚いたのは東京都内ではほとんど練習できません。

▲ GPS で発見できなんとか回収、かなり修理しました。

実際の物件取材の時には思いがけない強風に煽られ制御不能になることも。出張に持参した2回目に、遥か彼方に小さくなるドローンを追いかけて久しぶりに全速力ダッシュしてきました。墜落の様子もなかなか貴重なので、そのうち公開したいと思いますが、ニーズはありますかね?(本部 星野 努)

 

▲八ヶ岳事務所ではすでに新兵器Go Pro Maxも実践投入中!
不動産業界にもDX(デジタルトランスフォーメーション)
の波が一気に加速し、それは東京より地方のほうが意外と
早いかもしれません。

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秋田◆北秋田市/マタギの里と秋田内陸線から【いくぞ!北東北・所長ふるさと随想録】

この記事の投稿者: 代表取締役・中村健二

2021年6月24日

▲道の駅にある木造彫刻には「マタギの里」とある。

学生時代に読んだ宮沢賢治の物語に『なめとこ山の熊』がある。岩手県内にある「なめとこ山」の麓で熊を撃つことで家族の生計を支える主人公とそこに棲息する熊たちのお話しである。母親熊との約束や最後に主人公が熊たちによって見送られることなど、賢治ならではの死生観が色濃く出た作品だ。

こうした山岳地帯で狩猟を専業にする猟師を一般的には「マタギ」と呼ぶことがある。東北地方や甲信地方などに多いともいわれる。その中でも北秋田市にある阿仁(あに)地区の「マタギ」は平安時代までさかのぼるとされ、その歴史は古い。

▲「あにマタギの里」道の駅食堂にて。

そしてこの「阿仁マタギ」は単なる「ハンター」というよりも、「山の神を信仰し、規範を重んじ習俗文化を伝承する村社会の構成員として認め合ってきた存在」(「秋田マタギロード」広報ガイドラインより。令和3年2月)で、集団での行動が主であるため厳しい掟や独自の言葉もあったという。「マウンテン・サムライ」と呼ぶ人もいる。

北秋田市は秋田県内の内陸北部に位置し、1152平方キロメートルの広大な市域(東京二十三区の2倍あまり)に29500人ほどが暮らしている。2005年(平成17年)に鷹巣町、合川町、森吉町、阿仁町が合併してできた市だ。東南方向には樹氷も見られる名山の森吉山(もりよしざん・標高1454メートル)がある。

それぞれが独自の文化を形成してきた町だと伺ったのは、生まれも育ちも鷹巣町とおっしゃる鈴木さんからだ。奥様手作りの「バター餅」を山菜とともに振る舞っていただいたことがある。県産のもち米、砂糖、バター、小麦粉、卵黄、食塩、片栗粉だけで作られたお餅でコクがあり長く伸びる。

その鈴木さんから「いちど機会があったら綴子大太鼓(つづれこおおだいこ)を観にいらっしゃい」と誘われてもいる。ギネス認定された世界一の大太鼓で国の無形民俗文化財になっている。六張りある太鼓のうち最大のものはなんと直径が3.8メートルもあるという。

▲伊勢堂岱遺跡縄文館(2019年8月撮影)

その太鼓の音が響き渡る西側の広大な大地にあるのが「大館能代空港」で、あたり一帯は視界が開け、遠く白神山地が望める場所だ。そうした場所は縄文時代の遺跡が多い。ここ「伊勢堂岱(いせどうたい)遺跡」もそのひとつ。ストーンサークルで知られ、縄文館の案内は地元の中高生たちがボランティアスタッフで頑張っていた。この近くには「JA 秋田厚生連」が運営する「北秋田市民病院」やのどかな「北欧の杜公園」もある。

▲地元中高生のボランティアが遺跡を説明してくれる。

さて、鷹ノ巣駅前の観光案内所で秋田内陸線のことを聞いてみた。

「ここが始発なんですね」とわたし。

「始発駅は阿仁合(あにあい)なんです」と案内所スタッフ。

この鉄道は角館駅と鷹ノ巣駅を急行なら二時間ほどで結ぶ単線だ。角館→鷹ノ巣が「上り」で鷹ノ巣→角館が「下り」である。時刻表を見てみると、確かに発着地は「阿仁合」となっている。

ではこの「阿仁合」とは?

