▲稲穂が黄金色に輝き、奥には南アルプスの山並み。(山梨県北杜市)
北杜市では、夏の終わりと秋の訪れを感じる時期となりました。
夏の終わりと共に家族連れの観光客が減り、車も減り、スーパーではバーベキューの食材コーナーが消え、飲食店やパン屋でもゆとりが感じられます。夏というイベントが終わって、少しの寂しさと共に、日常が戻ってきたという感じでしょうか。
一方で夏山登山は、気候が安定し、一番良い季節かもしれません。
7月のある日、以前から、やりたいと思いつつ、先延ばしにしてきた事を実行に移しました。
それは、小海線で旅をするということ。
▲のんびりと流れる時間を楽しむ小海線の旅。
小海線は山梨県北杜市の小淵沢駅から長野県小諸市の小諸駅までを結ぶ鉄道で、八ヶ岳高原線の愛称がつけられています。単線、各駅停車のみ、車両は2両編成、1時間に1本ほどの間隔でダイヤが組まれています。今まで乗ったことはあるものの、ごく短い区間だけでした。
今回は最寄りの甲斐大泉駅から小諸駅まで約2時間、停車駅は何と28駅。そこから乗り換え、しなの鉄道で軽井沢まで約20分。全体で約1時間30分の電車旅です。
軽井沢までは車で度々行くのですが、時間はあまり変わりません。停車駅の多さの割には、意外に早いと思いました。
当日は8時台の列車に乗り込みました。これを逃すと次は2時間半後。運行本数は少ないです。
無人駅の為、駅員はおらず、ホームで待つのは我々夫婦のみ。誰もいない駅でポツンといるのは初めてで、列車は来るのだろうかと少し心配になりましたが、時刻通りに到着。乗り込むと、人はまばらで席にも余裕がありました。
動き出すと、冷房が効く中、コトコトと動く車両の揺れが気持ち良い。車窓からの眺めは、森の中に飛び込んでいくという表現がピッタリで、木々の緑のトンネルの中を走っていきます。たまに、枝葉が窓にあたり、なんだかテーマパークにいるようなワクワク感があります。
木々とトンネルを抜けると、曲がりくねった千曲川の眺め。たまに鳴らされる警笛は、鹿を除けるものです(衝突事故で運休することが度々)。
▲のんびりと流れる時間を楽しむ小海線の旅。
鉄道の旅はよそ見が出来る、眠っても良いし、本も読める。車の運転と違い、注意散漫でも、勝手に進んでくれるのは嬉しいことです。これも普段は車移動が中心で、バス、電車に乗ることが無いから余計に感じるのかもしれません。
そして、同じ目的地に行くのでも、車とは見える景色が全く変わり、同じ場所への移動とは思えませんでした。
登山でも同じ山頂であっても、ルートが変われば全く違う山になります。普段と違う方法で移動するだけで、心境も変わってくる。そんなことを改めて感じた良い旅となりました。
次回は、季節を変え、冬景色を愛でながら乗りたいなと思います。(八ヶ岳事務所 大久保武文)