5月、北杜市でも最高気温が20℃を超える日が頻繁になります。
季節を把握するのに便利な二十四節季では5月5日頃が「立夏」となります。夏が立つと書くように、夏の気配が感じられ、陽気も増してくる時期です。
一方で5月の中くらいまでは最低気温が5度を下回る日もあり、朝と昼の気温差に体がついていかないことも。ゴールデンウィークの期間中に暖房が必要となることもあり、ストーブはまだまだ片付けられません。
外に目を向けると風景は刻一刻と変化を遂げていきます。
5月上旬頃から田んぼに水が張られはじめ、2週間ほどの水張の期間を終えると、田植えとなります。田植えは家族総出でする事が多く、結果、人が集まりやすい土日が田植えのタイミングとなります。
私自身はお米を買うだけの立場ですが、毎年変わらぬ田んぼの営みが、日々の生活越しにたんたんと進んでいく様は不思議と安心感を与えてくれます。
5月は新緑の時期でもあります。冬の間、葉を落とし、陽射しを透過していた樹木の枝を青々とみずみずしい若葉がおおっていきます。青空の下、陽射しを受けた葉は様々な表情を見せ、さわやかな夏の訪れを予感させてくれます。家の周辺のお散歩から、ちょっと足を延ばして山の懐や低山にと、そろそろ自然の中に出かけていく時期ですね。
八ヶ岳、南アルプスは残雪が残る為、夏登山にはまだ早く、気軽に行くには飯盛山や日向山、もう少し登りがいを求めると茅ケ岳がお勧めでしょうか。
この時期、山々で目を引くのが藤の花です。藤の花というと藤棚で咲いているというイメージがあったのですが、北杜市では野山の木々に藤のツタが絡まって成長し、春になると紫色の花々が山肌に彩りを与えます。
ただ、ツタが成長しているということは、山の手入れがされていないという側面があり、藤が絡まった木を絞めつけて、倒木に至ることも。
沖縄ではガジュマルという木が「締め殺しの木」という異名があるのですが、藤にも似た性質があるようです。そういった話を聞くと、単純に綺麗だなと喜んでいられないとも思うのですが、遠方に見える山肌に咲く藤の花はやっぱり美しい。
北杜市の5月、日常の風景です。(八ヶ岳事務所 大久保武文)