江戸時代の前期に国内屈指の銅山として知られるようになり、1716年(享保元年)には銅山全国一と謳われ、日本中から炭鉱労働者が集まったといわれる阿仁鉱山。多くの寺院等がいまも阿仁駅周辺には残り、明治15年築の外国人官舎は東京銀座の鹿鳴館よりも古く、国の重要文化財に指定されているほど。

▲北欧の杜公園。

その阿仁合駅の西に「北秋田移住定住ネットワークセンター」がある。全国的にも珍しい二つの期間に分けた一棟貸しのお試し住宅だ。

7日間までのいわゆるお試しと30日間までの本格的長期滞在である。光熱費として一日あたり400円が必要とのことで、ひと月借りても12,000円。ご興味のある方はぜひともトライしてみたらいかがでしょう。(岩手・秋田・宮城担当 中村健二)

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お問い合わせは北秋田市移住・定住支援室(北秋田市役所2階、総合政策課内)
〒018-3392 秋田県北秋田市花園町19-1  電話0186-62-8002
北秋田市公式HP よりWEB 相談可
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物件ウォッチ誌上オンエアー(文化放送「大人ファンクラブ」毎週土曜日06: 25 より。中村の放送回は毎月第4週目)

山梨◆韮崎/日本列島のへそと温ぬるめの旭温泉【いくぞ甲州!所長ふるさと随想録】

この記事の投稿者: 代表取締役・中村健二

2021年6月21日

▲「韮崎大村美術館」より茅ヶ岳方面を見る。

1980年代に刊行された漫画本で、究極のメニュー作りを通じて料理と人々の営みを描き話題となった『美味しんぼ』。その第1話に主人公たちが韮崎市のペンションを訪ねる回があった。

元同僚が新聞社を脱サラし開業したのだった。その母親も一緒に暮らすのだが、フレンチを中心に出すメニューでは息子夫婦の力になりたいと思っていても、このおばあちゃんには出番はない。

主人公たちは「こんな山の中にまで来てフレンチはないだろう?」と指摘する。そこでおばあちゃんの自慢の「ほうとう」が登場。自家製の麺と出汁と野菜で山岡たちの舌を唸らす。確かそんな話だった。

今となればそのペンションがどこなのか見当はつくけれども、そこは「富士五湖」でも「清里」でもなく、「韮崎市穂坂町」というのがなんとも良い。茅ヶ岳(かやがだけ(標高1704m)の麓の町なのだ。

『日本百名山』の生みの親である深田久弥(ふかたきゅうや)が茅ヶ岳登山の途中に急逝されてから半世紀が過ぎた本年。この4月17日に東京エレクトロン韮崎文化ホールにて、氏を偲んで深田森太郎さん(久弥のご長男)の特別公演と登山家の花谷泰広さんたちの記念シンポジウムが開かれた。荒天にもかかわらず百数十人が参加した会となった。

遠く生まれ故郷の石川県加賀市からも数名のご来賓があり満場の拍手を浴びていた。そんな茅ヶ岳は韮崎市の西部、釜無川左岸にある「韮崎大村美術館」2階の喫茶室から見るのがなんとも言えず良い。河岸段丘のその先に明るい地層が見え、頭頂にはほとんど雲のかからない茅ヶ岳。日照時間日本一だといわれるゆえんだ。

▲久弥を偲んで行われた会の当日のパンフレット。

「大村美術館」とは2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞した大村智(おおむらさとし)先生のコレクションを展示した美術館だ。展示品の中では片岡球子の作品がわたしは良いと思う。ここは茅ヶ岳と対峙するように屹立した甘利山の麓の旧街道筋にあたる。

