建物は築年数が経つにつれ、若しくは地震や土地の沈下により、柱や梁、土台などの躯体に歪みが生じることがあります。
その歪みや傾きが均等(均一)に生じてくれればそれほど気にはならず、使用に支障はありません(個人差はありますが)。
ただ縦方向の歪みは建具の開閉が出来なくなる場合があります。
この度、その縦方向の歪みが生じ、襖が動かなくなった物件に遭遇しましたので鴨居を持ち上げてみました。
その物件は築150年の十日町市の古民家(2022年6月号掲載。既売却済み。)。当(まさ)に雪国特有の豪快な太い躯体。築150年で2階建てのため鴨居が下がり、仕切り戸(襖)が嵌り、動かなくなっていました。
用意したのは「2tジャッキ、5㎝四方の木の棒、養生用の板、鉋(かんな)」。上の写真のようにジャッキをセットし、ハンドルを上げ下げするのに呼応し、周囲の木がミシミシと唸り声を上げ、鴨居が少しづつ上がって行きます。
実感として1㎝位上げたところで襖が動くようになり、外す。ここでジャッキを外してもまた戻りますので、次は襖の直し。鉋(かんな)で上下を均等に削る。
窪みのところは際(きわ)鉋で削る。必要に応じて鴨居と敷居の溝を溝鉋で掘る。これを応用して床の傾きも直すことができます。
皆さん、面白いので機会があれば挑戦してみて下さい。(本部 金澤和宏)