近在には「武田八幡宮」や「ワニ塚の桜」など名所旧跡も多いが、面白いのは甘利小学校北東の桃畑の一角にある「日本列島のへそ」。韮崎市の「へそ」は日本列島の東西南北の経度と緯度が交差している場所であるというのがそのいわれだ。南アルプスユネスコエコパークにも選定されている。

▲「日本列島のへそ」碑。

重心が偏らずバランスしているというのだ。言われてみればここに立つとそんな気が、しないこともない。さらにここから南西方向に1kmほどのところにあるのが人工的な手を施していない源泉100% 掛け流しといわれ、市内外から訪れる方が絶えない「韮崎旭温泉」(入浴料は600円)。

地下1200メートルの断層破砕帯から日に570トン湧出するナトリウム塩素炭酸水素泉。やや温めでゆっくり浸かっていると湯上がりに体がぽかぽかしてくる。 さて県内の自治体による空き家バンクと実務面で提携する「山梨県宅建協会」が取りまとめた内容を見てみると、韮崎市の「空き家バンク」の取り組みは県内屈指といえるほどメニューが多い。

▲旭温泉外観。

バンク利用者が購入した物件の修繕費、仲介手数料、引越費用の補助、定住目的で住宅の取得をした人への助成金など幅広く移住のハードルを下げているのがよくわかる。また、物件の売主や所有者に対する奨励金が手厚いのも特徴といえる。

「空き家バンク」とは別だが、この3月にはいわゆる「農地付き空き家」における農地法第3条第2項の「別段の面積」を一アール(100㎡)以下へとすべく協会として市へ要望している。これは空き家対策とともに就農支援と移住定住促進を今後とも図っていこうとしていることだと言われる。

期待値の高い韮崎市である。「がんばれば自転車でも暮らせちゃうコンパクトシティ」と銘打って。(八ヶ岳事務所 中村健二)

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韮崎市移住・定住相談窓口
山梨県韮崎市若宮一丁目2番50号 韮崎市市民交流センター「ニコリ」1階
電話0551 -30 -4321(9:00~18:00、第3月曜休)オンライン移住相談もあり。
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東京◆本部/「道路」はある?ない?どう調べる??【本部スタッフ・不動産ミニ知識】

この記事の投稿者: ふるさと情報館・本部スタッフ

2021年6月19日

不動産を購入するにあたり気になる項目の一つとして進入路、いわゆる「道路」があります。都市計画区域「内」であれば、建物を建築する敷地は、原則、建築基準法条に定められた幅員4m以上の道路に2m以上接していなければなりません(接道義務)。

売買契約締結前に交付する「重要事項説明書」でも道路の種類、敷地と道路の関係などの説明項目があります。田舎では都市部の不動産ではあまり見かけない都市計画区域「外」という地域が多く、このエリアの建物の敷地は逆に法律上、道路に接する義務はありません。(※条例等で付加される場合はあります)

ただ実生活で、住宅に行くのに「道路」がなくては不都合であり、実際に「道路」が有るか無いか調査することは重要で、その方法はいくつか考えられます。

つまり、「当事者や周辺への聞き込み」と「必要な公的資料の確認」が大事となるわけですが、「聞き込み」は当然として、今回は「公的資料の確認」を行う点に着目。

実際にあった事例では、法務局備え付けの「公図」では、古い道路は地番が無く「道」とだけ記されていました。稀なケースで、地方の市町村は「道路」を作っても「公図」まで修正しない場合があります。理由は諸々あるようですが、手間とお金でしょうか・・・。

現地には目に見える「道路」はあるのに「公図」には記載がない、そんな場合は次のステップとして役場の建設課や道路課などで「道路台帳図(林道図)」を確認してみましょう。(本部 金澤和宏)

岩手◆遠野/早池峰山(はやちねさん)山開きを迎えまして【みちのく岩手・新遠野物語】

この記事の投稿者: みちのく岩手事務所/ 佐々木 泰文・佐々木 敬文 

2021年6月16日

▲中腹から見る山の頂。

岩手県花巻市、遠野市、宮古市の境に雄々しくそびえる山「早池峰山」。みちのく岩手事務所がある遠野市でも、石上山(いしかみやま)、六角牛山(ろっこうしさん)と共に、「遠野三山」として、古くから住民に親しまれています。

岩手山に次ぐ岩手第二の高峰(1917m)であり、日本百名山にも名を連ねているため、毎年県内外から多くの登山者が訪れる名山でもあります。山開きは例年六月の第二日曜日に行われ、その日は年間を通じて最も多くの登山者が集まります。

また、周辺地域に伝承されている早池峰神楽の起源と言われている岳神楽(だけかぐら)が、山頂で荘厳に奉納されます。花の百名山にも選ばれている早池峰山では、初夏になると固有種のハヤチネウスユキソウという美しい白い花が見られます。その姿はエーデルワイスに非常に似ており、ワイン産業が盛んな麓の花巻市大迫町(おおはさままち)では「エーデルワイン」という銘柄のワインが毎年生産されています。

▲山頂での神楽奉納(2016年)

登山ルートは山開きが行われる「小田越コース」が一般的で、「河原の坊コース」は現在閉鎖中。山開きから8月まではマイカー乗り入れ規制があり、岳集落の駐車場よりシャトルバスでの入山になります。

コロナウイルス拡大の影響により要確認ですが、是非みなさんも岩手の山の魅力を感じにいらして下さい。(みちのく岩手事務所 佐々木泰文)
▲山腹からの景色。

岩手県の物件一覧はこちら

長野◆上田/おかえり!別所線!!【地域深堀り・のぞむ歴史紀行】

この記事の投稿者: ふるさと情報館・本部スタッフ

2021年6月13日

令和元年に大きな被害をもたらした台風19号は、全国に甚大な被害をもたらし千曲川も増水、氾濫し、周辺では冠水被害も多く報道されました。その台風の影響で千曲川を渡る橋梁が落ち、上田電鉄別所線は上田駅から城下駅間が運休していましたが、1年5ヶ月の時を経てようやく全面再開しました。

橋梁は大正13年8月に架設されたもので、上田電鉄の象徴たる「赤い鉄橋」として多くの方に親しまれていました。この鉄道は通学や通勤、病院へ通う高齢者の足として地域に根差しており、「信州の鎌倉」とも言われる別所温泉へ訪れる観光客からも愛されています。(上田駅―別所温泉駅間(11.6km)を結ぶ長野県の鉄道路線)

運休の間は代替えバスでの輸送となり、地元の方々や全国のファンも募金を募ったり早期復旧のための署名活動が行われました。震災直後から復旧事業が始まり、11月には堤防の復旧が完了し、12月から桁撤去工事。本年1月に桁の仮設、2月にレールの接続が完了しました。3月には試験走行や検査が行われ、無事に復旧の運びとなりました。

新しくなった橋は以前よりも鮮やかな赤い色となり、輝きが増しています。復旧後の一番電車には再開を祝う方々200名弱を乗せて列車が千曲川橋梁を通過しました。全国では廃線や減便の声が聞こえておりますが、無事に復旧が完了したニュースは何とも喜ばしい出来事です。上田へお越しの際は是非ご覧ください。(本部 長内 望)

山梨◆韮崎/ 韮高サッカーと移住相談窓口【いくぞ!甲斐路・所長ふるさと随想録】

この記事の投稿者: 代表取締役・中村健二

2021年6月10日

▲商店街の活性化に貢献している商業ビル。

山梨県内には「質実剛健」を謳った公立高が多いように思う。日川、吉田、甲府商業、そして韮崎。それはまた「文武両道」の校風という旗印のもとに、人材が広く集まってきた証なのかもしれない。いまも県内の強豪校としてその名を知られる韮崎高校サッカー部は、横森巧(よこもりたくみ)先生が率いていた1980年前後の高校サッカー界において、華々しい活躍を見せていた。正月の高校サッカー選手権ではあと一歩のところで何度も優勝を逃したにもかかわらず、怒濤の攻撃を信条とするそのプレースタイルはわたしの脳裏に鮮明に焼き付いている。中央本線韮崎駅前には、1975年の高校総体で優勝した栄誉をたたえて「球児の像」が建てられている。「韮崎」というとわたしが最初に思い出すのがこのサッカーなのだ。

▲韮崎駅前にある「球児の像」。

江戸時代には甲州街道の「韮崎宿」の本陣が置かれるなど、甲府以西の中心地として栄えてきた韮崎は、143平方キロメートルの市域に、現在29,000人ほどが暮らしている。ニラの葉状に見える七里ヶ岩(しちりがいわ)と、町の中心を釜無川(かまなしがわ・甲府盆地で合流し富士川となる)と塩川が流れる河岸段丘が地形的な特徴で、八ヶ岳の東側ルートの佐久甲州街道(国道141号線)沿いの平野部に住居や商店街が集積してきた。

市の東側は、百名山の名付け親・深田久弥氏と縁の深い「茅ヶ岳(かやがたけ)」の裾野に広がる伸びやかなロケーションが自慢の地区で、水はけと日当たりの良さから一大ぶどうの産地として知られてきた。良質のワイナリーも市内には点在する。中央自動車道の韮崎インターが開設してからはハイテク工場や山沿いにゴルフ場、別荘地などが開発されてきた。

穂坂地区から甲府盆地に目をやれば、ぶどう畑の先に末広がりの富士山が鎮座しているのが見えてくる。文化的にも経済的にも名実ともに「峡北(きょうほく)地域」の中心地がここ韮崎なのである。また、季節風が吹き寄せてくるのがここ韮崎の特徴でもある。北にそびえる八ヶ岳の裾野の東側・佐久口とその西側・諏訪口から吹き下ろす「八ヶ岳おろし」は冬場から春先にかけてのこの地域の風物詩ともなっており、韮高サッカーの代名詞ともなっているショートパスでつなぐ伝統的な戦術が実はこうした自然環境から生まれてきたともいわれる。

▲賢治が東京麹町の栄屋旅館から嘉内に宛てた手紙(「ニコリ」にて)。

現在の市内、藤井町出身で岩手農学校時代に宮沢賢治と深い親交のあった保阪嘉内(ほさかかない)は、この八ヶ岳おろしを賢治に語り、それが『風野又三郎』(この物語を改題してできたのが『風の又三郎』)にも八ヶ岳の季節風として話に出てくる。小林一三をはじめとした郷土の偉人を展示する駅前の韮崎市民交流センター「ニコリ」常設展では、几帳面な賢治直筆の手紙を見ることができる。その1階には「移住定住相談窓口」も開設され、県外から移住された「地域おこしメンバー」が携わっており、「空き家バンク」の紹介もしている。

県内の自治体が開設する「空き家バンク」制度はいま活況を呈している。甲府市や山梨市、甲州市、富士河口湖町、そして北杜市など人気のある自治体が提供する「空き家バンク」には近県の静岡や長野と引けを取らないほど、県内外から引き合いが多いという。そして現地見学会(不定期)や不動産実務(売買および賃貸契約)を執り行うのが当社も加盟している山梨県宅地建物取引業保証協会なのである。

▲移住相談窓口のある駅前ビル。

次月号では県内でもトップクラスの韮崎市の空き家バンクの具体的な取り組みと合わせて「釜無川の西側エリア」(神社や美術館、温泉、小学校など)にも焦点を当てて、韮崎の魅力を探ってみたいと思います。(八ヶ岳事務所 中村健二)

▲韮崎大村美術館入り口にある「ニーラ」の看板。